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○○記念日


子どものころ、誕生日が『何の日』なのか友だち同士で調べ合うことが流行っていた。
祝日やクリスマス、バレンタインといった記念日系の他に、いちごの日やいい夫婦の日のような語呂合わせ系、ソフトクリームの日や海苔の日、歩道橋の日など、すぐにはピンとこないものまで。可愛らしい記念日の子がいると皆んなで「いいな〜」と言い合った。なにが良かったのかは分からない。

そんなわたしの誕生日は、幽霊の日。
微妙、かなり微妙だ。いま改めて調べてみると、江戸時代に怪談歌舞伎が初演されたことが由来になっているらしいけど、それにしても誕生日が幽霊の日というのは少々縁起が悪い気がする。別にわたしは怪談が好きなわけではないし (どちらかというと苦手)、霊感があるわけでもない。まだ幽霊にはなりたくありません。

『何の日』かと同じように、誕生日が同じ有名人を調べることもあるあるだった。
誕生日の話題になって「誰と一緒なの?」と聞かれたときに「くまだまさし」と答えると (大人になった今でも) 百発百中で笑いが取れるので、くまだまさしには感謝しています。



24歳の目標!とかそういう内容を期待されていた方は、ごめんなさい。少し考えてみたりもしたけれど、いい感じのものが思いつかなかった。
振り返ってみれば、1年のはじめ(誕生日に限らず新年だったり新年度だったり)に立てた目標って、達成された試しがない。たいてい思いもよらぬことが起こって全く違う方向に舵を切ったり、めんどくさくなったり、そもそも立てた目標を忘れたりする。達成できなかったという罪悪感だけが自分の首を締め付けるような気が、する。

その代わりにと言ってはなんだけど、誕生日を祝ってもらった日の記録を残すことにした。
年を取る意味合いは年々変わりつつあるけど、誕生日を祝ってもらうときの嬉しさと恥ずかしさが混じったようなむず痒さは、物心ついたときから変わらない。

7月26日生まれの皆さん、お誕生日おめでとうございます。あなたの1年が健やかで穏やかで、思い出に満ちたものとなりますように。


7月21日(日)

ティンダー・エフェクト・レモンケーキを読んでから、日記で「○○の友だち」と呼ぶことに憧れる。それでいうと、この日に会ったのは踊る友だちだ。出会ったころから今まで、彼女はずっと踊り続けている。

本当は天王洲でやっているジブリ展に行きたかったのだけど、チケットが取れなかったのでイマーシブ美術展とやらに行くことになった。没入体験なんて呼ばれている、スクリーンに映された映像と音楽で絵画を楽しむという、あれ。今までこういう類の展覧会には行ったことがなくて (どちらかというと忌避していたタイプ)、どんなもんじゃいと思っていたのだけど、結論、意外と良かった。

絵と音楽と文字(言葉)のすべてが一体になることで楽しめる感じ。たとえば音楽がなくて映像だけだったら、つまらなくて寝てしまうと思う。これが没入体験とやらね、なるほど〜という感想を抱いた。
もちろん実物の絵画を見るときの、絵の具の立体感だったりタッチだったり、そういうものは分からない。だから本当に「それぞれの良さがある」ってやつだと思う。

物販コーナーもあった。ガチャガチャを発見したので、それぞれ1回ずつまわした。バレリーナの柄が良いな、と踊る友だちが言うので、じゃあわたしはこれかな、と言って花の絵を指差す。カプセルが出てきてびっくり、お互いに目当てを引き当ててしまった。「口にしてみるもんだね〜」と話しながら人混みを抜けて、太陽光が突き刺さる歩行者天国に出る。
落ち着いて話ができる場所に行こうか、という定番の流れ。彼女とは半年ぐらい会ってなかったので、近況報告をしながらしばらく歩いた。わたしは就活の報告を。踊る友だちは相変わらず踊っていた。
千疋屋の前を通り過ぎて、星乃珈琲に入る。わたしはいちごのパフェを、昼食を食べていないという友だちは熟考の末にパスタを注文した。

「そうだ! これ、食べる前に」
アニエスベーの紙袋を差し出される。誕生日祝いと就職先が決まったお祝いに、とのこと。アニエスベー好きなこと知ってたの!?と驚いて見せると、「いやいや知ってるでしょ」と笑う友だち。ふふ、ツッコんでくれて嬉しい。その日もわたしはアニエスベーの鞄を持っていた。

紙袋の中身は、カードケースだった。
名刺入れとしても使えるし、他のカード入れとしても使える。淡いベージュに水色がアクセントとして入っていて、自然に「か、かわいい......!」と口から出ていた。

「ベージュだけの色と悩んだんだけど、私はこっちの色の方が好きだったから。どうせなら好きなものをあげたいな、って」

そう話す彼女に、彼女らしさを感じる。わたしは彼女のそういうところが好きだ。共通点はなくて、性格も違っていて、好きなものも違っていて、仲が良いと言うと必ず意外だと驚かれる。でも不思議と心地いい。頻繁に連絡をとるわけではないし、会うのも不定期だけど、細く長く関係を築いていきたい。あと、彼女には踊り続けていてほしい。踊っている彼女が好きなので。

帰り道、ひと駅先の本屋に行くために電車を使おうとするわたしに「○○はそういうタイプだよね〜、私は歩いちゃう」と言う友だち。「分かってんじゃん!」と、嬉しく思ったのでした。




7月23日(火)

4時半に起床。わたしを甘やかしてくれる友だちは、何処そこに行きたいと主張するわたしに例外なく「いいね行こう」と返してくれる。この日もわたしの希望で築地へ。築地は平日の朝から盛り上がっていた。

ホルモン丼と肉豆腐

韓国人のおっちゃんがやっている店で食べたカンジャンセウとケジャンスープも美味しかった。マシッソヨ?と聞くおっちゃんに、マシッソヨ〜〜!!と親指をたてる私たち。「お金は美味しかったらちょうだいね!」と言われて、美味しかったので払った。
まぐろの海苔巻きと卵焼きを食べたところで満腹になったので、潔く撤退する。
何ヶ月か前に博物館について話したことを思い出した。上野の国立科学博物館に行くことを提案したら、「あんた天才?」と言う友だち。今日も今日とて甘やかしてくれる。

とは言っても、この時点で8時過ぎ。博物館の開館は9時なので、上野公園にあるスタバで休憩することになった。ブラックコーヒーを注文するわたしの隣で、感慨深そうな友だち。飲めるようになってから5年は経つのに、未だに感動してくれる。

なんだか楽しそうなオラウータンの骨

常設展だけなら大人600円で入れるって知ってました!?!?!?!?
今まで特別展に行ったことはあったけど、なかなか常設まで手が回らなかったので初めて足を踏み入れた。まず驚くのが展示の量。日本館が地上3階、地球館は地下3階から地上3階まであって、1日かけても楽しめそう。あと、大人になってからの方が楽しい。
化学のコーナーではしゃぐわたしと、骨格に興奮している友だち。「分からないね〜」って言い合いながら、なんとなく流すのも楽しかった。

博物館を出たあとは、かき氷を食べに行った。
台帳に記入してから名前を呼ばれるまで、あまりに暑いので近くのスーパーに避難。
「よし、じゃあヨーグルト総選挙をしよう」
数多く並んでいるヨーグルトの中から、お気に入りを発表するだけの遊びを提案すると、すぐに乗ってくれる友だち。牛乳総選挙、キムチ総選挙、ポテチ総選挙を開催して、結局スーパーで45分ぐらい過ごした。納豆は絶対に小粒が好き。ブルボンは正義。薬味のミックスパックはありがたい。

桃アールグレイ🍑


「そういえば、もうすぐ誕生日じゃん」
プレゼント考えたんだけどさ、ほら、あなたこだわり屋さんじゃない?
そんなことを言う友だちに手を叩いて笑ってしまった。本当に、よくわたしのことを分かっている。
相談した末に、東京駅の大丸で一緒に選んだ化粧品をプレゼントしてもらった。はじめは美容部員さんと一緒に褒めてくれていた友だちだけど、あまりに上機嫌なわたしに「これ以上ほめると調子乗る」と言って途中からはあしらわれた。でも最後は褒めてくれた。やっぱり甘やかされている。

「わたしの友だち、本当に大変だと思う」なんて溢すわたしに「そうだね」と返す友だち。いや否定せんのかい。頑固でわがままで面倒くさい厄介なわたしだけど、どうか末長く仲良くしてください。


7月26日(金)

アサコイワヤナギのパフェを食べるという夢が叶った

年を重ねたこと自体に実感はないけれど、こうやって祝ってもらうと、誕生日なんだなあ〜という感じがする。ハタチの頃に比べたらすごく大人になった感じがするけど、きっと数年後に振り返ってみたらまだまだ子どもなんだと思う。一方で、むかし思い描いていた24歳からは程遠くて、全く成長していないような気もする。でも、これに関しても幾つになったとて変わらないんだと思う。もっと大人だと思ってた〜!を繰り返しながら、いつのまにか皆んな大人になっていく。

やりたいことは沢山ある。でも、まずは自分の体に正直になれるように。結局、目標みたいになっちゃった。

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