【ショートショート】野外ライブ ♯てるてる坊主のラブレター
高幸が首を吊って亡くなった日、天気予報に反して鮮やかに澄み切った青空が広がった。
昨日までの集中豪雨で幹線道路のアンダーパスでは車が水没し、立ち往生したというニュースが流れた。
分厚く重々しげな雨雲は、一晩のうちに不思議なほど消え失せていた。
拍子抜けするような晴天の中、玲子は駅までの道を急いでいた。
雨で中止になると諦めかけたところ、思いがけない晴天。
玲子の足取りは軽い。
野外ライブ会場に到着すると玲子の顔を見るなり、
「高幸さんはまだ来てませんね」
運営スタッフが怪訝な表情を浮かべる。
確かに高幸が連絡無しに遅刻する事など、これまでに一度もなかったので、玲子もおかしいなと思った。
玲子にとってこの野外ライブの出演は、ようやく掴んだチャンスだった。
飛躍してやる、と意気込んだ。
こうして、このライブを機に玲子は一躍売れっ子歌手になる。
夕焼け空を見上げて回想する。
「天国からのラブレターだったのかしら」
玲子はそう言ってほくそ笑んだ。
410文字
~あとがき~
初めて参加させていただきました。
後味の悪い作品になってしまってすいません・・💦
爽やかな作品が書けるようになりたいなあ。。と思うけど、性格がそうはさせてくれないようで・・次も頑張ります。