【壁絵制作】音食屋 ゆぐどらしる
「お店を開くので、外壁に絵をお願いしたい」
今回はTwitterを通じてお仕事を頂きました。
依頼して下さったのは、佐賀のバンド「NITROBOX」のVo.DAIKIさん。
「6月に唐津市内でお店をオープンするので、その店の一角に、映えスポットになるような絵を描いて欲しい」とのこと。
本当は実際に会って打ち合わせをしたいところですが、このご時世そうもいかず。
電話で打ち合わせ
店名は「音食屋ゆぐどらしる」
ユグドラシル とは、北欧神話に登場する、世界を支える大樹のことで、DAIKIさんの本名である「大樹」からその名前を付けたとのこと。ちなみにBUMP OF CHICKENのアルバムの名前にもなっているそうです(知らなかった)
当たり前のことですが、クライアントが思っていることを打ち合わせの段階でどれだけ引き出せるかにより、作品への理解度は変わります。
DAIKIさんとは1度もお会いしたことがなく、声を聞いたのも打ち合わせの電話が初めてでした(声がとても素敵でした。さすがヴォーカル...)
重要なのは、その人の人間性や求めるものを、自分の中に落とし込む作業。
知人は知人で、知っているからこそ の追求が出来ますが、初めましての方はまっさらな状態から始まるので、それはそれで深堀し甲斐があり、面白いです。好きな色とか聞いちゃう。
サイズは 縦1800mm × 横1400mm。でかい。
オープン日から逆算して、印刷時間など諸々考えたら、制作期間は1週間ほど。
落とし込み、ラフ作成
「ユグドラシル」をとにかく調べ、自分の中でどう落とし込むかを思案。それを元にラフを提出。
今回は「ユグドラシル」という大きなモチーフがあるので、神話に登場する、鷹、鷲、鹿、リス、竜を、MASQUERADEseriesを元に作成する方向で決定。
(ちなみに竜は蛇の説もあるがデザイン的に竜を選びました)
↑ これより遥かに厳つくなります。
下描き→着彩
大きな絵のサイズ感やそのメリットを考えたら、遠くからでも分かるよう、コントラストをはっきりするべきだと思い、細かく色分けをしない方針で制作。
普段描くA4サイズの世界とは少し切り離して考える感覚がとても新鮮で勉強になりました。
反転できそうなデザインなので、片側のみ下描きます。
着彩はパソコンで作業。
まず線を引いていきます。その後コピーして反転させて、中心で結合。最後に全体のバランスを整えます。
画面上では気付けないことが多すぎるので、印刷して確認します。
これだけ大きなデータを扱うと、パソコン重くなり機能しなくなったので、改善方法を検索。
通常の印刷物の解像度は300~350dpiが基本ですが、大きいサイズの印刷物は150~200dpiほどまで下げても印刷にはそんなに問題は無いとのこと(個人的にネットで調べました)結果、ある程度スムーズに動くようになりました。
ある程度見えてきた。
細部を描き込み、全体のバランスを調整。
完成
クライアントに確認を取り、一発OK出ました。有り難し!
唐津は海や木々などの自然の色彩と太陽光が交わり反射するような美しい光のイメージがあり、そこも色で表すことができたと思います。ラインを黒にした事で絵が引き締まった感。改めて黒色は偉大だなと。
7月22日
念願のお店にお邪魔しました。やっと実物とご対面。
西唐津駅からはもちろん、信号停車中にも視界に入るような特等席でした。
色はもちろん質感も良く、最高に素敵に仕上げていただきました。デジタルでこんな風に印刷できるなんて知らなかった...
解像度も問題ありませんでした!
その日初めて、DAIKIさんとお会いすることが出来ました。
相変わらず声が素敵。
元の店舗はライブハウス。お店に入った瞬間にライブハウスの空気を感じました。音楽好きにはたまらない空間。
ご飯めちゃくちゃ美味しかった。メニュー全制覇したい。自家製タルタルソース最高。次は海鮮丼食べたい。
打ち合わせから制作まで、一度も会わずに依頼を受けることが増えました。
対面でしか得られない相手の空気感や思いを受け取ることが難しくなった今、文字や声のみでどう引き出せるか!今まで以上に重要だなと。聞く力を磨きたい。
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音食屋 ゆぐどらしる
住所: 唐津市二タ子2丁目1-15
営業: 11:00〜14:30/17:00〜22:00
金曜土曜は24:00まで営業
定休日:水曜日
駐車場:有
Twitter (@yugucom1129)
西唐津駅そばにあります。貸スタジオもあるみたいです!
佐賀新聞 2021年8月6日掲載記事↓
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/718836