人には話したくないMBA挑戦の話
ちょうど社会人になって7年ぐらいが経過した頃、自身のキャリアにモヤモヤを感じていた。当時、日本の伝統的な大企業に勤務し、周りを見渡せば日本人のおじさんばかりで、決してグローバルとは言えない環境。毎週のように飲み会に行き、取引先を接待した。明け方まで飲んでも翌日は誰よりも早く出社した。でもこの生活を続けていて良いのか、自問自答していた。
環境を変えようとした。
当時、MBA(経営学修士)のことは何となく知っていたが、自分には遠い存在のように思えた。学校説明会に行くと、卒業生がズラリと並び、その話をじっと聞くたくさんの社会人。たくさんの人の中で自分が選ばれる要素って何だろう。
出願書類を見ると、GMAT、TOEFL、エッセイ、推薦状、面接(もちろ英語)…見ただけで吐き気がしてくる。
MBAランキングとやらを見ると、ハーバード、スタンフォード、コロンビアなど私でも聞いたことがある有名校が並んでいた。
なんかカッコいいな。
合格するかわからないけど、やってみるか。
挑戦する前から諦めたら、あとで挑戦しなかったことを後悔するよな。
よし、やろう!!
そう決めて、まずはGMATとTOEFLの対策本を購入した。
本を開くと… え、、、、たしかほぼ満点じゃないとトップ校には合格できないんだよな。。。これはいける自信ないな、、、
はやくもくじけそうになった。
その日から、早朝そして帰宅後に勉強をした。毎日3時間ぐらいだろうか。飲み会の日は勉強できず、自分自身に苛立ちを覚えた日もあった。
そんな生活を3か月ぐらいして受けたGMAT、TOEFL。
スコアを見ると、、、おいおい全然ダメじゃん俺。
落胆で疲労感が増した。
当時、デバリエ氏というMBAの業界では有名なカウンセラーにエッセイを見ていただいたが、そのスコアでは合格は無理と言われた。それでも、エッセイで挽回して、見返してやると意気込み、書き始めた。
「将来は、〇〇の社長になって、リーダーシップを発揮する」とか
「業界の問題を解決し、日本に貢献する」とか
聞こえの良い表現を並べた。。。
今思えば、まったく本心からはかけ離れていた。
出願の締め切りが近づき、一校だけにしぼって出願することにした。
そして、急いで上司に推薦状を書いてもらい(すごい迷惑)
出願料を振り込んで、応募を完了した。安堵感でいっぱいだった。
それから3週間後、面接に進めるか否かの結果発表日。
不合格。
面接なしで不合格。
あんなに苦労したのに不合格。メールたった一通で終わり。
これが挑戦1年目の話だ。
さらに追い打ちをかけたのは、同じエッセイカウンセラーのもとで励ましあった友人が、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)に合格。他の友人もWhartonに合格。
自分だけが落ちた。。。最悪だった。
翌年、スコアメイクして、同じ学校に再度挑戦した。しかし、、、
またしても不合格。
面接なしで不合格。
あんなに苦労したのに不合格。メールたった一通で終わり。
人生やめようかと思った。
何なんだこの仕組みは。どれだけお金と時間をかけさせるんだ。。。
もうMBAに挑戦するのはやめよ。
もう一年やっても合格するかわからんし。
俺は仕事で頑張ろう。
そう決めて、パタリと切り替えた。
転職活動を開始。留学準備のおかげで英語力が上がった。面接で自分をアピールするポイントを理解していた。ある企業から良いオファーをもらうことができ転職した。MBA受験の悔しさを晴らすように、仕事では成果を出した。
しかし、しかし、だ。
どうも気持ちがスッキリしない。なにかやり残したことがある。
MBA、やっぱやりたいな。
もはや冷静にMBA取得の合理性を考えることもなく、
ただ男が負けて終われない、
そんな気持ちがふつふつと出てきた。
その頃、ちょうど結婚をして、子供を授かったことも影響した。
カッコいいお父さんになりたいな
将来、子供に勉強しろって言うよりも、カッコいいお父さんの背中を見せて、子供が憧れて自ら勉強するような、そんなお父さんになりたいな。
うちの息子は、生まれたときに呼吸器系の疾患がみつかり、集中治療室に長く入院した。生死をさまよいながらも懸命に生きる息子をみて、逆にパワーをもらったことを覚えている。
よし、もう一度やろう。何度も挑戦した話を、将来、息子にしたい。
3回目の挑戦は、過去2回の失敗を振り返ることからはじめた。
・テストスコア ・・・トップ校の合格基準点はなんとかギリギリとれた。投資効果から考えて、スコアをさらに上げるよりも、他の要素に力を注ぐことにした。
・推薦状
アドミッションは「あなたを一番よく知っている人に書いてもらうのがベスト」と言うが、これは必ずしも正確ではないと思う。スクールの立場にたったとき、どのような学生に来てほしいと思うだろうか?それは、端的にいって「卒業後にスクールの価値を上げてくれる人」だ。
生徒が卒業後にスクールの価値を上げる方法は色々ある。
例えば、大企業の幹部になって大きなカンファレンスで登壇する人もいれば、ダイバーシティなどの社会問題に取り組み顕著なリーダーシップを発揮するなど。その人たちの経歴として学校名が様々なメディアを通して認識される。
なぜスクールはそのような人を求めるかと言えば、彼らのビジネスに影響するからだ。MBAランキングをご存じだろうか。外部機関が卒業後の給与上昇率、給与額、生徒の多様性などからスクールをランク付けする。スクールは非常にこのランキングを気にしている。
サイクルはこうだ
将来成功の可能性が高い生徒を受け入れる→
その生徒は卒業後に企業で成果を上げる・給料が上がる→
MBAランキングでスクールの順位が上がる→
良い生徒が惹きつけられる→
その生徒が卒業後に企業で成果をあげる→
企業とスクールの互いの利害が一致していく
企業:寄付をする。その結果、社費派遣の生徒の合格率を上げてもらう。社員はネットワークをつくり帰ってくる。それがまたビジネスにつながり、企業に利益をもたらす。
スクール:企業向けの高等教育プログラムを企業に買ってもらう。これが非常に高額でスクールにとって大きな収益源。また、教授から企業へのケーススタディ作成の依頼を受けてもらう。その教材はMBAなどの授業で使われる。また、企業視察を受け入れてもらうこともある)
もし、あなたの推薦状の推薦者が、グローバル企業日本法人のトップで、あなたを将来の幹部候補として高いポテンシャルがあると書いてくれたら、スクールはあなたを将来のグローバル企業幹部とみるだろう。これは非常に強い。
実際に私はこの方法を3回目の挑戦ではじめて使い、見事にはまった。
・エッセイ
3回目の挑戦では、Edoさんにエッセイのチェックをお願いした。私は長いあいだ自問自答する中で、書くべき内容(核となる部分)はEdoさんに相談する前から固まっていた。なので、文章構成・英語表現チェック・心に訴えかけるものがあるか、を客観的にチェックしてもらった。Edoさんからは、最終的に素晴らしい!のコメントを頂いた。
結論から言う。
エッセイで一番大事なことは
自分の恥ずかしい部分をさらけ出すことだ。
考えてみてほしい。あなたが審査官で何千件ものエッセイを読む立場だとして、読んでいて何も心が揺さぶられないエッセイに惹かれるだろうか。教室の限られた席を、ほかの人でなくあなたに与えたいと思うだろうか。人は、あなたの中で心の動きがあり、それが真実の話と感じられるときに、あなたに感情移入する。
単に〇〇プロジェクトでリーダーシップを発揮しました、だけだったら全く心がふるえない。つまらない。不合格へ一直線だ。
あなたには、幼少期、学生の頃、悔しかったこと、涙したことはないだろうか。
私の友人は、母子家庭で本当に貧しくて、周りを見返したいと思っていた。でも、そんなことをエッセイには書けないと思っていた。しかし、その頃の苦悩をさらけだした結果、涙せずにはいられない、人間らしいエッセイに仕上がった。彼女はトップスクールに合格した。
合格するエッセイは、他でもない、あなたの心の中にある。何日も何日も、自分に向き合うことで、突然、光が見える。必ず、あなたには、アドミッションの心を動かすストーリーがある。絶対だ。
きれいなストーリーを書くことはやめよう。
徹底的に自分をさらけ出す。
それこそがアドミッションが求めているものだ。
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まだまだ書き足りないが、私は、ここまで読んでくれたあなた(おそらく日本人であり、海外留学したいと強く想っている人)に合格を勝ち取ってほしいと心から願っている。もし私の学校 INSEAD(インシアード)のMBAに挑戦してくれたら、もっと嬉しい。
ここまでで書ききれなかった内容として以下のテーマがある。これは私の自身の経験から得た、成功率が高いアプローチ方法だ。もし本気でMBAに挑戦したいと考えている人がいれば、私までぜひ連絡してほしい。あなたの合格に向けて私も一緒に挑戦し、祝いのお酒を一緒に飲めたら、これに勝る喜びはない。その経験を一度で知ってしまうと、やめられないものだ。
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たくさんの人に読んでいただきたく、「有料記事を書いてみた」の企画に参加させていただきました。本記事はここまでで終わりで、ここまで無料です。
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