好きが増える。
これはなんだか楽しくなってきたぞ。
好きなのに出会えていなかったものに、ここのところどんどん出会えて心がコロコロと笑いながら転がるようによろこんでいる。
20冊以上持っているけれど、半分が未読のロアルド・ダール、『掃除婦のための手引き書』で知ったルシア・ベルリン、『ルビーが詰まった脚』で知ったジョーン・エイキン、とんでもなくぶっ飛んだ物語『短くて恐ろしいフィルの時代』で知ったジョージ・ソーンダーズ、そして『武器としての言葉の力』の中で知った稲垣足穂。
感情を置いといて淡々と語る文章や、わかるようでわからない、わからないようでやっぱりわからない。
どうやら私はそんなクセのある文章に惹かれるよう。
ロアルド・ダールの世界観は映画『チャーリーとチョコレート工場』で知ってから、稲垣足穂はさっき書いたように『武器としての言葉の力』という本の中でその文章の一部を知ってから本を購入したのだけれど、それ以外は全くのジャケ買いをした。
それでも見事に好きを引き当てることができて、好みの本を一目見てそれとわかる表紙のデザインをしてくれた方にはいつかお礼を言いたいです。
本を買う時に特別に意識をしているわけではないけれど、こうしてみると私が選ぶものは翻訳本が多い。
そんな中、今までその名前すらも知らなかった稲垣足穂の『一千一秒物語』は、読めば読むほどに、好きかも、好き、これは大好きだ!と引き込まれていく。
こんな本がもうずっと昔からあったことを知らなかったのがくやしいやら、こうして今出会えてうれしいやら。
「え?なんて?」
と、時々読み返してみるけれど、はっきりいってやっぱり意味がよくわからないのです。
でもその感じが私にはたまらなく気持ちいいんです。
むしろ、わかろうとして思わず読み返したら負けなんじゃないかと思う。
そんな姿を足穂さんが見ていたら、きっとクスクスと笑ってたんじゃないでしょうか。
『一千一秒物語』もまだ読みかけだけれど、稲垣足穂さん、あなたをもっと知りたい。
あぁ、これはきっとまた買っちゃうなー。