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【漫画】誇張し過ぎた女子高生実録『ゴクジョッ。』は「観念の女子高生」へのアンサーなのか?(物語概要とキャラ紹介)

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先日、宮崎摩耶先生の連載作品の『シノニム』について紹介文を書かせていただいたところ、ご本人にリポストいただきました。ありがとうございました。創作のプロに素人文章は甚だ耐え難いものと思うと非常に恥ずかしい想いではありますが、ピックアップいただいた御恩もありますので、今回は『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(以下、『ゴクジョッ。』)の紹介をさせてください。

これはショートアニメ化、そしてソシャゲ化した作品ですね。

全10巻で一旦完結をしておりますが、個人的には「漫画史上に残る怪作」と言っても過言ではないと思っています。

圧倒的破壊力を持った漫画を欲している方は是非読んでいただきたい作品です。

なお、本作品の紹介文については、面白過ぎて文章が長くなってしまったため記事を4回に分けて紹介することにしました。
即ち、

①:概要前編(物語概要とキャラ紹介)
②:概要後編(他作品との比較と考察)
③:傑作選
④:ご当地コラボ

の構成で進めていきます。

今回は「①:(物語概要とキャラ紹介)」です。

それではお付き合いください。


作者、宮崎摩耶先生と作品概要

ゴクジョッ。』の作者、宮崎摩耶先生については『シノニム』の紹介文を書いたときに一度紹介しておりますが、本作品は先生の代表作の一つです。

2009年に『ケータイ★まんが王国』で連載スタートし、その後月2回刊『スーパージャンプ』に移籍。同誌休刊後は同様に月2回刊の『グランドジャンプ』に移行して2015年末まで続きました。

作品のキャッチコピーは「赤裸々バカエロ女子高コメディ」となっているのですが、個人的には「誇張し過ぎた女子高生実録」と表現した方が伝わるような気もします

宮崎摩耶先生の作風は、もう一つの代表作『ミニマム』のような純愛やSFを始め、ファンタジー、バイオレンスまで、作風は非常に多彩で幅広いのですが、全ての作品の根底には成人誌時代に短編でバカエロギャグマンガを描きまくっていたころの経験で積み上げたものが大きいような気もしています。

しかも『ゴクジョ。』連載当時、『ミニマム』や『/Blush-DC 〜秘・蜜〜』そして『ジェノサイダー』(原作)なども同時進行で連載していた筈で、その筆の速さも驚かされます。

表紙からは想像できない「誇張し過ぎた女子高生実録」

読書に於いて、初読の本の内容の理解力を深めるには「読む前に仮説を立てる事」というのをよく言われますが、その仮説の立て方としては「タイトルや表紙や帯から情報を収集して、その情報を元に仮説を立てる」という方法があります。

では『ゴクジョッ。』の素晴らしさを言語化するにあたり、まず1巻の表紙を引用しましょう。


『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第1巻より引用


全体的にピンクで、女性が集まっており、一瞬多少の「甘ったるさ」を感じました。

「甘ったるい」というのは、「女性が幼児的でおっとりしたかわいらしさを醸し出す」というニュアンスです。

しかし、タイトルが『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』。

そして、作者名が『宮崎摩耶』先生。更に右下に綾波レイ似が「黒魔術」という言語でやたら威圧してくるため、良い意味でざわつきを覚えました。

正直、表紙だけではどんな話になっているか全く読めない。
ターゲットはどの辺なんだろう。萌えが好きな男性?少女同性愛?
ちょっとエッチなのは何となく想像がつきます。

しかし綾波が「黒魔術」は卑怯過ぎるでしょ(笑)

…で、第2巻の表紙がこれですからね。

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第2巻より引用

え?格闘漫画?

何処を目指しているのかしら(笑)

しかし実際に読んでみると、読者(私)は作者の発想に悉く裏切られ、声を出して笑い転げてしまったにも関わらず、何故か良質のスポーツ漫画を読んだような爽快感や、侍ジャイアンツのような熱血アニメを見たような読後感まで感じてしまうという有様でした。

そうだよなあ、この先生、こういうデカい棍棒をぶん回すタイプの作家としての一面持ってるんだよなあ、と納得感の方が大きかったです。

物語の舞台は「JR新とちぎ駅」

そんな予測不能な本作品ですが、物語の舞台は栃木県の架空の都市「JR新とちぎ駅」
その周辺にある『極楽院女子高等学校』とその女子寮を舞台とした日常モノです。

これだけ聞くとゆるい萌えアニメっぽい雰囲気ですが、内容はかなりぶっ飛んでおりある意味革新的で漫画史上に残る女子高生像を描いたのではないかと思います。

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第1巻より引用
女子寮
正門おかしくない?

特に女子高生に対して革新的な扱いをしています。
細かい話は抜きにしてこのコマだけ引用すれば何となく雰囲気を感じられるかと思います。

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第9巻より引用

正月の深夜の寒空に、箱を被って尻出して徘徊する女子高生を描く漫画なんて今まであったのか?

否、恐らく無かったと思います。

そんな彼女の名前は『赤羽 亜矢』といい、容姿は整っており自身はカリスマギャルを目指しているのですが、実際はパギャル(中途半端ギャル)以下で、更に下品で騒がしく、小物ムーブをかましては自業自得に陥るなど、いつも周囲を巻き込んでトラブルを起こします。

そして女子高生らしく、男性や性に対し興味深々ですが、性知識も恋愛レベルも小3以下で、男性にモテる気配がありません。

美人でスタイル抜群の筈なのに、日頃の素行のせいで、脱いでもどこか親方のような雰囲気が醸し出されてしまいます。

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第1巻より引用
散々女子高生の裸が出てくる漫画ですがいやらしくない(笑)

ただ、間違った妄想とそれを実行してしまうパワーだけはめちゃくちゃある。

そんな彼女が、周囲の友人たちを巻き込みながら、

勉学に勤しみ

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第6巻より引用


友人たちに支えられ

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第4巻より引用


時には競い合い

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第1巻より引用
通常の女子高生が登場する漫画の身体測定ってサービス回じゃないのかよ


時には苦しみを分かち合い

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第5巻より引用


そして時には恋に落ちそうになりながらも

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第3巻より引用


互いに成長していく

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第2巻より引用
このシーン地獄過ぎる


友情物語です。

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第8巻より引用


ちなみに赤羽亜矢のモデルは作者自身で、5割から8割は自身の体験や見聞きしたものを盛り込んで話を作ったという事です。

全裸で箱被ったの?(笑)と思うのですが、恐らくネタとして構築して咀嚼しています。

とは言え5割から8割が自分を反映していたら、もうこれ「私小説」ならぬ「私漫画」だよな?と思わぬ事もないです。

奇想天外な亜矢の友人たち

そんな奇想天外な作品の主要登場人物をざっくり紹介していきます。
主人公の赤羽亜矢は先述の通りなので、彼女の周囲の友人たちを取り上げます。

『ゴクジョッ。〜極楽院女子高寮物語〜』(宮崎摩耶/集英社)第2巻より引用

亜矢は保健室が駄弁り場で、そこに5人の友人が集まります。
亜矢からはガサツでひどい扱いを受けているのに、何故か一緒にいるという間柄です。

土呂 小夏(2-A)

中学生時代から一緒にいる、亜矢大好きで虐げられても一緒にいるドMで無毛のロリッ子。
しかし内心では亜矢を少し見下しており、無邪気に失礼な発言をする。実家が富豪で、母から変わった下着(SM女王様)を送られてくる。

七里 愛(2-A)

周囲から地味と言われているが、中学時代は共学、この中では男性に一番モテる。
表面上は一番常識があり、お淑やかで、他の友人と巧く折り合いをつけているが、実はムッツリスケベで、一番性に精通している。その事で秘密を暴露されると高い戦闘力を発揮する。
亜矢からは見下されているが、亜矢が放っておけず結局面倒を見てしまう。

大和田 円(2-B)

抜群の美貌と豊満な胸を活かしグラビアを中心に芸能活動しているが、実は腐女子で、妄想だけで絶頂に達することが可能。男女構わず好きで、亜矢を含め全員に欲情している。腐女子が過ぎて、エロ漫画を描いており、入賞したりと実力はある。実は『/Blush-DC 〜秘・蜜〜』の大和田の妹らしい。

宇都宮 飛鳥(2-B)

無口で無表情な霊能力少女で、助言者的立ち位置だが、影では名スナイパー。
同性愛者で亜矢がお気に入り。霊能力を口実に、熱いパトスで亜矢たちを触ろうとする。
名前が零では無く飛鳥。こんな時、どんな顔すればいい分からない。

栗橋 南(2-B)

嫌味な金持ちお嬢様キャラで、自分自身は皆の憧れの的と思っているが、友達はおらず、周囲の皆はモップと思っている。唯一の(夜の)友だちが電動歯ブラシ。友だちがいないことと保健委員な事でなし崩しに亜矢のグループと行動を共にする。
亜矢の可愛さを認め、ライバルと思っているが、亜矢からは「栗林」と呼ばれる。

そして、亜矢のガサツな人格を形成したトラウマの二人が亜矢を温かく(冷たく)見守ります。

尾久 要(養護教諭)

養護教諭なのに亜矢たちのクラスの2-A担任で、レディース『関東極女連合』の元総長。ジャイアン系女子で、亜矢は中学校の頃からパシリの一人として使われた為、彼女のトラウマの一人となり、人格形成に多大な貢献をした。天狗様。

赤羽 沙矢(3年)

亜矢の姉で、生徒会副会長と剣道部主将を兼ねる。皆が認めるお淑やかな美女だが、実は『関東極女連合』の現総長(3代目?)で、尾久先生大好き。
亜矢が大好きだが、笑顔でキレるので感情が読めない。亜矢にはトラウマの一人。

なお、登場人物の名字は基本的にJR宇都宮線に、JR埼京線、東武アーバンパークライン(東武野田線。大宮から出ている)から取っているようです。

ここまで読んで、興味を持たれた方
というか、ここまで読んだらもう嵌る事請け合いなので、こちらから購入して読んでみてください。どこを切っても面白いので10巻からでも大丈夫です。

次回は更に深堀りします

ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。
今回はまだ読んだ事が無い人向けにはいい内容では無いかと思います。
是非手に取って、もしくは電子書籍で購入し読んでみてください。

作品が面白過ぎるためか筆が走り過ぎて4部構成、もしかしたら5部構成に変更じゃないかと危惧しておりますが、次回は「観念の女子高生」と「リアル女子高生」を深堀りしながら、この怪作の革新性を言語化していきたいと思います。

次回は、この作品を読んだ方、女子高生実録漫画と思っている方向けかな?と思いますが、どうでしょう。

それは読んで確かめてください。
それでは引き続き宜しくお願い致します。

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