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ハードル

細い銀縁のめがね、いつも低い位置でひとまとめにした黒い髪、くちびるにはいつも無色のメンソレータムリップ。成績はすべて2寄りのギリギリオール3。私はずっとそんな女の子だった。

「まつ毛、かわいいね」

生まれてこのかた、親にさえも「かわいい」なんて言われたことのない私のまつ毛をピンポイントでコーイチは褒めた。
目の周りにただ生えている毛の、いったい何がかわいいのか、変なことをいう人だった。
それ以来、廊下やグランドの端ですれ違うたびに、コーイチは笑いかけてきた。

「次はなんの仕事?」
「このあとはMyu myuの撮影と、映画の舞台あいさつだよ」
「前髪、変じゃない?」
「大丈夫だよ。今日もかわいいまつ毛がキラキラよく見える」

まつ毛を褒められた私はすっかり調子に乗って、気付いたらモデルからの女優になっていた。
私をその気にさせた張本人のコーイチが今はマネージャーだった。

「コーイチって、ホント昔から私のまつ毛だけ褒めるよね」
「だって、本当にかわいいから」
コーイチのそのひとことは、いつも私に自信をくれた。

「まさかあんたがモデルや女優になるとはねぇ。変わった時代が来たもんだね」
顔を合わす度に容赦なく母はそう言った。
私もそれが正解だと思った。
やさしく笑いながら、時には素知らぬ顔で。
愛とも違う、恋とも違う不思議な力で、細い銀縁のめがね、いつも低い位置でひとまとめにした黒い髪、くちびるにはいつも無色のメンソレータムリップ。成績はすべて2寄りのギリギリオール3。そんな女の子を、ヒョイっと、ハードルの向こう側へとコーイチは投げ込んだ。

【ブルーチーズマスカルポーネディップ】
=材料=
ブルーチーズ
マスカルポーネ
はちみつ

りんご
クラッカー
かぼちゃ

=作り方=
1.かぼちゃを一口大に切り、竹ぐしがスッと通るように電子レンジで加熱します。
2.りんごはイチョウ切りにして塩水にくぐらせます
3.ブルーチーズ+マスカルポーネを好みの割合で混ぜ合わせ、はちみつを少しだけ入れて更にまぜます。
4.3を小さなカップにもりつけ、お皿にクラッカー、1のかぼちゃ、2のりんごの水分は拭き取り、お皿に盛ります。


いつもと一味変えてくれるブルーチーズとマスカルポーネのディップはフルーツにも野菜にもクラッカーにもよく合います。
お好きなものにつけて、さぁ、召し上がれ〜。

おいしいおつまみに今夜もごきげんです。

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