連続テレビ小説「ブギウギ」観賞記録(第26週(最終週)「世紀のうた 心のうた」)
・スズ子が歌手引退の決意を善一に話す。「引退させないよ」「(スズ子のために書いた)楽曲を全て葬り去る事になる」「歌手を辞めるなた絶縁する」どの言葉もスズ子と共に歩んできた善一だからこその厳しい言葉が並ぶ。
・しかしのその善一の表情はいつもの穏やかな表情の中で怒りを感じ、絶望を感じ、失望を感じ、切なさや悲しさを感じるような今にも泣きだしそうな感情を揺さぶる表情だった。
・史実的にスズ子が引退を決めたのは色々あるようだし、その後は鼻歌さえ歌わない程だと聞くがドラマではアユミの登場から力を貰い、すべてやり切った感覚だったのが良く分かる。
・スズ子の歌手引退に対してちゃんと尊重できるりつ子、まさに同志であり戦友だったなと。しかし麻里も一緒だけど「二人とも苦しんでしまえばいい」なんて愛のある言葉だよなと思った。何度も書いたがスズ子は周囲に恵まれていると思う。
・スズ子の歌手引退報告会見、やはりというか鮫島が意地悪な質問をするがスズ子は彼女らしく清々しく時に笑いを交えた爽やかな会見だった。
・素晴らしいと思ったのはその後鮫島が他の記者と一緒に帽子を脱いで拍手を送った事。なんというか鮫島のキャラに「マスゴミ」という言葉が浮かんでいるが彼もちゃんと取材相手には敬意を持って接している事が分かる事。
・確かに相手を煽ったりしてその反応を脚色して記事にしていると思うが少なくとも心の底では相手を陥れないようとしているのではないかと感じるのはドラマならでは綺麗事かな(苦笑)ただちゃんと鮫島と言う人間をただの悪意だけで描いていない事が良かった。
・自宅に帰って愛子や大野や小田島親子の前で「血のつながりは関係ない」と話すスズ子、思えばツヤ自体がそうであったしちゃんとそれはスズ子にも引き継がれている、それはドラマ上で何度も描かれているがスズ子の台詞によって凝縮されているのも何か嬉しい。
・スズ子と出会ってから善一と言う人物はまさに「天才」と言う感じのキャラクターで回想にあったように時にスズ子を導き、その笑顔と言葉でスズ子の歌手としての道を一緒に歩いていってくれる存在だと思っていた。
・スズ子が決めた「引退」に対しての態度に対して謝罪した善一は自分の本音を吐露してお互いの正直な気持ちをぶつけ合って泣き笑いの場面は善一と「天才」キャラの人間的魅力が詰まった良い場面であった。
・スズ子の最後のコンサート、その前に愛子が言っていた「マミーは二度と歌わない」これって史実の中にあった実の娘さんが鼻歌さえ歌わなかった事を補完しているのかなと思った、それと同時に実の子供だからこそ、子供らしく親の気持ちに気付いているというか印象深い場面であった。
・そして最後のコンサート、やはり最終回、大団円らしくリリーや和希や林が来て客席にはアオイも居て観ていて嬉しかったし松永や辛島の姿もあり、坂口や山下も楽屋へ駆けつけたりとスズ子の歌手としての人生に携わった人が集まって良かった。
・タイ子や小夜も手紙で再登場もあったが吾郎、チズ夫妻や伝蔵も出てきて欲しかった(後で知ったが花を送っていた場面があったようだ)時間的にも厳しいのかもしれないがどうせなら本当にスズ子に関係のあった人物は全員出て欲しかったかなと思うがそれは贅沢かなとも思う。
・コンサートの後は自分の家で大野やタケシたちとの日常シーンで終わりこのまま続いていく様なラストであった、これからも続いていく様な余韻を残す明るい終わり方だった。
・全編通してスズ子演じる趣里さんの魅力と歌に力が入った作品だったが前作「らんまん」同様、もう少し描いてほしい人物もいたしエピソードも欲しかったし序盤の桃のエピソードも何故手に入ったのかも明かされず細かいところは僕自身は気になってしまった箇所もあった。
・今の朝ドラは「らんまん」から観始めたが以前と違い月曜から金曜までで土曜までやらず回数的には減っている、勿論この「ブギウギ」も「らんまん」も良い作品であったが月曜から土曜まで放送してくれれば登場人物をもう少し深く掘り下げてくれたのかなという気持ちがどうしてもある。