過保護
周りから見れば完全に過保護だった。彼女は。
17歳になっても門限は18時。
1分でも過ぎると彼女のお母さんは玄関から出てきて、立ち話をしている僕を追い払うようにして彼女を家の中へ連れて行った。
僕は彼女の両親に好かれないまでも、せめて嫌われないようにと18時までには彼女を見届けて帰るようにしていた。
それでも、育ちが悪いだとか父親がどこの誰だかわからないだとか僕についての好ましくない情報を彼女に言っていたようだ。
確かにきびしくされず放任主義の家庭で暮らす僕は、彼女の母親からすれば育ちは良くないのだろう。
父親がどこの誰だかわからないということも悲しいけれど否定はできない。時々会いにくる人がきっと父親なんだろうと思うけれど、本当にそうなのかは確認をしたことはない。ただ僕は信じている。僕の母と父親は今は一緒に暮らしてはいないけれど、その時は心から愛し合っていたのだと。
時々どうしようもなく会いたくなって僕は夜にそっとまた彼女の家の前まででかけていく。
「エリィ、ごはんよ」
ピアノの音が止み、食卓を囲む家族のシルエットがカーテンに映る。
彼女はとても恵まれた家庭で愛情をたっぷりと受けて育った。
正直なところ、もし僕が彼女をこの家から連れ出したとしても、愛すること以外には何もあげられはしないだろう。そんなことを思うと、ついため息がもれる。
「ニャー」
つぶらな瞳にふわふわとした茶色い毛のエリィ。
野良猫の僕が愛した彼女はゴールデン・レトリーバー。
【チェリービスケット】
=材料=
リングビスケット
チェリーコンポート
ホイップクリーム
さくらんぼ
=作り方=
リングビスケットを横半分にスライスしてチェリーコンポートとホイップクリームをはさみ、さくらんぼをのせてホイップクリームでデコレーションします。
コンポートの甘酸っぱさとフレッシュなさくらんぼの瑞々しさの二通りのさくらんぼを楽しめます。
ふわふわのクリームのあとからやってくるビスケットのしっかりとした噛みごたえに寝起きの脳がじわじわと目覚めてきます。