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海外で電話をするときに、気をつけたいこと。

 もう随分と昔の話なので、今は少し事情が変わっているかもしれないが、例えば、アメリカ大陸から日本に国際電話を、それもコレクトコールをかける場合は、現地のオペレーターに電話番号を伝える必要があった。

 初めての海外出張の前に、聞いていたのは、英語だとうまく伝わらない話だった。

 電話をかける。オペレーターが出る。日本の会社に通話代を払ってもらうようにしてもらう。その間に、使う英語は、オーバーシーズコール、プリーズ。それから、コレクトコール、プリーズ

 その後に、番号を言うのだけど、ある人は、英語やその状況に慣れていないので、「えーと、えーと、えーと、えーと」と連発していたら、すでにオペーレーターが、「8888」に繋いでしまった、というようなことを聞くと、自分もまだ海外に行っていない時は、他人事ではなく、教えてくれた人は笑っていたけれど、私は笑えなかった。

実際のコレクトコール

 それから少し経って、アメリカに仕事で行く。

 日本の会社に電話をする。

 オーバーシーズコール、プリーズ。コレクトコール、プリーズ。

 もしかしたら、順番が違うかもしれないけれど、そこまでは、順調だった。

 あとは、電話番号だけだ。

 うまくかかる。そうすると、向こうで、電話に出る声とか、オペレーターが、コレクトコールだけど、支払いますか?みたいなことを英語で言って、電話の向こうで、「イエス」さらに「イエス」を繰り返し、最後に向こうで「プリーズ、ゴー、アヘッド」と上司が言うと、電話がつながる。

 何度かうまくいったから、すっかり慣れて、もう大丈夫と思うようになり、毎日、会社にかけるときも、ちょっとリラックスしていた。

違う場所

 少し慣れた頃、いつものように電話をかける。

 コレクトコール、とか、オーバーシーズ、とか、そういう英語の発音にも、ちょっと自信もついていた。

 その後に番号を言う。

 つながった。向こうで声が聞こえる。
 
あれ、おい、外人さんが、何かしゃべっているぞ。

 なんだ、どうすればいいんだ」。

 電話の向こうは、日本らしいが、明らかに混乱していて、そして、違う場所につながったのは、わかった。

 そのあと、オペレーターは、こちらに向かって、何かをしゃべる。
 いつもと違う英語を、さらにスピードアップして話されたので、何を言っているかわからないけれど、何かクレームっぽい言い方になっていて、そして、こちらが何かを言う前に、電話が切れた。

 もう一度、電話をするのが微妙に怖くなったけれど、また、電話をしたら、今度は、いつもの会社につながった。

 何が悪かったのだろう。

注意する点

 アメリカで仕事をする経験の長い人に、相談した。

 その電話番号を伝えたら、すぐに、最後の4ケタが「83××」だったのだけど、そこの私の発音に問題があったらしい、と教えてくれた。

 

 「エイト、スリー」と、カタカナ英語っぽく発音すると、「エイト」の最後の「ト」が、「スリー」の前に音がかかって、「スリー」が「ツー」として解釈されるから、間違ってつながった場所は、おそらくは「82××」だと思う。

 だから、次からは、「83」を、「エイト、スリー」ではなく、意識して「エイ、スリー」と発音した方がいいのではないか。


 そんなことを丁寧に教えてくれた。ありがたかった。だから、次から、そう意識したら、1ヶ月くらいの出張の間、その後は、間違って電話がつながることはなかった。経験値というのは、すごいと思った。


 そういえば、もっと昔、たぶん、明治の頃の話だと思うのだけど、「What time is it now?」と言う英語を、「掘った芋いじるな」と日本語に置き換えて、発音したらしいが、それは「ファッツ タイム イズ イッツ ナウ」というカタカナ英語よりも、海外で、伝わったらしい(どこで聞いたのか、すでにはっきりと覚えていないが)というエピソードを思い出した。

 当然なのだけど、アルファベットを見て話すよりも、耳で聞いたままを言葉にする方が通じやすい、ということだと改めて思った。



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