「W杯2022」地上波TV視聴日記①「イングランドの6点目と、日本代表」。11.20~11.27。
ワールドカップが始まった。
今回は、それほどの熱量を持って見られない感じがしたのだけど、その直前に放送した四年前のドキュメンタリーを見て、やっぱり見ようと思った。
だけど、うちは地上波のテレビしか見られないし、録画するにしても、他にも見たい番組もあったりするので、見られる試合は限られそうだし、録画したとしても特に予選リーグの試合を、結果が分かってから数日後に見るのは、あまり気が進まない。それに夜中にずっと見ているわけにもいかない。だから、デイリーハイライトのような番組も含めて、見ていくことになると思う。
こんな程度の熱量で、だから、熱心なサッカーのファンやサポーターには申し訳ないような気持ちもあるけれど、そんな感じであっても、やっぱり見たい気持ちはある。
コンビニに行って、久しぶりにサッカー関連の雑誌を買ってきた。
11月20日
カタール 0―2 エクアドル。
開幕戦で、地元のカタールが負け、それは史上初と言われていたけれど、W杯初出場で、勝つのは難しい。
オフサイドになったエクアドルの最初のシュートへのアシストのプレーが、ジャンピングボレーで、少し逆回転という、何だかすごい技だった。その後の半自動のオフサイドの画面は初めて見たけれど、ムダが削ぎ落とされた抽象画のようで、怖さまであった。
11月21日
イングランド 6―2 イラン
イングランドが強かった。うまかった。足元できちんと止めていたけれど、それは相手のつめが甘いせいなのか、よくわからない。だけど、それは適切なコントロールであって、必要であれば、左右にトラップするのだろう。止めて、蹴る。それがきちんとし続けていて、気持ちがいい。
そして、6点目も、自分もシュートを打てるのに、フリーになった味方にきちんとゴール前でパスをつないで、淡々と追加点を取る怖さを感じた。
11月22日
デンマーク 0−0 チェニジア
特にスコアレスドローの試合を見た時の、なんというか、これもワールドカップ、みたいな気持ちになるのは、何しろ負けられない、というお互いの気持ちの強さを感じるからだろう。
消極的なのではなく、途中で戦略的にその結果になるように試合をコントロールしあっていく。それは、でも、あんまり露骨だと、そこをつかれて失点に結びつくようなこともありそうだから、お互いを見張り合うような大人の緊張感があるから、勝ち点1の徒労感というのもあるのかもしれない。
同点の状態のまま、勝利を狙って、点を取りに行くと、攻められて失点し、負けたら、勝ち点0になってしまうかもしれない。それなら引き分けの方がいいのではないか。そんな微妙な葛藤をお互いがしているような時間があるような気がする。特に90分の終盤になれば肉体的な疲労もピークに達し、こんな思いをして、何も手に入れられないのは嫌だ。そんな本能的なものが出てくるのかもしれない。
だから引き分けで勝ち点1、というのは、とても意味が深いのかもしれない。そして、勝てば勝ち点2ではなく、3であることも、サッカーの戦略性をより引き出す働きがあるのではないだろうか。
ただ、それが見られるのは、予選リーグだけだ。
この日は、アルゼンチンがサウジアラビアに負けた。地上波しか見られないと、この劇的な試合を見ることができなかった。
11月23日
日本 2−1 ドイツ
そして、日本代表の試合。
キックオフ前に風呂に入って、備えた。
1点を取ったと思ったら、オフサイドだった。シュートを打った前田大然についていたDFが、パスが出た瞬間、手を上げている。冷静だった。
長友佑都はスタメンとして左サイドのDFとして出ている。髪を赤くしたのは、そこに注目を少しでも集めて、緊張を減らす、ということもあるのだろうか。
ドイツ代表のユニフォームは高級感のある色合いだと思っていたら、妻は、泉屋のクッキーの缶みたいだといった。それ以降、そうとしか見られなくなる。
前半の33分。
ドイツの攻撃をキーパーが倒してしまいPKで先制される。あっさりと冷静にほぼ真ん中に蹴り込み、それほど感情も動かない感じ。
普通に強い。
「ハイプレス」の話を解説者たちがしている。
サッカーは、ボールを持って攻撃するものなのに、そして、トップの選手までが、どういうディフェンスをするかの話題が中心になっていくのは変だと思う。点を取れそうもないストライカーは怖くない。
高い位置で奪って攻撃する。そんなことをずっと言われ続けているが、そんな省エネみたいな話ばかりをしているけれど、どう奪うか、よりも、どうやって点を取るか。その話をもっとした方がいいような気がするけれど。などと思って、テレビを見ている。
テレビのドキュメンタリーを見て以来、より、長友佑都に注目するようになった。
長友の動きは、弾むゴムのようで、早く力強い。
長友の左サイドには、あまり攻撃が来ない。相手も、右サイドの方がより弱いと思われているのだろうか。それとも、攻撃をさせない動きを長友がしているのだろうか。
アディショナルタイム。前半は、あと1分くらい。
ドイツにシュートを決められたが、オフサイドかもしれないという空気になり、VARでチェックしたら、オフサイドになった。とても救われた感じだった。
そのあとに長友が左サイドを上がって、強いクロスボールをあげて、FW前田のシュートまでにつながる。
すごく強いボールと、強い意志を感じるプレー。目を覚ませ。そんなメッセージにさえ感じるクロスボールだった。
前半は、ずっと日本代表はいいところがなかったように見えた。
後半
後半が始まり、長友はベンチに下がった。
途端にドイツの左サイドからの攻撃が増えてきたようだった。
日本は攻撃のプレーヤーを中心に、交代して、結局は5人かえた。
ワールドカップで、こんなに大幅に人数をかえる日本代表は、初めて見た気がする。
後半から交代した、スピードのある浅野拓磨が前線で縦のドリブルをするが、ボールを前に出し過ぎて、ゴールラインを割りそうだった。マークするドイツのプレーヤーは、不自然に足を高く上げて、明らかにバカにするような行為に見えた。
ドイツは、何となく雑になってきた印象になる。
交代が多くて、日本代表も連携がとれずに、まだバラバラな感じまでするが、それ以上に、ドイツも対応しきれていないように見える。
後半に交代したプレーヤーの中で、堂安律に期待していたのは、今も枠の中にはまらない気配を持っていたからだ。
日本代表は、攻撃をする機会が多くなった。
サッカーはボールを持って、ゴールへ向かうスポーツだから、やっと本来のサッカーを始めてくれた気がした。
後半30分。最後は、堂安が決めた。
同点になる。
後半33分。ドイツもプレーヤーを2人かえた。
後半38分。縦のロングパスに、浅野がトップスピードで走り、追いつき、トラップして、ゴール上、ドイツの名GKノイアーも届かないスピードで、ボールを突き刺す。とんでもないゴール。さっきまで浅野のシュートは入る気しなかったのに、あんなプレーできるんだ。全速力で走り、トラップからほとんどノーステップでシュート。
浅野は、人に囲まれる。
ベンチにいた長友も出てきて、浅野の腰を抱いて、低い位置で祝福し、そのあと、スタンドを手を上げて鼓舞していた。支えている感じがした。
2対1。
ドイツ相手に逆転した。
信じられない。
アディショナルタイムは7分もある。
足がつる選手が目立つ。
吉田麻也も、足をつっていた。
いつもどうして微妙に自信がない顔をしているように見えるのだろう。
長いパスはいいのに、どうして短いパスが難しいのだろう。
そんなことを思っていた。
それでも、時間が過ぎて、勝ってしまった。信じられない。
試合後のインタビューが続いた。
堂安は、どう思って、交代したのか?という質問に、ためらいなく答えていた。
俺が決める。俺しかいないと思っていた。という強い気持ちでピッチに入った。
俺が日本サッカーを盛り上げる。
そんな気持ちです。
こういうプレーヤーが必要だと思った。
全く関係がないけれど、「チェンソーマン」というアニメを見ていて、とんでもなく強い相手には、頭のネジがぶっ飛んでいるやつでないと勝てない。
そんな会話がされていたが、ぶっ飛ぶというより、枠を超える発想ができる人間が、特に強いチームに勝つには必要で、堂安は、ずっとその姿勢を保っているように見えていた。
いろいろなプレーヤーがインタビューに答えていて、早口で話す人間が増えたと思った。もう、人前で話せないアスリートは、特に海外では活躍できないのかもしれない。
そんなプレーヤーの中で、鎌田大地は、際立って冷静な語り口に見えた。
前半は、相手をリスペクトし過ぎていて、ダメだった。そのままだったら一生後悔すると思った。だけど、後半、システムを変えて、戦えた。
そんなことを、まるで当事者ではないように話をしていた。
理知的なプレーヤーだと思った。
常に戦う姿勢を崩さない長友。
どんな場面でも、枠を超えられる可能性の堂安。
いつも、客観性を保っていそうな鎌田。
この3人が何とかしてくれると、テレビ視聴者として、そんな勝手な気持ちを抱いていた。
ちょっと夢のような試合だった。
ずっと実現しないと思っていたワールドカップ出場を決めた、1997年のジョホールバルの試合の時以来の感触だった。
11月24日
韓国 0−0 ウルグアイ。
どちらも平均身長が180を超えている。
スコアレスドローは、肉体的に加えて、緊張感での疲労が大きいのではないか、といったことを考える。
遅ればせながら、NHKスペシャルをみて、森保一監督のインタビューを聞く。
ハイプレス。という言葉。
ビルドアップ。という方法。
これは、普通に現代サッカーの基本ではないか、といったことを思った。
さらに、ロングフィードは相手にボールが渡ることが多いことを、ビルドアップの理由にしていたが、長いパスが通らないのは、シンプルに技術が足りない、というだけではないか、などとも感じる。
さらに、ビルドアップ、という言葉で思い出すのは、スペイン代表だけど、特にワールドカップで優勝した時の、プレーヤーたちのすごいテクニックと、バルセロナという同じチームで普段からプレーしているプレーヤーも多い、という条件が揃っていたからではないか、と考えたりもした。
11月25日
ブラジル 2ー0 セルビア。
妻も一緒に録画した試合を見ている。ブラジルは楽しそうで、何かをやりそうだから、という理由だった。
1点目。
ペナルティエリアの直前の密集地帯で、パスが来て、相手も目の前にいるのに、タッチしないでボールを流してから、体を入れることで、一人を抜いている。ネイマールだった。それから、得点に結びつく。
ボールの転がるスピード。相手との間合い。そんなすべてを一瞬で把握して、最も効果的なプレーができる。
こういう判断が普通にできるのは、サッカーが生活の中にあるせいだろうか。試合や練習だけではなく、とても上手い人間が、ずっとサッカーをしていないとできないことだと思う。
さらにネイマールだけでなく、プラジルのプレーヤーのスピードが早く見えるのは、いつもサッカーのスイッチがオンになっているせいだろう。そして、自由に見える瞬間があるのは、とてもうまくて、自分のイメージをプレーで具体化できるからかもしれない。いいなー、と思う。
色々な制約やプレッシャーや緊張はあるのだろうけど、自由に見えるのは、やはり、基本的には圧倒的に上手いからだろう。
2点目。
リシャルリソン。トラップで、ボールをうかして、反転して、ジャンピングボレー。これで2得点。
すごい。こんなプレーできたら楽しいよね、と思う。
だけど、こういうことをいつも試みて、それがほめられるような環境がないとできるようにはならないはずだと思うと、アジアのサッカーとの圧倒的な差を改めて感じる。
11月26日
ポルトガル 3ー2 ガーナ
妻と一緒に録画を見ていて、クリスチアーノ・ロナウドが気になったようで、プレーもそうだし、見た目も際立っているし、その上で、体にタトゥーを入れないのは献血ができるようにするため、という有名なエピソードを伝えたら、感心までしていた。
試合ではロナウドは、ゴールも決め、試合後のインタビューまで画面に流れていたが、その話し方が繊細そうで、さらに妻の株が上がったようだ。
この時に乗じて、アルゼンチンのメッシの話もする。
この二人が、この10年以上、ずっと世界のサッカー界でトップレベルだったこと。その凄さを一応は、話してみる。
今日は、聞いてくれたような気がする。
ポーランド2ー0 サウジアラビア
夜になってテレビをつけると、地上波でも、レベルの高いサッカーが生放送をしているのは、やっぱり贅沢なことだと思う。
前半にポーランドが先制する。
後半18分。ポーランドのヘディングシュート。
バーに当たってはねかえる。
それは不運ではなく、技術がわずかに足りなかったことのはずだ。だけど、それは足りない、というよりは、ほぼゴールとして、気持ちがうわっと盛り上がりかけて、止まる。不思議な気持ちだと思う。
そのあと、ポストに当たる。
独特のあがりきらない高揚感がある。
ずっと攻めて、同点を狙っていたサウジアラビアが、ゴール前で、ふとした失敗、そこに走り込んだポーランド、レバンドフスキ、今大会、初のゴールを決める。
2対0。
サウジアラビアは、アルゼンチンに勝ったのに、こんな一瞬で、すべてがかわる。
なんだか、すごいことだし、残酷だと思う。ミスしたディフェンダーは、かえられてしまったし、さらに残酷だと感じる。
11月27日
フランス 2−1 デンマーク
フランスのエムバペ。前回のW杯でも10代で活躍したプレーヤー。
今回も、どこか、他のプレーヤーとは違う時間軸でプレーしているような圧倒的な速さ。味方でさえ十分に生かしきれていない感じまでしていたし、切実さが足りなく見えるのは、本人にとって物足りなさなのかも、などと勝手なことを思っていたし、どうしてフランスリーグにいるのだろうといった疑問まで生じていたが、後半18分に先制点をあげる。
二人のディフェンダーの縦の並びで生じたわずかな隙間にサイドキックで軽く蹴り込む感じは、テクニックと判断力がとんでもないことを分からせる。一瞬、どうやって蹴ったのか分からないタイミング。
すごい。
後半22分。デンマークが、コーナーキックから、本当に力で押し込むようなゴール。
1対1。
そのあと、さらにエムバペが、相手のDFに場所を確認されたあとに、誰にも気がつかれないように、スーッと上がって、急にゴール前に現れて、モモに当てて、ゴールを決めた。
何か圧倒的だった。
2対1。
地元ブラジルのサントスFCに所属を続け、サッカー界の王様と言われるようになったペレを、エムバペは、フランスという地元に留まりながら、さらに更新するような存在になることを目指しているかもしれない。
アルゼンチン 2ー0 メキシコ
地上波だとダイジェストしか見られなかった。
ここで負けたら、敗退してしまうアルゼンチン。
後半になって、メッシがゴールを決めた。それも、明らかに真似ができないようなシュートによって得点をし、それで、決勝トーナメントに進む可能性を引き寄せた。
同時にサウジアラビアが、アルゼンチンに勝ったことが意味が薄くなるような状況になってしまっている。
本当に残酷だと思う。
日本 0ー1 コスタリカ
午後7時。早めに食事をして、皿を洗って、戻ってきたら、始まっていた。
堂安と長友と鎌田の姿がスタメンにいることを見て、期待する。
ただ、前半はずっと、ちょっと退屈。チームとしての動きが少ない。
そのまま、とてもだるい感じのまま、前半が終わった。
なんとかしてほしい。
後半。
長友は交代していた。
すぐに日本代表のシュートの場面。ちょっと目が覚める気持ちがする。
攻めているけれど、1対1で、あまり抜けない。まだ技術が足りないのではないだろうか。
どうして、あんなにシュートが相手に当たって、はね返るのだろうか。
ずっとDFのショートパスが弱いと思っていたら、中途半端な浮き玉になり、それを取られて、シュートを打たれる。
0対1。後半36分。
どうして、日本は、主体的なサッカーができないのだろう、と思う。
そのまま負ける。見ている方のエネルギーが減る負け方だった。
これもサッカーなのだろうと思う。
(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)
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