続・関西流浪記。
久々の放浪旅をしよう。
そう決めていた今回の関西遠征。
前回はのんべんだらりと心に刻んだ神戸・大阪での思い出に後ろ髪を惹かれつつ、いざ京の都へ上洛。ここで友人らと別れ、ここからは単独で自分が行きたい京都市内のスポットへ行く。
古都・京都。
悠久の時が流れるこの街は、僕の今までの人生の中で最早欠かせないものとなっている。
中学の修学旅行で初めて御室仁和寺の庭園の美しさ、そして静寂さに心惹かれた時から、仕事やプライベートで度々縁のある都(みやこ)だ。
新緑の季節の京都を訪れる人々は、四季を感じずにはいられない。
市街地から遠くに見える山々は緑の色合いが強くなり、鞍馬や貴船に生い茂る青もみじはこの時期ならではのまぶしさだ。
観光シーズンとなるとよく見る光景がある。
河原町から京都駅を目指すバスの車内をふと覗くと、家族連れやスーツケースを持った若い人でいっぱいだ。
出張で出向いていた頃はタクシーの中で資料をベラベラと読み漁っていたこともあり街並みを見る余裕などなかったが、旅行ともなるとまた違った光景に目が留まる。
木屋町通りから鴨川へ抜ける。
今まで過ぎ行くだけだった鴨川をゆっくり歩いてみたかったので、夕暮れの涼しい時間を狙って散策。
橋のたもとではレゲエ調の音楽を奏でるアフリカ系のミュージシャンを前に体を揺らす若者や酒盛りをする人。そして川に向かい等間隔に座るカップル。
川をぼんやり見つめていると、中州にサギのような鳥が川面へ目を凝らしている。
魚を捕まえようとしているのか、休んでいるのかはわからない。
ただひたすら佇んでいる。
鴨川散策を終えホテルで一泊。
翌朝から朝食に目もくれず行動を開始。いずれは寄ってみたかったあの場所へ。
京大前・進々堂。
昭和初期から営業の老舗喫茶ベーカリーで落ち着いた雰囲気が人気の店。
劇場版「四畳半神話大系」で知って念願の入店と相成る。
普段は京大生を中心に混んでいると聞いていたので、GW中で学校が休みで空いているだろうと踏み、3分も待たずに着席できた。
シンプルにティーをストレートで頼む。
朝から初夏の陽気で気温がぐんぐん高くなっていたので、これくらいのスッキリし喉越しが最適であった。
店に出入りして勉学や思考を巡らせて読書に励む学生を心底羨ましく思う。
最後に河原町のつけ麺「高松」で締める。
ここは出張でもお世話になった。たぶん4年ぶりくらいの来訪。
スダチと玉ねぎをスープに染み込ませて食べるのが実にいい。
新幹線の時間が迫っていたのでさっと啜って済ます。
今の仕事に転職して、さらにコロナ禍で3年以上も京都に行かなかったのは社会人になって初めてだった。
しかし街の景色は以前と変わらず楽しませてくれる。
街の景色や食べ物の味に現を抜かすのは、忙しい日常を過ごす人にとって必要なことだと思う。
喉が乾いたら水を飲むように、行きたくなったら気軽にその街へ行く。
京都という街にはそんな引き寄せの魅力がある。
これにて終しまい。