佐々木昭一郎という奇跡
「川の流れはバイオリンの音」佐々木昭一郎
絶対音感を持つ主人公
ここでは欧州で旅をする。
人がさすらうように旅をする。
色々な出会いがある。
殆どスジはそういうドラマで、観た時はドキュメントなのかなと思いましたが佐々木昭一郎さんはドラマを作っているそうなので…
セミ・ドキュメンタリードラマなのだろう。
この中尾幸世さんという女性を主演にして幾つか繊細なドラマを作って海外で賞をとった。
そんな佐々木昭一郎さんが先月大和市で亡くなったそうだ。
音叉
海の波の音
聴き取れるかどうかの声
せせらぎ
一瞬の風の音
風鈴
雪がスッと溶けてなくなるようなはかなさ
そんなものと同時に少年少女〜老人達が生きていたという…ただそれだけのようで
だけど貴重な映像を撮っていた。
「四季 ユートピアノ」よりも前に製作した
「さすらい」「紅い花」は物語性がまだある。
「さすらい」ではデビュー前の友川かずきが抜擢されて主人公と一緒に出ていた。
それとトップ画にもある遠藤賢司は唐突に「カレーライス」を歌う。歌の最後のオチにある事件をひとことそえる。当時有名な事件だ…
「痛いだろうに…」という優しさで「馬鹿だね」と言っている歌だ。
「カレーライス」遠藤賢司
猫を飼っている同棲中のカップル…
学生運動が終わってしらけ世代の幕開けのような唄
ドラマ「紅い花」
既に芸術作品を描いていると云われているつげ義春の短編集をつなぎ合わせて作ったドラマ。
つげ義春自身はこのドラマには思想が入っているので良くないと言っていたそうだが(又聞きです)
確かに古本屋の少女の所に色濃く入れている。
あとは戦争中に手を離してしまった兄の後悔
戦争と子供達の話しを描いている。
キクチサヨコ
は、つげ義春の漫画でも人気者で
ドラマのキクチサヨコはやはり美しい。
つげ義春の「沼」の巻は、私は分からなかったのだが
解釈を知って私はびっくりした。
暗に義兄が、義理の妹が寝ているのを良いことに
犯すという事を
遠回しに語っている。
確かに芸術というか、文学の域に達しています。
ドラマの方は、そこの部分がわかりやすい。
キクチサヨコ役の娘が「沼」でも妹役を演じているので、漫画を知らない人は混乱したかもしれない。
他にも佐々木昭一郎さんは
色々撮っていますが全ては観ていません。
また佐々木昭一郎さんは
実はNHK的には歓迎されない
難解なドラマの製作者として待遇はあまりよく無かったようだ。
だが海外では密かに評価をされていた。
そして佐々木昭一郎さんは密かに亡くなった。
フェデリコ・フェリーニ並にもっと日本でも海外でも惜しんで欲しい奇跡の存在だった。