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【DApp型NFT】NFTアートを加工してQRコードをつくろう(QRDapp)
NFTコレクターにとって、デジタルアートをいかに飾って鑑賞するかという問題は避けて通れません。購入の目的が、アート・投資・コミュニティ・ユーティリティのいずれであっても、一度は悩むことがあるのではないでしょうか?
私自身も、今年2月に初めてKawaiiSKULLというハンドメイドのジェネラティブNFTを購入し、様々な鑑賞方法を検討してきました。
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TwitterやDiscordのPFP(アイコン)として使用
二次創作としてNFTを販売
ウッドボードを名刺サイズに印刷
キャンバスやコンピュータにスプレーアート
ミニ有機ELディスプレイに表示
人工知能の機械学習を利用して加工
など。
そして今回、皆さんがお持ちの様々なNFTを自動で読み取りQRコード化する分散型アプリ(DApp)を制作し、アプリ自体をNFTとしてリリースします。NFTアートの鑑賞環境をSNSやメタバースなどの外部プラットフォーム上ではなく、ご自身で所有することができます。
NFTコレクターとして様々なNFTを収集していればいるほど、このQRDappは楽しめること間違いなしです!
👇QRDapp オフィシャルサイト(NFTのミントはこちらから)
QRDappとは
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QRDappは、暗号通貨ウォレットに所有するNFTを起動時に毎回ランダムに一つ読み込み、24×24のピクセルアートに加工して、ウォレットアドレスのQRコードとして表示します。ピクセルアートを所有していた場合、自動でピクセル数を読み取りQRコードとピクセル幅を合わせて表示させることもできます。
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またマーケットプレイスで表示されるサムネイル画像には、DAppのリンク先をQRコード化します。中央にはKawaiiSKULL作者であるスカル氏の協力のもとKawaiiSKULLコレクションのデータを人工知能に学習させ、存在しない新たなスカルのピクセルアートを表示しています。
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DApp型NFT
DAppとは
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QRDappは、ウェブアプリケーションをトークン化したNFTです。ブロックチェーンや分散型ストレージ(IPFSなど)を利用するアプリケーションは、分散型アプリ(Decentralized Application, DApp)と呼ばれます。中央集権的にユーザーの資産や情報を集めにくいことから、近年注目されています。
NFTマーケットプレイス(取引所)最大手のOpenSeaでは、NFTのコンテンツとしてウェブサイトに使われるHTML形式を採用しておりNFTとしてのDAppを表示することができます。
そこで、フルオンチェーンなどの原理主義的なNFTの価値観とは異なる、新たなパラダイムとしてDApp型NFTを提案します。アートもメディアもフィルターもすべてはトークン化され、私達のウォレットに所有することができるのではないでしょうか。
QRDappでは、ブロックチェーンのノードに対して通信を行い、オーナーが所有する他のNFTのメタデータを取得します。現在の対応チェーンは、イーサリアムとポリゴンです。
NFTのためのNFT
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NFTは質量のないデジタルアートなので、壊れてしまう危険性は少ないですが、盗まれたり忘れ去られる危険性はあります。所有しているアート作品への愛着を失わないためにも、ユーティリティやコミュニティが存在しています。
しかしすべてのNFTアート作品がユーティリティの提供やコミュニティ運営に力を割く必要はありません。実際にGoblintownのように機能性のなさを売りにしたNFTコレクションも存在します。
QRDappはNFTアートのセカンドレイヤーとして「NFTのためのNFT」となって機能します。イメージアセットを保管したNFTさえあれば、QRコードのデザインとして今すぐ利用することができます。もちろんまだNFTを持っていなくてもQRDappに付属したサムネイルを利用してカワイイQRコードを生成できます。
メディアアートとしてのコンセプト
KawaiiQRによる研究
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このプロジェクトの前身となったのは「KawaiiQR」というコレクティブルNFTです。
これはクリエイティブ・コーディングと呼ばれるプログラミングを用いた創作活動でした。コードを一つ一つ書き換えながら制作してGIF形式でNFT化しました。今では様々な人にオーナーになっていただき、交流をさせていただいています。初めてのNFTをKawaiiQRにしてくださった方もいらっしゃるなど、とても恵まれていたなと感謝しています。
KawaiiQRとは、KawaiiSKULLの二次創作NFTであり、ジェネラティブアートやプログラマブルアートと呼ばれるものです。所有するKawaiiSKULLのマーケットプレイス上のURLをQRコード化し、ピクセルアートとQRコードをプログラムにより動的に描画しました。
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またカワイイという日本的美意識の分析も行いながらコンセプトを練っていきました。幽玄・侘寂・粋へと醸成されていった日本的美意識が、いまたどり着いた一つの価値観としてのカワイイとは、理想への諦めと非現実性の中で無目的な享楽に興じる箱庭的な不完全性への憧憬です。
KawaiiQRは、再帰的な時間の流れの中で朽ちていく孤独な諦めを、詩的で非対称な2次元コードの中で詠み、中央の偶像への祈りの空間を作り出します。
いまここにしかないアート
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ブロックチェーン技術により、仮想的な情報の宇宙はWeb3という「大地性」を得ることとなりました。しかしこの大地を見渡すのに十分な地図がまだ存在していません。NFTに結びついた画像は、SVG形式などでフルオンチェーンとして完全に埋め込まれていたとしても、表示する際にはただの画像として複製され所有者も分からずにインターネットの宇宙へ流れてしまいます。
QRDappの前身となったKawaiiQRでは、QRコードにNFTのコントラクトアドレス、トークンID、メディアアセットを同時に埋め込むことで、複製時の同定可能性を高めました。この自己言及性や真正性はジョセフ・コスースのコンセプチュアル・アート作品「1つと3つの椅子」や、ウォルター・ベンヤミンが「技術的複製可能性時代の芸術」で提唱したアウラと比較してみると面白いかもしれません。
またQRコードを読み取る際にはフィジカルな空間上でカメラ越しに鑑賞を行います。レンズとディスプレイを通して、デジタルアート特有のサブピクセルの発色や干渉縞を確認できます。
人間はカタチや文脈を楽しみ、機械は文字コードやアドレスを楽しみます。そして人間と機械は、鑑賞できたかフィードバックします。このサイバネティックスな鑑賞体験を通してメディウムとオブジェクトが混ざりあい、ピクセルアートの電子工学的ミニマリズムを感じられます。
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(ウォレットを接続して体験できます)
以前のKawaiiQRではハッシュ(場)のアウラを強めました。しかし今現在のトークンの状態に対して形態は不変であり、インタラクションは起きません。
一方で本作QRDappにおいてはタイムスタンプ(時間)のアウラを纏い、「いま、ここ」というタイムスペシフィック・サイトスペシフィックなNFTとなっています。そのためNFTを単に改竄困難なデータストレージの所有権を交換できるトークンとしては捉えません。
QRDappはトークンの所有者やトランザクション履歴をリアルタイムに取得して作品に反映させています。つまりNFTを起点としてブロックチェーンと時空的につながったエコシステムをメディウムとして扱えるようにしました。
NFTをメディアアートとして扱うことについては、4月に行われた「Proof of X ー NFT as New Media Art」でhasaqui氏が公開された論考がとても参考になりました。
<Proof of X NFT as New Media Art>展でお配りしているテクストのpdf版を公開いたします。デザインはYuko Nagamatsuさんによるものです!ぜひご覧いただけますと幸いです。また是非会場にもお越しいただき作品を観賞いただければと思います!冊子もあります! #proofofx !! https://t.co/aWO256sFkG
— hasaqui (@hasaqui) April 25, 2022
NFTを育てる
QRDappの属性やロードマップには今後のアップデート内容が含まれています。そのもっとも重要なものこそ、NFTを育てられるようにすることです。
トークンの持続可能な循環
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QRDappは所有するNFTアートをQRコードのデザインとして利用することができます。しかしこの機能を利用するためには定期的にNFTをお手入れしていただく必要があります。
お手入れの方法は簡単です。本作品はWeb3生態系で他のトークンと共生しているため、トークンの持続的な循環を必要とします。すなわち定期的にトランスファーイベントを発生させなくてはいけません。エアドロップや売買をすることにより、ウォレットを移動するトランザクションを発行してタイムスタンプを新たに打ち、トークンをキレイに保ってください。
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これはウォレットを里山として捉えるならば、NFTは大地から生えた木であり、トランスファーは木々の伐採のようなものです。そして木には、コケやキノコのようにネットワーキングする菌類が繁殖します。分解者は符号化された有機物を無機物として大地に返してしまいます。そして定期的にキノコを抜いて木を入れ替えてあげることで、里山の環境が整えられます。一方で手入れをしなければ、木は腐り、山の生態系は荒れてしまいます。
もしかすると将来的にはNFTコレクションとしての里山の管理は、各所有者だけでなく複数人で協力するようになり、村社会が成立するかもしれません。そしてデジタル里山DAOとして非中央集権的に管理がなされるかもしれません。
一方で所有者の皆さんには里山的な共生とは違った、原生林的信仰の選択肢も残されています。
デジタル菌類により腐敗するNFT
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頻繁にお手入れすることでNFTのレベルが上昇し長持ちします。しかしながら手入れを怠るとNFTに培養したデジタル菌類によりトークンは腐ってしまいます。QRコードは崩れ、符号化された情報は読み取り困難になります。
QRDappは機能的な死をへて、壊れて美しくなります。これは里山のような整備された心地よい空間とは全く異なる、カオスで神秘的な空間です。
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NFTにはユニークなデジタル菌類を培養しており、それぞれ異なるアルゴリズミックな挙動を見せます。つまりQRDappは腐敗することにより、属性の組み合わせにより生成されるジェネラティブNFTの系譜にそった、インタラクティブなジェネラティブアート(プログラマブルアート)へと変化するということです。
ある種のホワイトキューブ化をしていたQRコードを、あくまで数理的な偶然性・複雑性に対する初期条件、要するにジェネラティブアートの要素として扱います。
デジタル菌類のアルゴリズムはアプリケーション上で自律的に動作し、ときに自己組織化した生命的なふるまいを見せます。QRコードが分解され、「ライフゲーム」や「ボイドモデル」などの人工生命アルゴリズムに従って相互作用による創発が起こり、小さなキャンバスの中でピクセルが躍動します。
Web3的霊性
ウォレットの永続性
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QRDappではウォレット上の様々なNFTが表示されます。もしもオーナーがウォレットを手放した時には、残ったNFTはどうなるのでしょうか?
ウォレットの秘密鍵は疑似乱数ですが、パスフレーズが共有されるようなことがなければ乱数が衝突することはまずなく、公開鍵やアドレスを赤の他人が使うことはできないでしょう。
取り出すことのできないNFTは、ブロックチェーンが保たれるかぎり永遠に存在し続けることになります。PFP系のNFTアートの多くは、生命的形態をしています。しかし彼らは自律的に行動することもなく、死を迎えることもありません。
QRDappは永続性のあるウォレットに対して、トークンの循環や、情報の分解をもたらします。閉じたウォレットにトランザクションやタイムスタンプ情報というかたちでエントロピーを持ってくることで、NFTを大地へと還します。
リジェネラティブ・アート
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サムネイルに使ったAIジェネレーテッド・スカルは、NFTが埋葬されて分解して混ざり合い、新たな幽霊的生命体となってブロックチェーンのなかで生き続けるさまを表しています。
ハンドメイドで大量に作られたピクセルアートという、機械と親和性の高いデータセットを敵対的生成ネットワークに学習させて再生成しました。一般的なジェネラティブNFTのような有限のパーツ集合に関する組み合わせではないことから、この過程をリジェネラティブ・アートとしています。
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髑髏という死の象徴でありながら永続性を兼ね備える自己矛盾を抱えた姿は、「美空ひばりAI」のような死後労働(Digital Employment After Death, D.E.A.D.)を考えなくてはいけない時代にいる私達にとって他人事とは思えません。
将来的にはリジェネラティブアートを発展させ、人工生命(ALIFE)で研究されているオープンエンドに進化を続ける生命体を、コミュニティの集合知と組み合わせることでNFTとして作れないかと考えています。
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(遺伝的アルゴリズムと集合知で生成された画像)
禅を世界に広めた一人である鈴木大拙は、日本人が日本的霊性に目覚めたのは地方分権により非中央集権化し、武士が大地に深く接するようになった鎌倉時代からだと言います。
現代の私たちは、Web3により脱中央集権が叫ばれ、AIがブラックボックスに絵や動画を作るという再魔術化が起こる時代に生きています。
どうかぜひWeb3的霊性を通して、QRDappを感じてみてください。
👇 ミント(購入)はこちらから
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