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ノコギリで、小さいケガをしてからの2ヶ月間。

 柿の枝を切って、かなりたくさん切り落として、だけど、そのあとに庭を覆うように、柿の枝と葉っぱでいっぱいになり、それを、小さく切って、ゴミに出す手間がある。

 全体的には、妻がやってくれているのだけど、大きめの枝は小さく切らないと、まとめられない、と言われていて、だけど、忘れがちで、申し訳ないと思いながら、少しずつ遅くなり、今日こそ、と思った日は晴れていた。

 妻は、病院に行く日で、駅で見送って、その後に買い物をして、家に帰ってきて、冷蔵庫に野菜などを入れて、整理してから、ノコギリを持って庭に出る。

 その時、厚めの手袋が目に入ったけれど、この前、太めの枝を切り落としたわけだし、今日は、庭のすみに並んでいるゴミとして出すために、長めの枝を短く切るだけだから、大丈夫だと思った。




(※ここから先、小さいけれどケガの描写や、残酷に感じられる話題にも触れます。そうしたことでショックを受けやすい方は、ここから先を読むことに、ご注意ください)。





ノコギリでのケガ

 それから、庭へ行き、置いてある自転車をどかして、枝を切り始める。しばらく置いてあったから、葉っぱは枯れて形が変わっている。細い方が切りにくいと思って、何本か切って、もっと早く切らないと、などと思っていたら、左の親指にノコギリの歯がかかってしまった。

 いたっ。

 普段は痛くても声を出さないのに、家には1人しかいないのに、つい、声が出てしまうほど、突き刺すように痛かった。ノコギリで、左の親指の爪のそばのところを、ザクっと切ってしまった。

 カッターや包丁などと違って、もっと引っ掛かるような痛さがある。

 うわ。

 長さは1センチ弱で短いけれど、深めのキズなのはわかった。赤い血があふれてくる。切り傷は数限りなく経験してきたけれど、そんな中でも、そのあふれ方が早かった。だから、怖くなった。

 持っていたノコギリを置いて、部屋へ行った。

 座ったら、血液が垂れて、こたつカバーが赤くなった。まだ全然、血は止まらない。それでも、ティッシュで拭いて、拭いて、それから、バンドエイド的なものを貼った。一箱100枚入りの、それほど高くないのを、2枚貼る。すぐに赤くなってくる。

 間に合わない。

 午後2時で、穏やかな空気だったのに、急に緊迫した。

 赤くなった、バンドエイド的なものをはがして捨てて、また、新しいのを貼る。

 また赤くなる。またはがして捨てて、新しいのを貼る。

 やっぱり、傷は深めのようだ。

 それで、これからの時間、やることはあったのに、なるべく安静にすることにした。今日の筋トレもやめる。

(荒目のノコギリで、柿の木などを切る時は、とても切りやすくて、よかったのですが、それだけに指を切ると、痛かったです)


刑罰

 妻が帰ってきて、「これ以上、柿の枝を切るのは、怪我したので、申し訳ないけど、中止」と伝えたら、すごく心配してくれて、消毒をしてくれた。

 血がまだ、あふれてくる。そして、また何枚かのバンドエイド的なテープをはる。

 こんなに小さい傷なのに、明らかに、ノコギリの傷は痛い。昔の刑罰のことを思い出し、残酷さを思って、その話を少ししたら、とても妻に嫌がられた。

死刑も然り。近代以前なら、人権思想の一元的支配が始まる前なら、多様な死刑があった。切腹、斬首、さらし首、のこぎり引き(中略)五人殺して逃走中の殺人犯に、今投降すれば楽な絞首刑だが、もし六人目を殺したら車裂きの死刑だと警告すれば、死刑は、六人目からは犯罪抑止力を発揮するだろう。

 痛みの質の違いは明らかだから、人間の恐怖心のようなものを、とても(うまくという言い方は今になったら適切かどうか分からないけれど)利用していると思えた。

続く出血

 もう夕方の5時なのに、止まらない。

 そのあと、夕食の後の食器洗いは私の役目で、その負担を減らしてくれるために、今日は、妻がコンビニでパスタを買って、あとは、手羽先で料理を作ってくれて、一緒に食べた。

 血がまだ止まらない。午後9時なのに。ちょっと怖くもなる。

 幸運なことに、これまで大怪我がなかった。いわゆる「縫った」のは、サッカーの試合中に頭を蹴られた時くらいで、頭部は血が多くて周囲は驚いたようだったけれど、痛みはそれほどではなかった。でも、縫わないと出血が止まらない感じはわかった。

 止められない場所は縫うしかないけれど、今回は指で、包帯も巻いて、止血ができる。それでも明日は出かけるので、明後日まで止まらなかったら、整形外科に行こうと思うが、指のちょっと奥の方からの痛みが続くと怖くはなる。

 お風呂に入る前に、妻がビニール手袋をつけてくれて、お風呂から出たら、また消毒して、そのとき、傷の形が、きれいではなく、ごちゃごちゃしていて、だから痛かったし治りも遅そうだと思う。

 2枚、バンドエイド的なものをはって、そのあとは、これから寝るときの用心のために、包帯を巻いてくれた。もう、大けがのようだ。

 親指が大きくなったみたいだ。

 午後11時でも、まだじんじんとする。痛みがこんなに止まらない切り傷は初めてで、これまで恵まれていたのだと改めて思う。

ケガの翌日

 翌日、出かける前、午前11時頃に妻に消毒をして替えてもらう。

 包帯を外したら、バンドエイド的なテープは2枚とも真っ赤になっているのがわかる。まだ血が完全に止まっていないことにちょっと怖くなる。

 だけど、体の内側へ刺すような痛みは無くなってきた。

 午後5時過ぎに外出から帰ってきた時には包帯が少し血でにじんでいる。傷テープは、2枚とも赤かった。ちょっと怖くもなるが、痛みは減っていた。

 包帯まで巻いて、左の親指が大きく見えるから、嫌でも目立って、どうしたんですか?と出先の知人に心配された。

 痛みは、不安を持たせ続ける。
 こんな小さなケガでも、ずっと気になる。

3日目

 ケガをしてから、3日目の朝。
 痛みはおさまっている。

 包帯を取る。テープが2枚貼っている上の方には血がにじんでいない。

 昨日は、そのバンドエイド的なテープが2枚とも結構べっとりと赤くなっていたのと比べると状況は良くなっているように感じ、それだけでホッとしたのは、これで整形外科医に行かなくて済みそうだからだった。

 午後2時頃に、妻が、包帯やテープをかえてくれた。

 傷口は、柔らかくもろい赤いゼラチンのように固まっていて、かろうじて、血が出てきていない。だけど、まだ生々しいままで、しばらく経つと、じわりと血がにじんできたので、圧力をかけるためにも、また2枚のテープと、包帯を巻いた。

 とりあえず、明日出かけるのだけど、今日は整形外科の医者に行くのをやめる。この程度で行ってはいけないというような気持ちと、だけど、深い傷は「縫う」というのは、こういうことか、と思ったりもして、それまで結構迷っていた。

 ただ、不安はずっとある。

 午後遅くに、妻にまた、包帯とテープを替えてもらった。両手を使えないままだった。2枚目のテープまでは血がしみなくなった。一枚目は、血がべったり。それでも、傷口から血があふれそうで、あふれなくなった。

 ビニールの手袋をして、左手をなるべく使わないようにして、お風呂から出た後、それでも包帯などはビチョビチョになって、夜にも妻に替えてもらった。

 まだ血が出ているけれど、それでも、普通の傷に近づいている。と思った。

4日目〜7日目

 ケガをしてから4日目。土曜日。

 朝、出かける前に包帯とテープを、妻に替えてもらって、午後5時過ぎに帰ってきたら、赤くなっていなかった。

 でもギリギリ止まっている感じだった。

 ケガをしてから5日目。日曜日。

 午後遅くに包帯とテープをかえてもらう。テープの1枚目はまだ赤い。傷が2本、離れてあるのがわかった。治りが遅そうだし、ちょっと刺激を与えると、またぱっくりと開きそうで、怖い。

6日目。月曜日。

 夜、お風呂に入ってから、申し訳ないのだけど、両手が使えないから、妻にテープなどをかえてもらう。
 1枚目のテープには、まだ血が出ている。

 傷口付近は白い。2本の傷があって、まだ、赤いゼリーのような止まり方をしていて、だから、すぐにまた出血しそうだ。

7日目。火曜日

 まだ白い。傷口が塞がっている感じがしない。

2週間

8日目。水曜日。

 一週間経ったのに、まだ包帯が取れない。

 実家へ行って、庭の作業をした。そこに行くまでに、除草剤などが重いけれど、左手で荷物を持てず、全部右側で持つのは、体が傾き、しんどかった。

 でも、その作業から帰ってきて、テープなどをかえたら、傷口は赤いゼリーで、出血はしていなくて、ほっとしたが、いつ傷口が開いてもおかしくなかった。

 夜中に、初めて、自分で包帯を替えた。それだけ、出血の不安が減って、痛みもほぼなくなり、両手が使えるようになったせいだった。

9日目。木曜日。

 包帯が取れない。
 押すと、まだ痛い。

10日目。

 いい加減に、と思っても、赤いゼリーのような傷口が、狭くなるのではなく、ちょっと広くなった気がする。

 ここから完治するのに、どこまでかかるのだろう。筋トレの腕立てはいつできるようになるのだろう。

12日目。日曜日。

 包帯をとって、2枚のテープだけにする。
 
 固まってきたようだけど、赤い傷口はまだ柔らかそうで、押すとちょっと痛い。

 いつ、完治するのだろう。

13日目。月曜日。

 テープ2枚だけにして、下のジャージを両手で引き上げるとき、テープはまとめて、スポッと取れてしまい、焦る。

 傷テープは、また3枚にする。

 風呂に入るとき、ビニール手袋をつけていたけれど、風呂を出て、それを取ったら、3枚のテープと一緒に取れてしまった。
 
 焦る。

 今度は、指サックをつけようと思う。

14日目。

 テープを3枚かさね、取り替えた時、少し血がついている。

 傷口は、まだ柔らかそうで、何か刺激があったら、すぐに開いてしまいそうだった。

 本当に治るのだろうか。

15日〜30日後

15日目。水曜日。ケガをしてから、まる二週間が経った。

 指サックをつけて、ビニール手袋をつけても、風呂から出たら、テープごと、サックの中に取り残され、傷口が丸出しになる。

 まだ怖い。
 傷テープをかえる。

16日目。木曜日。

 出かける。そのための支度をする。
 指サックをつけていると、ワイシャツのボタンが止めにくい。

 帰ってきて、テープに血はついていない。

17日目。金曜日。

 傷口が、やっと赤くなくなってきた。
 何本も、傷口がまだみえて、しっかりはついていないので、不安はある。

18日目。土曜日。

 やっと傷口が閉まってきた感じがだけど、まだテープをしないで、むき出しは怖い。

 その治りかけの傷口は危うく、ガタガタになっている。真っ直ぐスパッとした傷口がいかに治りやすいのかを、改めて知る。

19日目。日曜日。

 左手の親指をうかして、腕立てがやっとできた。
 3週間弱も、腕立てをしないのは、久しぶりだった。

20日目。月曜日。

 妻が筋トレをするというので、一緒にリストを鍛えるグリップを握った。親指を浮かせて、50キロを握った。

 その後も、血が出ていなかったみたいで、ちょっと安心した。

 ただ、テープを替える時、改めて傷口を見たら、キレていたところだけではなく、その周囲の小さな部分が、凹んでいた。それは、小指の爪の半分くらいの、小さい面積が全体的に「やられていた」のだと思った。まだブヨブヨしている。治りきるのは、いつだろう。

30日目になった。

 傷ではなくなった。

 ただ、傷があった場所、小指の爪くらいの面積の皮膚が、一枚はがれ、むき出しのような状態になっていて、さわるとヒリヒリするので、テープを貼り続けている。

 その部分の感覚がないみたいだ。

2ヶ月間

 小さいケガをして、こんなに毎日のように気になったのは初めてだった。

 毎日、ほんの少しの変化があった。

 痛みと不安があったけれど、昔、宿題でつけていた、朝顔観察日記に近い感覚もあった。

 ケガをしてから、かなり長い間、傷テープを貼り続けていたのは、その傷の部分が、火傷の後の水ぶくれのようで、皮膚が少し薄く感じ、普通に何かをつまむだけで、痛かったせいだった。

 40日が経ったあたりでも、そんな、本当に治るのだろうか、という状態が続いていた。

 そして、テープを貼らなくても済むようになったのは、50日が過ぎたあたりで、そして、2ヶ月経って、やっと、ほとんど痛みがなくなってきたものの、左の親指のケガをした部分は、今も、ちょっと触った感じがないから、まだ神経が通っていないのかもしれない。

 だから、改めて、粗目のノコギリのようなもので、ケガをしてしまうと、もちろんもっと若ければ治りが早いかもしれないけれど、傷口が乱れているので、通常よりも長引く可能性が高い。


 そして、とても当たり前のことですが、やはり、刃物を使うときは、本当に気をつけた方がいいと、強く感じました。新しくノコギリを購入し、柿の木などを多く切って、その切れ味などに慣れていて、やっぱり、油断していたのだと思います。




(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。





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