心が明るくなる瞑想ノウハウ:「コーシャの瞑想」
今回紹介する「コーシャの瞑想」は、私が昔、ヨガや気功の先生方に習った複数のノウハウを組み合わせたものである。
概念的なことは後で触れるとして、まずは下記に手順を示す。大きく5つのステップで構成している。
■コーシャの瞑想の全体像
▼(1)アンナマヤ・コーシャの瞑想:肺に空気を取り込む
椅子あるいは床に座り、安定した足の体制を組む。床に座るのであれば結跏趺坐が望ましいが、普通のあぐらでもかまわない。
まず、自分の肺の位置と、その大きさを手や指で確認する。肺の上端は、鎖骨の内側くらいにある。そこに指を這わせてみる。これに対して肺の下端は、あばら骨の一番下の辺りまである。これら上端と下端に、手のひらや指を這わせてみる。触感を通じてきちんと確かめてみると、肺はかなり大きな器官であることがわかる。その大きさを、事前に実感しておく。
本格的な瞑想のために、手のひらを天に向けた状態で、太ももの上に優しく置く。身体に無理のない置き場所を探り、そこに移動させつつ安定させる。なお、瞑想中に、より安定した場所へとゆっくり動かすのもよいだろう。
目を閉じて、優しい鼻呼吸を繰り返す。自分が一番心地よいと感じられるペースの呼吸を続ける。
次に、少し大きめに鼻から息を吸う。このとき、空気が、肺の上端から下端に至るまで、たっぷり入り込むよう、息を吸う。
息が肺にたっぷり入ったら、少し息を溜めるように止め、肺に入った空気の量を感じてみる。苦しくない程度に止めたあと、優しく鼻から息を吐く。
このたっぷり吸う・軽く止める・優しく吐く、というサイクルを数回、続けてみる。回数の目安は、10回まで。
これだけでも少しリフレッシュした感覚になる人もいることだろう。現代人はおしなべて息が浅いためだ。
▼(2)プラーナマヤ・コーシャの瞑想:肺に光を取り込む
次に、プラーナマヤ・コーシャの瞑想に入る。
インド発祥のヨガの知識体系では、あらゆる空間には「プラーナ」と呼ばれる、生命の本質を表現している極小物質があるとしている。この瞑想では、この存在を、とりあえずの作業仮説として受け入れていただく。
このプラーナは、「意図的な呼吸を通じて、体内に取り込むことができる」とされている。そうした意図を伴うアクションは、古来、健康の改善や美容、能力開発などに効くといわれる。プラーナマヤ・コーシャの瞑想は、このプラーナの考え方に基づいて行う。
基本動作は、先に紹介したアンナマヤ・コーシャの瞑想と同じだが、次の点が異なる。
まず、鼻から息を吸い込む際に、「自分の前の空間には、美しいプラーナが充満している」と仮定する。そのうえで、「このプラーナを取り込む」と意図して、鼻から息を吸い込む。吸い込む際に、「鼻から取り込んだプラーナが、肺に充満する」とイメージする。
十分に息およびプラーナを吸い込んだら、息を軽く止める。この際に、肺の内部に取り込まれたプラーナが、肺の内壁を通じて身体に取り込まれていくとイメージする。そして無理なく鼻から息を吐く。
このたっぷり吸う・軽く止める・優しく吐く、というサイクルを数回、続けてみる。回数の目安は、10回まで。
▼(3)マノマヤ・コーシャの瞑想:脳と神経系に光を取り込む
前の段階にて述べたプラーナマヤ・コーシャの瞑想では、「プラーナ」という生命力全般の元となる物質の存在を想定したうえで、それをイメージしながら瞑想した。これだけでもリフレッシュした気分になる方は多いことだろう。
本項のマノマヤ・コーシャの瞑想では、このようなイメージングの方法をさらに深めていく。具体的には下記のような要領だ。
プラーナマヤ・コーシャの瞑想と同じく、鼻からプラーナを取り込むように息を吸う。このとき、「鼻から取り込んだ美しいプラーナが脳に届いて、しかも脳全体に行き渡る」とイメージする。
吸い終わったら軽く息を止める。そして優しく息を吐く。
以上のような、息を吸う(同時にプラーナが脳全体に行き渡るとイメージする)・軽く息を止める・息を吐くを繰り返していく。回数の目安は10回まで。
この方法に慣れてくると、視界が明るくなり、思考が落ち着いたような感覚が得られるようになる。多忙で気ぜわしい時、あるいは悩みにとらわれた時などに適した瞑想法である。そのような時ほど、的確で効率の良い思考が求められているためだ。
なお、脳全体に行き渡るイメージが成功していると感じたならば、次には、一息で脳から脊髄を下り尾骨に届き、そして全身の神経系にプラーナが一気に広がり行き渡る、とイメージしても良い。
▼(4)ヴィジュナーナマヤ・コーシャの瞑想:第三の目に光を取り込む
眉間、つまり両目の中心少し上、あるいは眉の間に、「第三の目」というものがあると仮定する。第三の目は、ヨガの知識体系で語られる、仮想的な身体器官の一つ。ヨガではここを整えることで、知力の向上が見込めて、さらには真理が見抜けるようになる、とも言われている。
この第三の眼が存在すると仮定した上で、鼻から息を吸う。このとき、美しいプラーナが、周囲の空間から第三の目へと取り込まれるのだとイメージする。
吸い終わったら軽く息を止める。次に、自然と鼻から息を吐く。この呼吸を優しく繰り返す。回数の目安は10回。
▼(5)アナンダマヤ・コーシャの瞑想:ハートの中心に光を取り込む
この瞑想では、胸腺、つまり左右の乳首を結んだ中央の部分に、「ハートチャクラ」というものがあると仮定する。ここはヨガの知識体系で語られる、仮想的な身体器官の一つである。
ヨガ哲学では、ここを整えることで、内外の状況にかかわらず、今この瞬間における心の平和が維持できるとされている。なお、アナンダマヤ・コーシャとは、人間本来が備えている素晴らしい資質を司る鞘とされる。このステップの瞑想法を繰り返し実行していくと、アナンダマヤ・コーシャが語る要素――例えば外部の状況に関係なく得られる平和な感覚や、内側から湧いてくるようなポジティブな感覚が、なんとはなしにつかめるようになってくる。
このパートでは、ハートチャクラがあると仮定した上で、鼻から息を吸う。このとき、美しいプラーナが、周囲の空間からハートチャクラへ直接取り込まれるのだとイメージする。
吸い終わったら軽く息を止める。次に、自然と鼻から息を吐く。この呼吸を優しく繰り返す。回数の目安は10回。
■コーシャを意識することで「そこに意識が向かう」
人間の意識とは面白いもので、「"それ"を見る」と意図すると、意識内では"それ"のディテールが増してくる。
本記事で紹介した「コーシャの瞑想」は、このような「注意を向けると、注意を向けた対象の詳細が見えるようになってくる」という性質を利用している。
以上の5ステップを、無理なく一通り実行する。せいぜい1日1回で結構である。これを日々練習していくと、「イメージングにより、自分の意識をより良い状態へと保つことが可能なのだ」という真実に対する認識が、実感を伴うかたちで深まってくるはずだ。
なお、各パートの名称で使われている用語の意味は、下記の通りである。
「アンナマヤ」:食物の
「プラーナマヤ」」:プラーナ(生体エネルギー)の
「マノマヤ」:思考・感情の
「ヴィジュナーナマヤ」:知性の
「アナンダマヤ」:喜びの
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