スーツ一丁でモンタナ州の大牧場にただ一人放り出された井浦新はハリウッド俳優? (東京カウボーイ)
日々M &A、企業買収に明け暮れる商社マン(井浦新)は北米で買収した冴えない大牧場の収益アップを図るべく、和牛を海外で飼育、販売する企画書を手にして、デルタ航空のローカル・ジェット機しか降り立たないモンタナ州のド田舎の空港に到着した。届くはずのスーツケースはサンフランシスコで行方不明に!
おまけに同行したのは上司、副社長でフィアンセでもある藤谷文子ではなく、和牛の畜産専門家・國村隼だったが到着初日に骨折入院するハプニング。
結局、井浦はひとりぼっちで牧場主らと交渉をすすめなければならないが・・・・スーツ姿のままの格好で年寄り馬には振り落とされ、4G電波が届かない世界で自分はもう何の役にも立たないことを思い知らされる。・・・ジーンズとワークシャツに着替えて井浦の牧場暮らしが始まり、姪の誕生日パーティーに誘ってくれた牧場労働者のゴヤ・ロブレスには秘められた野望があると打ち明けられ・・・・・
新居に高級物件を物色していたパワーカップルは、やがて通信環境同様、連絡も疎くなり、少しづつ現地のやり方、考え方、幸せのあり方に馴染んでいく井浦・・・・・ところが本社サイドからはこの牧場を売却処分するプランを提示されてしまい・・・
映画「東京カウボーイ」はハリウッド作品ながら日本人俳優が主要キャストを占める邦画タッチで描かれています。なんせマーク・マリオット監督は寅さん映画の現場も経験した邦画通。そんな彼だから文化の違い、風習や人生観に至るまで様々なギャップを皮肉タップリに描いて笑いを誘います。
脚本、制作にも参画する藤谷文子が当初からイイ女っぷりを見せています。最後はサービス・入浴シーンさえも!minamataでも好演した 國村隼も意外な才能を発揮して序盤を盛り上げていきます。
とにかく肩の凝らない、楽しいこういう作品好きだなあ!
広い牧場のど真ん中で携帯電波の受信可能場所を探し回るエリート・サラリーマンの姿を滑稽に見せる手法は日米の働き方、生き方の違いを熟知しているスタッフたちの経験があってこそのもの。
パワーカップルとして数値目標の達成に血道をあげるニッポンのサラリーマンたちが北米の雄大な農業ビジネスに対峙して一体何を想うのか?企画書通りにはいかない企業論理と労働者たちの信頼関係はどうなる?
挫折か?諦めか?それとも?起死回生は図れるのか??
北の国からやオレゴンから愛にも通じる「郷に入っては郷に従え」的な作品が好きな人には絶対に見逃せない一本かも!(そんな私も北の国から放送開始の年、就職で東京を離れ、日本一面積の広い県で働き始めた一人でした)
恵比寿ガーデンシネマほかで上映中