「機能」と「祈り」 〜 レコ芸の休刊
「冒険研究所書店」に初訪問、店主・萩田泰永さんの『書店と冒険』などを買い求めた。ここに出てくる「機能」と「祈り」というキーワードから、最近話題になった「レコ芸」の休刊について思ったことがある。
「レコ芸」とは、1952年創刊の『レコード芸術』という月刊誌。そこに批評が載り特選盤に選ばれることは、音楽家やレコード会社にとってステータスとなっていた。そんなご意見番的存在の休刊であるから、読者というより業界関係者が一斉に動揺した。
とはいえ、休刊への前奏曲はずいぶん前に終演していた……いわずもがな、相次ぐCDショップの閉店である。
CDショップ(レコード店)は「CDを買える」という機能を提供していた。と同時に、『書店と冒険』がいうところの「祈り」が “あった” 。
そう、“あった” のだ。
CDショップに限らず、JRの駅ビルのように、いろんなものが画一化された。と同時に「祈り」を失ってしまった。そしてついに、機能までも失うことになる。
「レコ芸」休刊の報せは、「祈り」の大切さを改めて教えてくれた気がする。