未知と無知を認め、新たに楽しめ!
数少ない友人経営者から一本の電話があり「自分の周囲の経営者さんが売上が伸び悩んでいるので、何か啓発的な研修を実施して欲しい」という依頼が入ってきました。
そもそも私は、セミナー講師を専門的に行っているでもなく、啓発的な研修が必要なのは私の方では?と瞬発的に考えましたが、私の事情や専門性を理解しているはずの友人が、”私も知らない何か秘めたるモノ”を感じての依頼なのかと思い、引き受ける事にしました。ただ電話を切った後、茫然とオフィスの天井を見上げ、心の中で「引き受けてしまった…」と若干後悔した(笑)。ただ、不思議に伝えたい事がありました。
『悩む必要が本当にあるの?』と言う事でした。
少し前は、破産も無職も経験し、離散する人間関係や経済的に無力化する自分を見てきました。今の自分は人に支えられてでしか立てない事も良く知っています。個人事業主として初めての確定申告を3月に迎えますが、正直赤字です。しかし、あまり悩んでいません。
健康に生活させて頂いて、人の有難味を感じ、人や過去との比較評価を捨て、自分は自分でいいし、自分がただやりたい事をしているうちに、周囲の誰かが幸せになっていて、気が付けば自立歩行出来るようになり、自転車、電車と続き、飛行機に乗れるようになり、行動範囲が広がる事で触れる感動体験が増えたら楽しいだろうなって考えています。
売上が作れる経営者さんが、赤字でもなく、思い当たる原因もなく、ただ過去の前年比や前月比、あるいは対等の他経営者と比較して、自ら作り上げた幻と苦しんでいる姿が、逆に苦しくなる。
過去の立派な成功体験が、未来への成長を邪魔しているように思います。
未知のウイルスによって、世界全体の経済活動が止まり、知らぬうちに他国では戦争が始まり、国内では円の乱高下に物価高。もはや宇宙人が操っているんじゃないのかと考えてしまう今の時代に、過去の成功体験がどれだけ意味を成しているのか疑問に思う。
「成功事例よりも失敗事例に習う、新たなやり方」も良いのかも知れません。
他の成功事例を持ち出しても、人が変わると味が変わるのと同じように、その人だから成功した要因もあります。しかし、失敗事例には、薄皮を剥がせば、本質的な成功要因がいっぱい隠されています。自分もその一人です。過去の成功体験が、自分のいらぬプライドを作り上げ過ぎて、本来お客様に視点を置かなければならないはずが、いつしか自分視点で物事を考えがちになり、浮世離れしてしまうところがあるように思います。
そもそも自分たちが受けた教育が、相対的にそうなるような生き方しかして来なかったかも知れません。
WIPO(世界知的所有権機関)が、毎年発表しているGII(グローバルイノベーション指数)2020年版を参照に、2021年日本に対して、主要国の中でイノベーションが低いと指摘されています。
WIPOから見れば、日本は「イノベーション後進国」とも言えるでしょう。イノベーションとは変革を意味します。これはあくまで私の意見ですが、変わる事への抵抗感が根付いた国民性なのかも知れません。長年親しまれる伝統や文芸等の一定分野に置いては、凄まじく評価の高い日本が、次に挑戦すべきは、挑戦そのものなのかも知れません。
今の私の気分は、モアナみたいな感じです。
未知と無知との遭遇を楽しめる自分作りもいいかも知れませんね。
そんなことが伝えられる研修にチャレンジしてみます。
著作:
44310(SISISANTO)
代表 森川慎也