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「秋の虫と、新ワクチン」。2022.9.3.

 少し涼しい。
 窓から道を歩く高校生が長袖を着ているのを見て、自分も長袖のワイシャツを着る。

病院

 午前9時前に家を出る。

 太陽が出ていない。
 今日は、不安定な1日らしい。

 出かけるときに、持ったつもりの折りたたみカサが、木曜日に出かけた時のバッグに入っていて、そこから入れ替えるのを忘れていて、ちょっとバタバタした。

 道を歩く。

 病院の前を通ったら、2人も待っている。
 夏休みが終わった感じがする。

 駅に着く。
 改札口の電光掲示板には、電車の遅れる情報が流れている。

 ホームは、先週よりも人が少ない。
 10人くらいしかいない。

日差し

 電車に乗った。
 空いている。

 窓が少し開いている。

 いくつか駅をすぎ、終点一つ前の駅についたら、いつものように人が乗ってきて、急に混んでくる。

スーツケースを持った若い男性と、スマホを見ている若い女性が乗り込んできて、ドアのそばに立っている私の場所まで、周りを見ていないので、真っ直ぐに距離をつめてくる。もう、ソーシャルディスタンスという言葉自体が無効になっているのかもしれない。

 終点に着いて、車両から一気に人が降りる。
 私も降りると、いつものことだけど、人の波にのまれるような気がする。

 改札を出て、また改札に入る。
 消毒のアルコールを使ったのは、いつもの習慣なのだけど、今日も一人だけだった。

 階段を降りて、ホームに着いたら、急に太陽の日差しがさしてくる。
 とたんに少し暑く感じる。

駆け込み乗車

 電車が来て、車両に乗った。窓は少し開いている。

 電車が走り出す。

 座席は、ほぼいっぱいになっている。
 半袖、短パンの中年男性が座っていて、耳にはイヤホンが差し込まれていて、眠っているけれど、全体の格好の印象が、バカンスだった。

 そのそばに座っている中年女性のスマホには、草間彌生の黄色いカボチャがぶら下がっていた。

 次の駅について、また出発するときに、「駆け込み乗車は、おやめください」という男性の声のアナウンスが入ったけれど、そこにはわずかに怒りの感情が入っているとわかるのは、ついさっきまで、感染予防に関することを話していた時の穏やかさと比べると、明らかに違っていたからだ。

せき

 電車はさらに走る。

 ドアのそばに一人で立っていると、近くの男性が小さいせきを繰り返す。
 そっと、遠くへ移動する。

 マスクをしていたけれど、もしもしていない場合で、無症状の感染者だった時は、もううつっていたかもしれない。そんなことを思って、そんな行動を取るのは、もうこの車両には誰もいないのではないか、と思う。

 次の駅で大勢の人が降りていく。せきをしていた男性も降りていく。

 車両の中の人は減って、周りと十分に距離をとれるので、久しぶりに座った。

 目的の駅に着く。
 改札の外には、あちこちに人が集まっていて、あちこちに人のかたまりができている。待ち合わせの人たちが多いのだと思う。

季節の変化

 駅の構内を出る。

 線路側の道を歩いていると、柵の向こうの雑草は茂っているけれど、いつの間にか花がなくなっている。

 並木の下の植え込みから、秋の虫の声が聞こえる。
 歩いても、また聞こえてくるから、かなりたくさんいるようだ。

 遠くからはセミの声が聞こえてくる。
 気のせいか、少し弱い響きになっているように思う。

 整備された歩道の並木の下に動くものがあった。近づくと、それはネズミだった。とても小さめだから、たぶん、ハツカネズミだと思う。

 動きが速く、細かかった。

 季節の変化の境目で、あちこちで、微妙な混乱がしているように思う。

 レンタサイクルの駐車場が街のところどころにあって、その中の一台のヘッドライトが点灯したままで、壁の一部が光っていたので、その建物の警備員にそのことを伝えたら、御礼を言われた。


 夕方4時過ぎに用事が終わり、再び、朝降りた駅に向かう。

 蒸し暑いけれど、でも、やたらと暑い感じはなくなっている。
 いつもと変わらない夕方だと思う。

 駅に着いて、自分が乗ろうとする電車がホームに来る、というアナウンスが流れた時に、自販機に「梅」の飲料があるのに気がついた。妻が好きなのだけど、ずっと売っているというわけではなく、時々、スーパーの棚に現れては、いつの間にか消えるので、目についたら買うようにしている。

  少し焦って、200円を入れ、お釣りを待って、ちょうど電車がやってきた。

ニュース

 電車に乗る。ドアの上の小さい画面にニュースが流れる。

 新ワクチン オミクロン株対応 9月半ばにも
 IAEA 原発 専門家2人常駐
 村上 史上最年少 50号
 青森沖クジラ 1キロ21万円
 ルフトハンザ航空 ストライキ
 ナダル、逆転勝ち

駆け込み乗車

 目的の駅につき、階段を登って、乗り換える。

 2つの改札を抜けた時に、ちょうど、乗ろうとする電車の発車のベルが鳴っていて、だから、反射的にダッシュする。左足の付け根がちょっとガクッとしたけれど、そのまま車両に走り込む。

 間に合ったと思ったら、まだしばらく停車していて、そんなに急ぐことはなかった、とやっぱり思う。

 車内はそれなりに人口密度が高く、窓が開いていて、風が通りそうな場所に移動をする。

 そばに座っている中年男性が、マスクをしているけれど、鼻を出してせきをしているけれど、本人はスマホをさわりながら、そのことを全く気にしていないし、周りでもそのことを気にしてる人はいない、と思う。

 自分だけが、まだ怖がっているのかもしれない気がしてくる。



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