初恋
商店街でばったり会ったヤスヒロは、面影をしっかりと残しつつ、すっかりおじさんになっていた。
30年も経てばそりゃそうだよな。
うっかり水溜りに落として拾い上げたチョコボールみたいな顔をして炎天下で小さなボールに必死に喰らいつく野球小僧よりも、腰パン気味にダボッとしたパンツを履いて敵を交わしながら足で器用にボールを運ぶサッカー少年の方が、10代の頃の私は好きだった。
クールな顔をして広いグランドの中を走る背番号10番があの頃のヤスヒロだった。
怖いもん無しのようにちょっとオラオラしているところもカッコいいなんて思っていた。
初恋。そんなヤスヒロは私にとって初恋の人だった。
高校を卒業してからは会うことはなかったけれど、ふとしたはずみに思い出すと、やっぱりそれは間違いなく甘酸っぱいのだった。
「おう、美咲!ひっさしぶりだなぁー」
「本当、30年ぶりくらい?」
「だなぁ」
「変わらないなぁ、美咲は」
「変わったよー。お肉ぶよぶよだし〜」
「ヤスヒロも、変わらないよね」
「ぼちぼち白髪頭になってきたけどな」
「そりゃあ、ね」
「元気なうちにみんなで集まりたいな」
「そうだね」
「春美やマナブたちにも話してみるよ。決まったら来いよ」
「うん、わかった」
「んじゃ、またな」
「うん、またね」
久しぶりにヤスヒロに会ってみると、いつかまでは感じていたはずの甘酸っぱさは感じなかった。
ヤスヒロはあの頃と変わらないけれど、私の好みはあの頃とは変わっていたんだな。
【ナガノパープルと生ハムモッツァレラサラダ】
=材料= (1〜2人分)
ナガノパープル 4〜5粒
生ハム 2〜3枚
モッツァレラチーズ 20g程度
ベビーリーフ 適量
ピンクペッパー
好きな酢
オリーブオイル
塩
=作り方=
1.酢、オリーブオイル、塩を味を見ながら好みの分量で混ぜます。
2.ナガノパープルは半分に、生ハムは一口サイズに切ります。
3.お皿にベビーリーフを盛り、2とちぎったモッツァレラチーズをのせて1をかけてピンクペッパーをちらします。
私はフルーツピクルス用に自分で合わせたバニラとはちみつ香る酢を使いました。
ピクルスを食べつつ、もったいないので酢も使っていきます。
ジューシーで甘いナガノパープルのサラダにもよく合います。
まだまだ暑さの残るこの時期にいただく大粒の葡萄の甘く爽やかなサラダ。
おいしいおつまみに今夜もごきげんです。
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