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外食産業時間③「バーガーキング」 東戸塚店。11.8.

 古い話で、申し訳ないのですが、2009年11月8日のことです。

 この頃、いわゆる「ファーストフード」(リンクあり)に入店して、食事をしてから、店を出るまで、いつも、自分がただ食べているだけで、その時間にどんなことが見えたり、聞こえたりするのを覚えていないと思って、その時のことを記録しようと思いました。どこにも発表したこともなかったので、同じ日付けの時に、読んでもらえたら、と思って、お伝えしようと思いました。

 「外食産業」のありかたが、すっかり変わってしまったコロナ禍の現在(リンクあり)だと、また違うことを感じられるかも、とも思っています。
 
 不定期ですが、何回か、この「外食産業時間」は続けさせてもらう予定です。
 よろしくおねがいします。

2009年11月8日(日)。「バーガーキング」 東戸塚店。

 神奈川県横浜市の東戸塚駅。駅前には高層マンションが建ち並び、横須賀線で首都圏にも1時間以内で行けることもあり、若い夫婦が住みたい街、として名前があがることもあった。駅前には商業ビルも建っていて、商店もそれなりに並んでいる。

 駅はエスカレーターを乗り継いで3階に改札があり、そのすぐ隣にくっつくようにコンクリート打ちっぱなしの細い4階建てのビルが、かなり前からある。

 そこにはロッテリアがあったので、何ヶ月か前、絶品チーズバーガーを食べようとインターネットでクーポン券をプリントアウトして持っていき、財布から出して、入ろうとしたら、工事中みたいになっていて入れなかったが、「バーガーキング」に変わろうとしていたのは分かった。

注文カウンター

 それから約半年がたった。
 午後7時16分に1階の店内に入る。ごつい感じで、一人はヒゲもはやした若い男が二人連れで、注文のカウンターの前にいた。

 店のポスターにも大きく写真がある「ウインドウズ7」発売記念の、バンズが7枚も入っているのバーガーを頼むかどうか(1枚が100グラム弱なのに)の話をしている。階段から若いフリースを着たカップルが降りてきた。入り口付近は私も含めて、けっこう人がたくさんいる状態になる。ギャル風(?)の目の周りがぱっちりとした若い女性店員が二人で注文をとっているけれど、なんとなく笑顔が少なく感じる。

 注文してから、待っていると、私のトレーの上にバーガーを置いて、でも、それは先に注文した人ものらしく、もう1回持ち直して移動して、そして女性の若い店員が二人で顔を見合わせて、注文を受ける時よりも、笑っている。

 私はワッパーチーズベーコンと、オニオンリングとホットコーヒーのセットにした。直径13センチ。牛肉4オンス(約113グラム)というから、かなり大きいので、だけど、草むしりをしたし、歩いて来たし、というのでちょっと迷ったけど、ジュニアでなく、ワッパーにした。910円。けっこうな値段になる。

 入り口には看板があって、営業時間のところに紙みたいなものがはってあった。閉店時刻は22時で、開店時刻が7時30分だったのが、平日は7時15分。土日は7時30分に変更してあって、元の時刻も透けて見える。

 先に注文が揃った2人連れは3階へあがっていく。喫煙席。2分くらいでトレーの上に注文が揃った私は、禁煙の2階席へ上がった。水も頼んだら、小さい紙コップに入れてくれた。

2階席

 テーブルが10席くらい。カウンターが窓際に外へ向いて席がある。全部で80席あると表示されていた。お客は、男性2人。女性1人。全部、バラバラに座っている。カウンターに男女が一人ずつ。テーブル席に男性が一人。壁際には赤っぽいソファーがあって、その背もたれの高さが、前のロッテリアより高い気がしたが、実際はどうなのか、も覚えていない。ロッテリアの時に何度か来たけれど、店内の配色なども忘れている。

 今は、テーブルも木目調。通路側のイスはクリーム色。今は上がっているブラインドも茶色と全体的には落ち着いた色だけど、階段のところもソファーと同じ赤っぽい色になっている。

 最初に店の一番奥のテーブル席に座ったら、視線の真っ正面が女子トイレだった。男子トイレは3階になるけど、そのトイレが気になったので、テーブルが6つ並んでいる、その隅っこに移った。

 ほぼ目の前の、通路をはさんだテーブル席に、中年の女性がサンデーを持って来て座った。たぶんバニラだと思う。店内にはAORというように言われそうな英語のポップスが流れている。空調の音がけっこう大きく聞こえ続ける。

客の動き

 トレーの上のハンバーガーはやっぱり大きく感じる。もう20年以上前に仕事で行ったアメリカの、確かヒューストンのマクドナルドが確かこんなサイズだった。朝方に行ったら、浮浪者風の初老の男性が入って来て、英語だからよけいに分らないけど、何か分らないことを大きい声で叫んでから、すぐに去っていった姿を見た記憶が残っている。

 今のトレーの上には何も言わなくても、全部英語の表示のある小さい袋に入ったケッチャプがのっていた。そのカップは紙で出来ていて、そのヒダがある感じが何だかかっこよく見えた。

 店内に入って10分たった。
 午後7時26分。カウンターに座って背中だけが見えていたエリ足の髪が少しもしゃもしゃした感じのメガネの男性がゴミを捨て、一度、席に戻ってから、歩いて行く途中に、またゴミを捨ててから階段を降りていった。続くように、そばのテーブル席でちょっと斜め座りのように座っていた中年の女性が、もう帰っていった。すれ違うように、また中年女性が上がって来て、そのまま女子トイレに入った。また同じ年頃くらいの中年女性がトレーにサンデーとドリンクを2つ乗せて、1階からあがってきて、仕切りの向こう側に座った。

 その後に小さい女の子を抱いた若い母親が、階段を上がって来た。なんとなく物事に動じない気配がある。最初に私が座った席に行き、目の前がトイレであることに気がつき、まだ言葉がしゃべれそうもない小さい女の子に、トイレだけどいい?ま、いいか?というような言葉を発してから座る。

 さっき3階へ上がって行ったはずのメガネでチェックのフリースで、白髪の短髪の中年の男性が降りて来て、さっきのサンデーとドリンクを2つ持ってきた中年女性のそばに座る。

 その後から、若い男性が続いてきたら、小さい女の子と一緒の若い母親の前に座った。夫婦で親子だった。

客の会話

 カウンターに、私が来る前から座っていた少し猫背の中年女性が降りて行った。トイレに入った女性が出て来たら、さっきのサンデーをトレーに乗せていた女性と、中年の男性のそばに座る。3人連れだったのに、これまで別々の動きをしてから、見事に合流みたいに見えたけど、本人達は自然で平凡な動きをしたという意識しかないだろう。私のすぐそばの仕切りの右側に5つくらいテーブルが並んでいて、そこの真ん中くらいのテーブル席に、3人が座った。

 左側の小さい女の子を連れた若い夫婦は、女子トイレの外側にある手洗いの水道で、子供に手を洗わせている。あまり歩けないくらいの女の子は、ちょっとぐずって泣きそうになっている。ごめんね。でも、キレイになったね、といった母親の声。その後、その夫は手を洗って、でもハンカチがないのか、ゴミ箱まで歩き、その上のティッシュで手をふいた。

 中年の、男女3人組の会話は仕切りがあるだけで、あまり聞こえてこないが、その中で、あいつ◯◯高出身だっけ?という言葉が耳に飛びこむように聞こえてきて、その高校の名前は知っていた。同じ市内の高校に通っていたからだし、地元の感じもした。でも、今の都内の街に住み始めてからは、もう16年になる。もうずいぶんと時間がたったのに、本人の意識の中ではつい最近のことだ。

若い夫婦と小さい子供

 左側の小さい子供を連れた、若い夫婦の会話の方が耳に自然と入ってくる。
 さっき1階の注文カウンターでも聞いた7枚のバンズが入った(ということは1キロ以上の重さになる)1450円のハンバーガーの話題になっていて、あれ食ったやつすげえよ、と言っている夫の顔は野球の松坂大輔の顔に少し似ている。そういえば、松坂も横浜高校の出身だった。その妻は、◯◯にもバーガーキングがあればいいのに、と言った。そんなに好きなんだ、と思わせる言い方。10分と少しで私も食べ終わったから、見た目よりもスムーズに食べれて、ハンバーグを食べた感じは確かにした。だけど、その女性が、そう言うほど、おいしいとは思えなかったけど、それは好みの問題だから、何も言えない。

 午後7時38分。若い夫婦の夫が「パパが水もってきてあげる」とすっと腰をあげて1階まで降りて、戻ってきた。そのすぐ後に、少し派手目の若い女性が続いてきて、3階まで上がっていった。階段を、男性2人連れが、3階から下っていくのが見える。

客の話題

 私の席から階段と、その向こうのガラス窓が見え、少し遠いビルの3階から5階は食べ物屋の看板が輝いているのが見える。

 中年の男女の、右隣の3人組が、新型インフルエンザじゃなきゃ、注射いつでもうてるんでしょ?というような話題でしばらく盛り上がっているのが分った。

 左隣の若い夫婦はメニューを見ながら、食後のアイスをどうするか?という話になっていたら、私が来るよりも先にいた若い男性がゴミを捨てて帰っていく。それから、右隣の中年男女の3人組も帰って行く。いつの間にか、2階の禁煙席は、私と小さい女の子を連れた若い夫婦だけになった。

 その夫の口から、ロッテリア、ウエンディーズ、マック、とハンバーガーショップの名前が立て続けに出てきた後、急に山野愛子美容室の話題になる。窓の外のショッピングモールの大きなビルの壁にある大きい看板のことのようだ。無印良品、ユニクロ、ロフト、など9つが3×3にきっちり並んでいる看板の中に、確かに山野愛子美容室の看板があって、左上のすみにある。

 階段をボーダーのポロシャツを来た若い女性店員がトレーに商品を乗せて上がって来て、2階を見渡してから、3階に上がって行った。

若い夫婦の会話

 若い夫婦は、幼い女の子と一緒に手をあげて、おー、などと言って笑っている。楽しそうだった。今日はいっぱい食べたね。いいものから悪いものまで食べたね。と母親が言っている。帰ってあったまろうか、と言いながら、父親の方が、神奈川には2店舗しかないんだってえ、じゃあ超ラッキーじゃん。と母親がすぐに答えたから、ホントに好きなんだ、と秘かに思う。神奈川には、ここを含めて4店舗だけど、そのうち2店舗のある街の名前まで父親が読み上げている。

 午後7時46分に、まだちゃんと歩けない小さい女の子を父親が連れて、若い夫婦が階段を降りていった。そのあと、3階から、最初に1階の注文カウンターにいて、私より先に注文していた一人はヒゲの少しごつい感じの男の2人連れが降りていった。

人の少ない客席

 2階には、私以外は誰もいなくなった。
 階段を黒い服の若い男性店員が1階から上がって来て、ゴミ箱の上に重ねておいてあるトレーを持って、また降りて行った。

 ちょっと遠くにある窓の外は暗く、大きいビルの9つの看板は確かにすごく目立つ。一つで4畳半くらいあるのかもしれない。トレーの上のゴミだけを捨てようと立って、ゴミ箱に行って、鉄製のボックスにきっちりと一杯入っていて取り出しにくいティッシュももらってきた。店内の壁には、この店の商品の事しかのっていない。横2メートルはある大きいポスターもワッパーの写真だった。

3階の客席

 店内の音は空調と、わりと静かな欧米のポップスだけが聞こえる。

 店内に入ってから、30分以上がたった。午後7時53分に3階のトイレへ行く。階段を上がりきったところで、ソファーに座る若い男性と目が合った。左側には、さっきの派手目の女性が座っている。

 右奥のトイレはドアを開ける時、少し狭い。トイレを使って、出て来たら、女性がタバコを吸っていた。

再びの注文

 アイスでも食べようと思って1階に降りたら、ギャル風の店員に「ありがとうございました」と言われ、カウンターで「注文いいですか?」と、あわてるように聞いてしまい、チョコレートサンデーと、カフェラテを頼んだら300円で「お持ち帰りですか?」と聞かれた。店内で飲食することを伝える。

 壁に、今なら150円、というポスターがあったので、カフェラテを注文したが、最初からミルクが入っているので、「お砂糖はいりますか?」と聞かれる。レシートはいりますか?と聞かれ、いりません、と答える。

 カウンターの向こう側は仲がいい世界だけど、こちら側は何だか当たり前だけどよそよそしくて、それは当然だけど、それが露骨に分りすぎるから違和感があるんだと思った。こちらを向いている時は、わりと無表情で、店員同士が顔を合わせると、急に少し笑う。私が知らないだけかもしれないが、ファーストフードでこういう感じはあまり見かけない気がした。隣のカウンターで注文していた、若い女性がコーヒーだけを持って先に上がって行った。

2階の客席

 私は注文が揃ってから2階へ上がったら、先に階段を上がって行った女性が持っていたはずの、きれいな緑のぴしっとした紙袋が隣のテーブルのイスに置かれていた。

 少したったら、女性はトイレから出て来て、上着を脱いだら、肩がシースルーみたいになっている黒い服だった。そして、またトイレにすぐに入った。コーヒーはほぼ正方形のテーブルのすみに置かれ、イスには黒いコートと緑の紙バックが置かれる。

 考えたら、ここは全部紙コップで、それはファーストフードなら当たり前だけど、そのコップにしわしわというか、熱が伝わりにくい加工をしてあるから目をひくのかも、と思った。

昔の噂

 午後8時になった。大きい音をたてて、3階からさっきの派手な女性が降りてきた。隣のテーブルにコーヒーを置いた女性は、まだトイレに入っている。

 大きいガラスから外が見える。視界をしめるのは、大きいショッピングモールで、他の部分はやっぱり塗りつぶすような暗さがある。このビルが建つまで、この駅が出来てから20年くらいは広い空き地だった。プロレスの興行をした事もある。ここに、イトーヨーカドーが出来る、いや、違う、○○に決まった、といくつものもっともらしい噂を聞いた。

 今はマンションも立ち並び、若い夫婦が住みたい街のランクに入っているらしいけど、この場所は私が通っていた中学の通学範囲だったけど、かなり遠くてバスも少なく、駅ができるまでは、ものすごく隔絶された土地のようなイメージがあった。それも30年前の事になる。駅近くのコンビニや、その近くのビルは、確か中学の同級生が、今は所有しているかもしれない物件だ。

3階から降りてくる客

 空調の音は大きいけれど、ムーディーな女性ボーカルの曲が流れて、一人でいるのはけっこう気持ちがいい。というより、広い空間に一人でいる事が、介護の毎日の中ではないせいかもしれない。

 3階からさっき目があった若い男性が降りて来た。
 2階のトイレから、女性が出て来て、鮮やかな色のケイタイをテーブルに置き、立ったまま、左側の壁の鏡に向かって、自分の姿を見て、いろいろチェックしているみたいだ。ふわふわした髪の毛で、それをまとめていて、テレビなどで見るクラブの女性、というように見えた。

 コートを着て、またトイレに行き、今度はすぐに戻って来て、コーヒーと荷物を持って3階へと上がって行った。前を通り過ぎる時に、香水の香りがやってきた。

一人の2階席

 午後8時6分。また一人になった。
 窓の外の視界のすみに道路が通っていて、街路樹があるせいで、クルマのヘッドライトがちらちらとして見える。

 1階から、おそらく店員の話し声や笑い声が時々のぼってくる。カフェラテの通常の値段は、ホットが280円。アイスが300円で、アイスの方が高いんだ、今日は150円というのはかなりお得なんだ、とポスターを見て改めて思う。

店を出る

 午後8時11分。もう1時間くらいはいた。久しぶりに一人で、ゆっくりできた。そろそろ帰ろう。荷物は置いたまま、まずゴミを捨てる。

 下から客が上がってくる足音が聞こえる。30代くらいのカップルがカウンターの席へ座った。男性がすぐにトイレに向かっていき、「上だ」と独り言を発し、3階へ上がって行った。

 階段を降りて、1階の注文カウンターを通る時に、20代と思われるカップルが2組いた。私がいなければ、2階に、誰もいない時間が20分くらいあったんだ、と意味ない事を思う。1時間近くいたのだから、それも一人でだから、かなり長居の客のはずだ。注文を受ける店員の後ろに、紙の王冠みたいなものが並んでいた。

 店を出て、そこからすぐ隣の場所にある、駅のエスカレーターに乗って、3階に登る。このくっつくように隣のビルが、改札の階から直接つながって店内に入れたら、この前にあったロッテリアも撤収する必要はなかったかもしれない。

 東戸塚から横須賀線に乗り、途中の横浜駅で結婚式の帰りらしき若い集団を見て、さっきの2階のトイレに行っていた若い女性と同じような格好にも見えたが、微妙に違うのかもしれない、と思った。


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おちまこと
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