展示会の成否を握る、「獲得系コンパニオン」のすごさを語る。
「40’s Biz talk」は法人営業やBtoBマーケティングが専門の40代男性2人、杉本浩一と柳澤大介がお届けするポッドキャスト番組。
音声番組の内容を読みやすく要約してnoteでお届けしています。第58回は「展示会について語ろう」です。
それでは、本編の内容をお届けします。
営業にとって秋は「展示会」のシーズン
柳澤:今回の40s Biz talkのテーマは「展示会について語ろう」です。
杉本:はい、展示会。なんとかエキスポとか、ビッグサイトだったり、幕張メッセとかでやってるあれですよね。
柳澤:そう、まさに9月〜12月は展示会シーズンで、けっこう大型の展示会もあって。杉本さんもつい最近出てたじゃないですか。
杉本:そうなんですよ。幕張メッセで開催されたHR EXPOに出ていて、3日間立ちっぱなしでビラ配りや、お客さんと名刺交換して商談を作って。
柳澤:僕は起業してからは自分の会社で展示会に出ることはないですけど、お客さんが出展されたりとか、自分が会社員だった時は展示会は年に十数回出てた時もあったりしたんです。
これ“あるある”なんですけども、展示会って初日が始まるまでって気持ちが高揚するじゃないですか。ワクワクするっていうか、始まるぞみたいな。でも始まって4、5時間経つとそれも冷めてしんどくなってくる。
杉本:いやー、しんどいですよね。私は2日目にまず足が張ってくるし。今回の幕張メッセの展示会は3日間だったんです。意識して睡眠はしっかり取ったんですけど疲れが溜まっていく。年のせいもあるけど、辛かった。
柳澤:毎日、自宅と幕張メッセを往復したんですか?
杉本:往復ですよー。でも僕が住んでるのは東雲なんで、意外と近くて1時間ぐらいで行けたんですけど。
柳澤:展示会ってBtoB企業にとっては重要なイベントだし、3日間っていう限られた期間で大量のリードが取れるチャンスなんですけども、初日の後半ぐらいから僕はけっこう疲れてきて、サボっちゃうんですよ。
例えば、お客さんがいない時間帯があるじゃないですか。
杉本:波があるんだよね。
柳澤:そうそう。閑散としちゃってる時とか、こんなにブースに社員いる必要ないな、みたいな時ってあるじゃないですか。展示会がない平常時は日中パンパンに詰めて仕事してるから遊びがないじゃないですか。それが展示会に出てると、お客さんが来ない時間帯に時間を持て余しちゃって、この時間もったいないなって思う時がけっこうあるんです。
杉本:そういう時、私は散歩がてら周りのブースを見にいきますね。そうやって見ていると、盛り上がっているブースと盛り上がってないブースの違いがよくわかる。
いろいろな要因があって、ひとつはまず人通り。メインストリートと横道で人の流れの量が違うじゃないですか。
柳澤:違いますね。
杉本:あれが展示会のブースの値段に如実に現れてるんだと思うんですけど、横道に面した真ん中のブースは悲惨ですよね。
柳澤:そうだよね。
展示会は営業の素振りである
杉本:こう言っちゃなんですけど人が来ないんです。あとは呼び込みの力って大事だなと思ってて。ブースに適当に集まって解散する会社もあれば、「さぁ今日は何件取るぞ!頑張るぞ!」みたいなことを朝会でちゃんとやってる会社もある。
「こういうふうにやると人が立ち止まりました。」「こういう言葉を言ったら立ち止まりました。」「こういう所作をすれば良いと思いました!」みたいな。ちゃんと復習をしてるところは2日目、3日目になるに従ってちゃんと賑わってきてるのがわかる。
展示会って営業の素振りじゃないですけれども、営業のいろいろな要素が詰まっているものだと思うんですよ。お客さんに何を言ったら興味を持ってもらえるのか。
立ち止まってもらうための所作が何だったりとか、このブースでここの目に入っている文言が刺さっているのか、違うのかとか。渡すノベルティによって人が盛り上がるか、盛り上がらないか。考えることがめっちゃ多いじゃないですか。
想定していた顧客層が来ていなくて、意外とこういう人たちが来てるとかだったり、アンテナを張れば張るほど気が付くことが多いのが展示会。
あと一つ思うのは営業の役割としては名刺交換して商談を獲得する。これはそうじゃないですか。あともう一つ大事な要素があると思ってて。それは、自分達の商品説明のチェックの場で。
柳澤:あー、確かにね。
杉本:マーケットにフィットしているかどうかを確かめる場として、展示会は超重要だと思うんです。これを意識している営業と、意識していない営業では成長がめっちゃ違ってくるって思うんです。
柳澤:5分程度で立ち話しをするとき、エレベーターピッチよりは長いけど、そこで刺さってるのか刺さってないのかが判りますよね。
杉本:そうそう!エレベーターピッチみたいな短時間で、どうやって自分たちの商品を端的に表現するかってめちゃめちゃ重要。そこから話を広げていくじゃないですか。次に提案書になって。
一般的にはみんな逆のことやってるんですよね。提案書を作って、サマリーを作ってって逆のことなんだけど、本当は逆でちっちゃい文言から大きくしていくっていうのが普通なので、それを気づかせてくれる場が展示会だと思うので。
だから営業だけに限らず、ビジネスパーソンはみんな展示会に立ったほうがいいと思うんですよね。
柳澤:確かにいい練習になりますよね。
杉本:かって田中角栄は、政治家になりたくて弟子入りしたいって来る人が沢山いたらしいんですけど、その時に田中角栄が言っていたのは、「よし、わかった。弟子にしてやろうじゃないか。ただし1000回、辻説法、つまり街頭該当演説を1000回やってから来てくれ」っていうふうに言ってたっていう。
1000回も街頭演説をすると、どういう人たちに対して話せば良いかっていうこととか、どうやれば支持者を引き付けられるかみたいなことがわかるし、1000回やってきたやつだったらある程度の支持層がついてるはずだっていうようなこともあって。
へたに営業がロープレするよりも、展示会に放り込んでどれだけ名刺取ってこれるか、話せるか、商談作れるかっていうのをやらせた方が良い訓練になる気がする。
柳澤:新卒の営業マンにはいいかもしれないですね。
杉本:前に、春先になると駅前で名刺交換してくる投資用不動産の新卒がいるって話題が出ましたよね。我々にとっては厄介だけど、本人達に取っては良い訓練かもしれないと思えてきた。
新卒は最初に春先の展示会に立たせるべきだと思うし、若手の人もベテランの人もどこかで1日展示会に立つっていうことを、やった方がいいと思うんですよね。
柳澤:ユーザーの声が直接聞けるから、現場感が鈍らないですよね。杉本さんの会社って展示会は社員が参加するんですか?
杉本:そうですね。メインは社員で、+コンパニオンさんとか。
柳澤:コンパニオンさんもいたんですか?
杉本:社員全員で来ちゃうと業務が止まっちゃうから、コンパニオンさんもいますね。ただメインは社員です。
展示会の全来場者の10%の名刺を獲得する方法
柳澤:僕は一番多い年で年12、13回は展示会に出てたんですけど。
杉本:そ、そんなに!?
柳澤:はい。その時に展示会の来場者の10%名刺が取れるノウハウを生み出したんです。
杉本:来場者っていうのは自分のブースに来た人?
柳澤:いや展示会全体の。
杉本:えっ!すごいね!
柳澤:杉本さんが出た幕張メッセの展示会は来場者が4万人だから、最大で4,000件ぐらい取れるんですよ。
杉本:そんなに取れる?
柳澤:取れるんですよ。少なくても2,000は取れます。
杉本:それは名刺の数が?
柳澤:名刺の数です。ただし条件が3つあってまず1つが場所。大通りに面していない小間位置はダメなんです。
杉本:そうそう、さっき言ってた。
柳澤:できるだけ費用対効果を高くしたいじゃないですか。でも、小間数が大きければ大きいほど金額が上がっちゃうんですよね。基本的には2小間で大丈夫なんですけども、2面開放で大通りに面している小間を取るっていうのが最低条件。別に4コマじゃなくてもいいんです。2面開放されていればOK。
杉本:たぶん、4コマが一番高いんでしょ?
柳澤:高いです。名刺1件あたりの獲得単価を抑えるためには2小間が一番コスパがいいので、まずこの場所は早めに取る必要があります。あと来場者が最低でも2万人以上来る展示会。ビッグサイトや幕張メッセでやってる展示会はだいたいクリアしています。
獲得系コンパニオンとは
柳澤:で、もう1つがコンパニオンとノベルティ。コンパニオンの種類っていくつかあるんですけども、受付をしてくれる綺麗目な感じのコンパニオンと、獲得系のコンパニオンがいるんです。
皆さんよく間違えるんですけど、綺麗どころのコンパニオンを押さえちゃうんですよ。獲得率とルックスは相関がないんです。営業もそうじゃないですか?イケメンが売れるとは限らない。
コンパニオンは獲得系のコンパニオンがいるんです。僕はコンパニオンのABテストをめちゃくちゃしまくったんで、獲得系のコンパニオンのリストがあって、中には40代の方もいるんですよ。
獲得系のコンパニオンは名刺の数を取ることにコミットしてくれるので、めちゃくちゃ取るんです。例えば、社員がやると1日80枚しか取れないところを、獲得系のコンパニオンがやると200枚とか取る。それくらい違う。
杉本:獲得系コンパニオンは、歩合で評価されたりするんですか?
柳澤:そういうのはないんですけど、成果を出せばリピートに繋がるわけです。「またあの子を呼んでほしい」ってなる。BtoBの展示会って大抵リード獲得が目的なので。よくあるのがノベルティを渡す代わりに名刺くださいね、みたいなことをやるじゃないですか。
ノベルティはA3サイズの袋を使うことが重要。獲得系のコンパニオンは名刺をもらうまではノベルティを離さないんです。
ノベルティの袋の大きさもミソで、この大きさだと他のブースでもらったノベルティを入れていくんです。
つまりA3サイズの袋を来場者が持って、会場を回遊するので広告効果があるんですよ。人ってみんなが持ってるものを欲しがるので、客が客を呼び、相乗効果になるわけです。
なのでいい場所を抑えて、獲得系のコンパニオンを使ってノベルティをフックに名刺を取りまくると、ノベルティの袋が会場内で宣伝してくれるのでどんどん人が集まってくるんですよ。
杉本:A3サイズの袋を使ってた会社ありましたね。確かキーエンスと、SmartHR。袋の中に入れるものは何でもいいんですか?
柳澤:カタログ一、二部です。他の物はいらないです。
杉本:袋だけで引き付けられるものなの?
柳澤:引き付けられます。コンパニオンがお客さんが片手に持っている、よその会社のノベルティを全部こっちに入れて渡していく。
杉本:入れ替えて、看板を付け替えるみたいな。
柳澤:そうそう。
杉本:SmartHRのやつを下げてる人に、キーエンスの袋を渡して、「それも袋にまとめて入れちゃいますね」ってやって渡してるのか!やってた、やってた、やってたよ。そういうことだったのあれ。
柳澤:そうそう。オペレーションが洗練されてるわけです。
杉本:深いね。獲得系コンパニオンの動き方ってすごいね。そのコンパニオンに勉強会してもらいたいな。
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