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2024年に出会えて良かった本7冊

過去最高に読書記録をつけられた2024年。
出会えて良かった本の感想と印象に残った箇所(ブクログのメモをコピペ)のまとめ📚
概要はAmazonから引用!

記録が楽しくなるブクログの魅力↓

1. 「生殖記」 朝井リョウ

⚫︎概要

⚫︎感想

感嘆、絶望、納得、発見。よくわからない息がよく漏れた。

とんでもないやっぱり朝井さんは。今までで1番引用箇所をメモした。

考えすぎてしまう時は、本を頼ろう。
自分と近い人、自分よりも遥かに考えている人の考えをのぞいてる気になれて、新たな視点を得られる。

読後の放心感が半端じゃない。

⚫︎引用

別に何でもいいじゃん。ヒトって本当に悩むの好きですよねえ。
サバイブ、即ち生存だけでは飽き足らず、構築や幸福度の域で頭を悩ませるこの圧倒的余裕。
樹は、自分で色々と難しいほうへと考えることが好きみたいですね。恵まれた個体特有の性質です。

p.137

ヒトはむしろ、共同体感覚を見張ってくれる監視カメラを増やしていきたいのかもしれません。
自分を”人間”や”社会的動物”から降りさせないようなストッパーを、一つでも多く欲しているのかもしれません。
そうじゃないと、こうなっちゃうから。
夜、便座にびったりとくっついちゃうから。

やっぱりね、走っていたほうが楽なんですよ。”生産性がない人なんていません"が素敵な言葉として響く世界では、拡大、発展、成長のレールから降りられないよう自分で自分を追い込んでいるほうが、むしろ健やかに生きることができるのでしょう。

p.174

正しいと思うことほど結果が出るまでは時間がかかるんだから、だからこそ早く行動するべきなんだって思えたんです。早く結果を出すためじゃなくて、長く時間をかけたいから早く始める。こういう考え方ができるようになったのって俺にとっては大きな成長っていうか

p.212

「意識してやらないでいたこととか、意識して言わないでいたこととかって、誰の目にも見えない分、自分にだけはめちゃくちゃ目につくようになると思うんですよ。これだけはしてやらない、やってやらないって切り捨ててきたものたちが、逆に自分をどんどん縛っていく」
颯、尚成から目を逸らします。
「で、いつか、そういうものたちに人生を乗っ取られるんです」

p.231-233

2. 「アルプス席の母」早見和馬

⚫︎概要

⚫︎感想

終わりのある高校スポーツが大好きな私にとって、ドンピシャすぎる作品。
描写があまりにもリアルでナチュラルで没入感が半端なかった。
外から見える「部活」の世界と、本気で打ち込んで向き合って初めて見えてくる世界が細かく描かれていて、自分の部活も、高校の野球部のことも思い出した。

高校の時、同じクラスの親と上京した子に対して、「決断して親と引っ越してくるのすごいな」くらいにしか思えてなかったけど、「あまりにも複雑で言い表せないような経験をしてたのかな」と思うと彼らの見方が変わった。

基本的に物語の軸を親にしていて、その部分に対しても、共感する部分と見えない世界がどちらも細かく描かれていた。

レギュラーを目指してそれだけに全力で向き合って努力して、背番号を貰えなかった子の親について描かれている部分を読んでいて、高校頃の自分は、本当の意味で試合に出れなかった人の気持ちを理解するに至っていなかったことを痛感した。

真面目に練習して、上手くなろうと努力を惜しまず、それでも試合に出れなかったチームメイトはどんな思いで部活と向き合っていたのか、それがどれほど凄い事なのか、引退して5年が経った今やっと少し感じられたような気がする。

自分は試合に出られなくても、まっすぐな気持ちでチームを応援するって美しい。

側から見たらスポーツ推薦で特待生で高校に入るってそれだけで幸せそうと母親は勝手に思っていたけど、実際は待ち構える全寮生活や上下関係、激しいレギュラー争いと不安に溢れている息子の描写が世の中を表していた。

キラキラして見えるアイドルも、お金持ちのお家の子も、子供の頃からの夢だった仕事に就いている人も、きっとみんな何かを抱えて、何かに悩んで、苦しみもがきながらも生きている。

それが、分かりやすい肩書きによって見えづらくなっているだけで、その肩書きがポジティブに見えるからこそ苦しめられている人もきっと沢山いる。

一冊に人生が詰まっていて、グッと来る言葉遣いがあまりにも多くて、何度電車で目を閉じて涙が引くのを待ったか分からない。途中から諦めて普通に泣いてた。
絶対また読み返す。


3. 「あの夏の正解」早見和馬

⚫︎概要


⚫︎感想

アルプス席の母 の描写があまりにもリアルすぎたから、作者が元高校球児って知った時にすごく納得感があった。

『この取材を終えた頃には、いや、本当はもっと前からだ。僕は早く小説を書きたくて疼いていた。
そんなふうにシンプルな思いに立ち返ることができたのは、間違いなく、彼らと出会えたからだった。』
って言葉に、この取材があってアルプス席の母 が生まれたんだと思うと鳥肌がたった。

⚫︎引用

僕もはじめて誰かを代表して試合に出るという経験ができました。ああ、これが誰かの気持ちを背負うというととかってわかりましたし、それはとても重くて、責任のあることでした。

自分が失ったものの大きさより、大きく人間的に成長できた夏だったんじゃないかと思っています

あの、こんなこと言っていいのかわからないんですけど、夏の大会がなくなったことで心に余裕が生まれた気がするんです。
この一球を落としたら甲子園に行けないっていう緊張感がなくなって、なんか純粋に野球が楽しいなって。
こんなふうに早く練習したいと思うのって、小学生の頃以来なんじゃないかと思います。

私が受験から解放されたと感じた時と近くてグッと来た

4. 「頂を目指して」石川祐希

⚫︎概要

⚫︎感想

あまりにも良かった。
立ち読みで何気なく手にとった1冊だったけど、数ページ読んだあと即ゲトした!

自分にまっすぐで、アツくて、人生経験が豊富で、自分の可能性を信じていて、人としての器が大きい。

いろんな人へのリスペクトをものすごく感じるし、経験を選手視点で書いてくれること、それを覗けることに、心から感謝!

人間力に魅了された今、パリ五輪がめっちゃ楽しみになった。きっとこれから日本バレーのこともより好きになる。


5. 「君が手にするはずだった黄金について」小川哲

⚫︎概要

⚫︎感想

事実に基づいたエッセイにも、フィクションを交えた「小説」にも思えて、読んでも明確にわからなかった。

小川さん自身が「小説家」とは?を何度も自問自答し、身の回りにいる承認欲求が強い人、理解ができないと言われるような人と自分に共通点があるんじゃないかと考えている文章を通して、自分とは何者かを考えさせられた。

何が本物か分からなくなる事まで見込んで書いているのだとしたら、本当に何が何かわからない。

物語を通して自分の考えていることを間接的に伝える、結果的に読み手に問題提起をされているように感じさせる、「小説家」のすごさを改めて感じた。

自分のやっていることに疑問を持ったり、これでいいのかと考えてしまうのは、自分だけではないし、自分が1番自分を見ている事実は変わらない。

⚫︎引用

謙遜しているわけではなく、もちろん意地悪でもなく、僕は事実としてそう思っていた。小説家に必要なのは才能ではなく、才能のなさなのではないか。
普通の人が気にせず進んでしまう道で立ち止まってしまう愚図な性格や、誰も気にしないことにこだわってしまう頑固さ、強迫観念のように他人と同じことをしたくないと感じてしまう天邪鬼な態度。
小説を書くためには、そういった人間としての損ーある種の「愚かさ」が必要になる。何もかもがうまくいっていて、摩擦のない人生に創作は必要ない。

必死に生きれば生きるほどその差が広がっていき、ついには指先の遥か向こうへと消えていった。
だからこそ片桐は、その後の自分の人生のすべてを捨ててでも、本物になろうと!黄金を掴もうとしたのだった。
何もかもを台無しにして、一夜の花火を打ち上げたのだった。その虚しさに、その恐ろしさに、身震いした。

小説家として生きるということは、ある種の偽物として生きるというととではないか、そんなことを考える。
文章にした瞬間、それらの奇跡が陳腐でありふれた、橋物の黄金に変わってしまうことを知りながら、それでもやめることができない。
「決して手に入るととのない奇跡」という黄金を追い続けるために人生を犠牲にしているという点において、片桐と僕は似たようなととをしていると言えるかもしれない。
片桐も僕も、猫局のととろ虚構を売り買いして生きるだけの価物なのではないか。


6. 「勝手に震えてろ」綿谷りさ

⚫︎概要

⚫︎引用

がむしゃらにがんばってきてふと後ろをふり返ったとしても、やりとげた瞬間からそれは過去になるんだから、ずいぶん後から自分の実績をながめ直してにやにやしても、まあ、そんなでしょ、べつにたいして幸せじゃないでしょ。逆にちょっとむなしいくらい。
だから手に入れたその瞬間に、手ばなしに、強烈に喜ばなくちゃ意味がない。

仕事もよくできて空気もよく読めて察しも良く、でも察しが良すぎるせいで他人の言葉には常に裏の意味がこめられていると思っていた彼は、ニヤリと笑ってなにもかも把握しているかのようにうなずくのがクセで、自分の周りは敵だらけだと思っていた。
主導権を常に自分で握りたがっていて、上司の下で働いていることを認めたがらず、上の命令で動くときも"俺”が決めた、"俺”がやることにしたと常に主語は自分だった。デキるのかもしれないけれどなんか生きにくそうな人だなと周りが気づ始めて人気が落ちてきたころに、辞めてしまった。
辞めるときも、辞めさせられたのではなくあくまで自分からこの会社を見限ったと言い張っていたのが印象的だった。


7. 「凡人の戦略」佐藤満春

⚫︎概要

⚫︎感想

世の中に気づいてくれる人がいると認識できる時間はすごく大切だし、自分の活躍は知られなくていいって謙虚な姿勢を持っているからいろんな人から求められるんだろうなって。

いろんなアドバイスに溢れるけど、自分には自分の適性がある。

潮紗理菜ちゃんは、サトミツさんの「こんなに素敵な仕事をやっているのに自信がないこと」を尊敬していると言っていた。
自分が求められる場所に出会えるまでコツコツ地道に生活をしていくの。

心に留めておきたい言葉だらけで、線を引きまくった。

サトミツさん、本を届けてくれてありがとう。
たくさんの人が救われる。

コトにすごく集中できているなって感じたけど、そこまでには「諦念」と「絶望」がある。
そのキツいステップを経験したから、他者からの評価を割り切って考えられるんだろうな。



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