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昨晩は台湾在住作家の片倉佳史さんと台湾式のおこわ=油飯、米糕について対談しました。

フリートーク「台灣の食文化」13回目

『油飯(iû-pn̄g:イウプン)』
 餅米を4、5時間水に浸けておき、水に浸けて干しエビや干しシイタケを戻しておきま す。細かく切ったエシャレットを炒めてから、干しシイタケを入れて炒め、次に細かく切 った豚バラ肉と干しシイタケを浸けておいた水を加えて炒め、その後に水に浸けておいた餅米を加え、醤油と米焼酎を入れて炒め続けます。均等に色が付いてきたら、胡麻油を入 れて均等にかき混ぜます。それを電鍋(tiān-ko:テンコー)=電気炊飯器に入れて蒸したら、油飯(iû-pn̄g)の出来上がりです。
 伝統的な生活を送る家庭主婦は旧暦7月7日 七娘媽生(Chhit-niû-má-senn)」と呼ばれる日に女神である「七娘媽(Chhit-niû-má)」(女性の守護神)を拝みます。7月7日は「七娘媽(Chhit-niû-má)」=女神の誕生日だからです。その時にお供え物として、 油飯(iû-pn̄g)と雞酒(ke-chiú)を準備します。また自分に16 歳以下の子供がいたら、7月7日の夕方に「床母(chhn̂g-bú) / 鳥母仔(chiáu-bú-á) / 鳥仔婆(chiáu-á-pô)」と呼ばれる幼児の守護神を拝み、子供が日中よく遊び、夜はぐっすり眠れることを願いま す。生後満6日、満12 日、満一ヶ月にも「床母(chhn̂g-bú)」を拝み、これらの時にも油飯(iû-pn̄g)や雞酒(ke-chiú)などが子供の寝床に用意されます。女性は子供を産んだ後、一ヶ月間静養しますが、その期間中に雞酒(ke-chiú)を飲みます。男の子が生 まれたら、満一ヶ月のお祝いで、油飯(iû-pn̄g)を親戚や親友に送る習慣があります。 だから油飯(iû-pn̄g)と雞酒(ke-chiú)は女性のお産、育児と密接に関わりがあるようです。

『筒仔米糕(tâng-á-bí-ko:タンガァビィコー)』
 エシャレット、干し椎茸、皮付き豚バラ肉、干しエビなどを弱火で炒め、それに米焼酎、 醤油、甘いとろみ醤油、胡椒、凍り砂糖、水などを加えて炒め煮ます。そして内側にラー ドを塗った筒状の容器に炒め煮した具と、水に浸けておいた餅米を入れて蒸しあげます。容器をひっくり返し、中に入っている蒸しあがった餅米をお皿などの上に出し、おろしにんにくや甜辣醬をかけ、香菜(iân-suinn:エンスゥイ)を載せます。

『甜米糕(tinn-bí-ko:ティービィコー)』
 電気炊飯器内の水に浸けておいた餅米に米焼酎を加えて炊き、米が炊き上がったら、黒砂糖や黄色い砂糖と、米焼酎に浸けておいた干し龍眼(龍眼干:lêng-kéng-koann)を加え、均等に混ぜ合わせてから、再び蒸します。蒸しあがったら、油を塗った型に詰め、固めて完成です。その後、冷蔵庫で保管します。完成品にさらに好みの量の水を加えて煮込めば、 以前この対談でも紹介した甘いお粥、米糕糜(bí-ko-môe)になります。

『秫米(chut-bí:ツゥッビィ)』
 中国語では糯米と呼ばれますが、台湾語や中国福建省の閩南語、閩東語、莆仙語では「秫米」と呼ばれています。(もちろん発音はお互いに微妙に違います)餅米には丸くて短い タイプの圓糯米と細長いタイプの長糯米、そして暗い紫色のものがあります。好みによって使い分けられます。

『龍眼干(lêng-kéng-koann):干し龍眼』
 龍眼(lêng-kéng / gêng-géng / leng-géng)を龍眼の木から作った薪(まき)を使って窯(かま)で 50 〜 60 度の熱で5日間燻し焼きます。焼きあがった龍眼の皮を剥いて、種を取って、中の果肉だけを保存します。

「珠記大橋頭油飯」台北市民權西路 186-1 號(重慶北路との交差点の近く)の油飯
景美(キイェンボエ)夜市の油飯
「呷二嘴」(chia'h-nn̄g-chúi)台北市甘州街 34 號の筒仔米糕(tâng-á-bí-ko:タンガァビィコー)
台北市東門市場で買った甜米糕

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