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『らんまん』第99回 始祖にして、永遠

 森有礼の死により、荒れる田邊。高等女学校長も解任されてしまいます。酒を飲み、荒れる田邊を聡子は止めます。

もう一度、自分の好きなことを

 聡子は、今の田辺を見たら森は何とおっしゃるかと訴えます。そもそもが忙しすぎる。学問がしたくてアメリカにわたり、コーネル大学に入った。そんな旦那様だからこそ森は信頼した。そう原点回帰を訴えます。
 田邊は多才でした。
 日本における植物学の第一人者となり、西洋音楽うあローマ字普及にも関わった。けれどもそれでかえってやりたいことを見失ったのではないか。そう聡子は問いかけます。
 庭にはシダがゆれています。田邊が好きな植物です。花も咲かない。種も飛ばさない。けれども植物の覇者だった。
 始祖にして永遠――このあとにつづくものたちがいる。そうシダと田邊を重ねる聡子。
「ありがとう」
 雨の庭でそう語る田邊は、幸せそうな顔に見えます。頬をつたうのは雨か、涙か。心の底からしみじみと、愛を受け取ったように見えました。
 田邊のような西洋かぶれの近代人からすれば、これぞ女神フローラです。学問の女神が目の前にあらわれて、自分を励ましてくれたんです。
 学問なんてわからない。そう聡子に対して諦念があった田邊。けれども彼女は彼を最も理解し、シダに重ねた。これぞ女神だ。女神がそばにいたのに気づかなかったなんて。そういう感動があふれていて、圧巻でした。

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