緊張・あがり症は誰にでもある
清掃のパートにいってるんですが、毎朝、朝礼があるんです。
何をしているのかというと、今日のシフトの確認。
そして、全員で会社の理念というかマニュフェストみたいなやつを唱和します。
その後、そのマニュフェストをもとに簡単なコメントを今日は松田さん、今日は〇〇さん、と言うべき当番が決まっていて、自分の番の時に言わなければならないんです。
だいたい週一ぐらいの間隔で廻ってきます。
ま、たかだか30秒から1分ぐらいのコメントでいいんです。
「お客様の視点を意識して、迅速かつ丁寧に心を込めて取り組みたいと思います…云々」
てな感じのやつです。
これがですね、
緊張するんです。
この僕が。
ああ…3日後には自分の番が廻ってくる。どうしよう、なんて言おう…
って(笑)。
今の僕の仕事知ってます?
セミナーの講師です。
講演家です。
カウンセラーです。
人前で話すのが仕事なんです。
そしてそして、「あがり症克服トレーナー」を名乗っています。
「緊張・あがり症を克服するためのセミナー」の講師も務めているんです。
そんな僕が緊張するんです。
なぜでしょうか?
これが、なかなか分からなかったんです。
別にこの場面でいいカッコしたいとも思わないし、どう思われようがぜんぜん気にしません。大して他の方との関係性もありませんし、コメントがヘタクソだったからと言って評価が下がるわけではありません。掃除が綺麗に素早くできるほうが断然評価される世界です。
誰からも期待されていませんし、自分にも「こう見られたい」という期待もないんです。
なので緊張する理由がないんです。
でもなんだか数日前から緊張する。
あれ?なんで?
不思議ですよね。
あがり症の専門家のはずなのにこの答えが明確に出せなくてモヤモヤしています。
これまで多くの方に緊張克服の方法をお伝えしてきました。
何度もみなさんから「朝礼でのスピーチ当番が緊張します」というご相談も受けてきました。
そしてたくさんのアドバイスをし、「目から鱗でした!」とか「気持ちが晴れました!」「なんだか勇気が出てきました!」「やってみます!」なんて評価をたくさんいただいてきて、結構天狗になってたんです。
ところがいざ自分が直面してみるとどうも今まで自分が語ってきた緊張の原因論がしっくりこないんです。
かつての「あがり症」全盛期だったころの経験ともどうも違う気がして・・・
俺、これダメじゃん!
緊張することがダメなんじゃなくて、説明がつかないことがダメじゃん!って意味でショックなんです。
で、今のところ3つのことを考えています。
一つ目。
僕はたぶんこの場面で無茶振りで急にコメントを求められたとしたら、緊張することなく難なくバシッとスピーチできると思うんです。
だとすると、あらかじめ決められているから緊張するのかな…と。
つまり、受動的に役割を与えられると人は緊張するのかもしれない…と思ったんです。
僕がセミナー講師や講演をするのは、自分がやりたいからやっています。
自分で自分に役割を与えている分には緊張しないんです。
でも、やりたくなくても人から役割を与えられるとストレスになりません?
なぜならそこに責任が発生するからです。
責任を全うしなければならないという義務が生じます。
この義務感が緊張を生んでいるのかな?と思いました。
もう一つは、シチュエーションです。
この場面、別に緊張するようなことじゃないんです。
でも、大勢の前で一人が話すという改まったシチュエーションというのは、「緊張すべき状況」であるという脳の刷り込みがあるからです。
かつて、緊張したことのある場面、人が緊張していた場面を過去の記憶と照らし合わせ、それに類似した状況は、「緊張すべき場面」として脳が勝手に前提を生み出してしまっているんだと思うんです。
いわば思い込みです。
緊張すると先に決めちゃっているから緊張するんです。
先輩の主婦の方たちは、日常テキパキと仕事をこなし、まわりの人にも的確に指示を出したり、後輩の僕にミスを指摘したり、フィードバックをしたりして指導してくれています。
でも、朝礼のこのコメントの時だけは、めっちゃ緊張していて、家で原稿をメモに書いてきていたりして、震えながらメモを読んでいたりするんです。
なんでそんなに緊張するんだろう?
いつもどおりの調子でしゃべればいいのに。
そんなにピリピリした雰囲気でもないのに…
と客観的に思っていたんですが、僕も当事者になってみると同じようになっている自分に気がつきました(笑)。
サラリーマン時代。
僕の職場では、朝礼で毎日3分間スピーチというのをやらせていました。
これがすこぶる部下からの評判がよくなかった。
僕は自分の順番が楽しみで次は何を話そうかとワクワクしていたものでしたが、部下たちは自分の順番がまわってくるのがイヤでイヤで仕方がなかったようです。
当然、僕はやりたいからやっていたので緊張するはずがありません。
でも部下たちはやらされていたんです。
「人前で堂々と話せるようになりたい」なんて悩みを抱えている部下はひとりもいないので、それを訓練ととらえて練習しようなんて気持ちは湧いてきませんでしたから。
だとすれば、部下たちにとってはただの緊張でしかなかったんですよね。
それをやったその先の未来が見えてないんですから。
3つ目。
アウェイだから?
自分の中でホームグランドではないところであるという観念が存在しているんです。
守られているという安心感はどこにもありません。
知ってる人が誰もいないところに行くと、そこには既にできあがっている関係性の人たちがいて自分たちだけがわかる「あるあるネタ」とかで盛り上がっている。そんな時、自分の立ち位置に迷いますよね。新参者のポジショニングって難しくて、前に出すぎると「なに?アイツ」ってなるし、出なさすぎると「自己主張ができないダメなヤツ」とレッテル貼られる。様子をうかがっていると「自分で考えて動けんやつ」「指示待ち」と思われる。質問しすぎると「出しゃばり」になる。
うーん、どう動くか?
ってなりません?
その状態でのスピーチ緊張だと、結局まわりの評価を気にしてるんじゃん!
ってことですけどね。
いずれにしても「緊張・あがり症」に対して言えることは、万人に効く万能薬はあんまりないです。
みんな人それぞれ緊張の作られ方が違うってことです。
ですから、自分に合った対処法を選ぶ必要があります。
ただ、現れる症状は自律神経の働きなので、その症状を緩和したりコントロールする方法ならば自信を持ってお伝え出来ますよ!
こちらからどうぞ
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