土が食べられるレストランに行ってきた
企画などで過去話を書いていたらよく昔のことを思い出すようになる。ある日、ままごとで本気で砂を食った話を思い出した。
するとうさう女史がコメントでこんな話を聞かせくれた。
うさう女史は謎の雑学王というか、なぜかフランス語や英語が話せたり意外な人脈を持っていたり、よくそんなこと知ってんなーというネタを時々教えてくれたりと面白い話を聞かせてくれるんだよな。
そんなおもしろうさうたんとおしゃべりできるのは来週金曜、22時から飲み会ライブあり。スタエフでうさうたんとトークしたい人はレッツ参加(ボキャ貧)。詳細はこちらの記事で。
で、あ、そうそう、その土が食べられるレストランってのは五反田のシャレオツなフランス料理店だった。
土と言ってももちろんフランス料理に使うくらいなのでそこらへんの土っていうわけではなく、実際の食事に使える由緒正しい土らしい。なんか栃木産とか聞いた。
んでちょうど先日のホワイトデー、彼女にバレンタインにゴディバの高級チョコレートもらったから、お礼に何かおしゃれな店に連れて行きたかったんだけど、3月は色々忙しいらしかったので、スタバですませていた。
んで4月に改めてどこかに行こうって話だったんだよな。ただ土が食えるレストランってのがおしゃれな店かは謎だが、彼女にその話をしたら「行ってみたい!」と即食いついてくれたので即予約をした。
五反田駅から徒歩8分。土のコースと言うのは5日前からの予約必須。俺はウェブサイトで火曜日に予約したから結構ギリギリだったらしい、あぶね。
まず飲み物。ここのメインは土が食べられるって話だったが、なぜかスイカ押しの店でもある。スイカのシャンパン、スイカのショートケーキというメニューがあった、とりあえずスイカのシャンパンを注文。
丸くくりぬかれたスイカの実が入った白シャンパン。普通に美味いがアルコール度数強めかも。俺は酒は強くも弱くもないが、そんなに酒好きじゃないから普段は自主的には飲まない。付き合いの飲み会なんかで、ビールかカクテル三、四杯飲んだらちょっと酔ってきたからこのへんにしてあとはソフトドリンクにしようってレベル。その俺が一杯飲んでくらっとしたくらいだったから…今ネットで調べたらビールはアルコール度数5%、シャンパンは15%とあって納得(種類にもよるんだろうけど)、俺のアルコール耐久度は15%ってとこか。この後はジンジャエールと炭酸水にした。
あと関係ないけどこのお手拭き、肌触りめっちゃよかった。
オードブル、この時点ではまだ土は出てこない。なんだか(´∀`*)ウフフとか言いたくなる前菜、たことオリーブ。
ついに土前菜。ひらめとあわびとあさつき、土のゼリー。
土のゼリーは無味無臭。このゼリー、ちょっと土の香りがするかな?というくらい。あわびの塩味とコリコリした食感、あさつきの香りがいい。この皿は基本あわびの味に頼っていた。
最初に来たのは、ライ麦パンの間にバターが挟まれたパン。香料のようなハーブのようないい香りがした。この切り株みたいな皿にパンが乗るってのがシャレオツ。
その後はカンパーニュという少し酸味のあるパン。後で残った土のドレッシングやソースをつけて食べるのに相性がいいかもしれない。
二皿目、アスパラガスとホタルイカ、土のドレッシング。
ドレッシングはちょっと土っぽかったかな。もたっとしてた。匂いは…ホタルイカの海の匂いが強いからあまり泥臭いという感じはしない。むしろ海鮮の匂いで土っぽさを消す作戦か? ドレッシングというより、ホタルイカの塩気でサラダが美味く食える。あわびと同様、メインを海鮮の味が主導している感じ。
三皿目はヌキテパの看板メニューとのこと、「焼き蛤」。看板土じゃねーのか。これは土関係なかった。
隙間のあるちょうつがいにフォークをいれるとぱかっと開く、という説明どおり、本当にぱかっと開いた。
「ひとくちでおめしあがりください」と給仕のおねえさんにいい笑顔で言われた。
肉厚で美味いけど俺は猫舌だから一口は無理。彼女は一口で食ってた。なんか長男長女は最初の子ってことで親にふーふーしてもらうから猫舌が多いって笑われた(彼女は末っ子)…俺は戸籍上は次男だけどおかんが結婚するまでは長男だったからなあ…。(※初めて自腹を切ったホワイトデー参照)
次に出てきたのはシュークリース…って聞いた気がしたんだけど、英語でサプライズっていう意味だって言われた、ごめん正式名称忘れた。ただたしかに驚いた、ごろっとした泥団子みたい、これ食わせる気かって。
マッシュポテトとトリュフを土でコーティングして、自家製ポップコーンを散らしてある。
ただコーティングした土はもちろん泥ではなく、何か小麦粉かなにかをまぶしたような食感。普通に美味いお上品なマッシュポテトだった。
それから磯と土のスープ。
海鮮の匂いと味がぶわっとするので土の感じはよくわからない。とにかく塩味が強い。ブイヤベースをスープにしたような味で、海鮮たっぷりだなという印象が残った。
ここの料理、インターバルは長くなくて結構サクサク来る。ただスープからメインの間は少し時間がかかった。
メインディッシュ、鯛とヒラメのムニエル、古代米と土のリゾット。
つか古代米とか現代で食えるの。土の部分は無味無臭ですごく味が薄くて薬膳料理みたいな感じ、鯛やヒラメと一緒に食べると塩気がちょうどよくなる。ムニエルと言うか焼き魚という感じで、すごく健康的な味だった。フレンチというよりかなりシンプルな和食に近い味。
それからいよいよデザート、すいかのショートケーキかいちごのミルフィーユ、土のブリュレからいずれか三種選べるらしい。
土のコースを選んだ以上、最後まで土で行こうと思って土のブリュレをチョイス。
ただ、ネットでは土のアイスクリームを食べた人がいたけど、季節的にやっていないのかなと思ったら、頼んだデザートが来る前に来た。フランス料理のコースってオーダーする以外のデザートがつくことがあるんだな…選べるデザートのほかにお茶菓子とかつくらしい。彼女に聞くまで知らんかった。
この土のアイス、ネットで感想を言っていた人はじゃりじゃりして一番土っぽいという話だったが、思ったほどではない。つかまず甘い。
黒糖のような黒蜜のような、和風の濃い甘さ。それから食感はじゃりじゃりというよりシャリシャリ、不快感のない土っぽさだった。
その後にきたブリュレ。これはブリュレっていうより…パンケーキとかそっちに近い食感だったかも。
珈琲より前にデザートが来たなと思ったら珈琲と一緒に何か未予告の菓子がついてきた。これが彼女に行っていた、フランス料理のコースに組まれてはないけどついてくる茶菓子デザートか! でも俺はアイスとブリュレで定量だったから、フィナンシェとチョコレートは彼女にやった。女子は甘いものの別腹があるらしい、すごく美味しいと喜んでた。
…と、以上が例の「土のフルコース」。
あと関係ないけどこの店、お手拭きの手触りがめちゃくちゃよかったんだよな。もう一度撫でまわしたい。
とにかくすごく面白い経験が出来た、教えてくれてありがとううさう女史。
一言で言うと土そのものは無味無臭で、海鮮で味にアクセントをつけているって感じ。
めちゃくちゃうめえ!ってほどではないけど、とにかく何が出てくるかって驚きに満ちていたし、こんなやり方で料理ができる、という技巧を見せてくれて、楽しく食事が出来た。
どんな食材を、どう料理しているか説明を聞いて、目で楽しんで、耳で楽しんで、舌で楽しむ。
スローフードっていうのはこうやって楽しむものなんだな。食べるアート、食べるレジャーという感じ。