私の濁った世界を、あなたの抱擁はそれを濾過するかのように。幾重にもなる、柔らかく繊細な、その糸の結びたちが、余計なものを絡め取って、美しさだけがするり、と抜け出でて、最後にポツン。と、澄んだ一雫だけを、指先で掬い取って、口に含む。

そんな優しさが欲しい、私の世界を、私が悲しい世界を、誰かの抱擁で、濾過して、綺麗なところを私に食べさせて。

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