テレビについて(54)『この素晴らしき世界』----偶然と偶然が重なったドラマ。
7月から、テレビでは新しいドラマが始まった。
まだ、私にとってテレビが生活にも必要だし、ドラマも見ている。どのドラマを見るかは、そのタイトルやストーリーや、どんな俳優が出るのか、さらに最近は、脚本家のことも気にするようになった。
ただ、見てみないと面白いかどうかも、結局はわからないので、あまりにも関心が持てないドラマ以外には、予約録画をする。だいたい翌日の昼間に見るのは、夜だと、ドラマによっては感情が揺さぶられるので、あまり眠れなくなると妻がいうので、最近は、そんな方法をとっている。
そして、1〜2回見て、妻と相談の上、見るのをやめるドラマもある。
『この素晴らしき世界』
このドラマを見ることに興味が持てなかったのは、主演の女優について、最初は「知らない」と思ってしまったせいだった。
若村麻由美。
そういう名前があって、私にとっては、この名前は、失礼かもしれないけれど、かなり昔に、宗教法人の教祖と結婚した女優、というイメージだけが浮かんでしまった。それは、相手が、かなり巨漢の男性だったから、その映像でのインパクトで、その印象が記憶に刻まれてしまったのだと思う。
だけど、この人だったら、あの結婚以来、一時期は芸能界をほぼ離れていて、それ以来、主演をするようなことはなかったはずだから、その人とは思えなかった。
同じような名前の違う俳優が、最近出てきたのだろうか、と思っていたのは、ゴールデンタイムと言われるような時間帯に放送されるドラマは、少なくとも誰もが知っている俳優が演じると決まっていたからだ。
そんなふうに思ってしまうのも、視聴者として問題があるとは言っても、例えば7月開始のドラマで、そうした違和感があるものは、自分が知っている範囲では、他にはなかった。
それでも、そのことを確かめたくて、このドラマを見ることにした。
代役
第一回目を見た。
あの若村麻由美だった。
結婚4年後、夫が亡くなった2007年から芸能活動を再開し、ずっと俳優活動を続けていて、テレビドラマにも出演し続けていたようなので、それを知らない自分が無知なだけで、恥ずかしいことでもあった。
50代後半で、こういう言い方は失礼かもしれないけれど、実年齢よりもかなり若く見えるし、一般的なイメージの「女優さん」という姿を、きちんとキープしていたから、私にとっては、2003年の結婚以来に、急に目の前に現れた、といった印象で、その変わらなさは、すごいことだと思えた。
ただ、それでも、主役というのは、やっぱり唐突な感じがして、違和感があった。
『この素晴らしき世界』というドラマの第1回は、手堅い面白さがあったのだけど、その後に、つい検索もしてしまったら、「代役」のことを知った。
しかも、最初は、鈴木京香が主役の予定だと知って、なんだか、すごく納得してしまった。
この役を、鈴木京香が演じたとしたら、と想像するだけで、とてもフィットしていたし、それだけに違和感がなく、だから、勝手な視聴者だとは思うけれど、最初から確かめるようなこともしないでドラマ自体を見ていなかった可能性もある。
かなり急な「代役」であれば、現在の連続ドラマで主役を演じるような俳優は、おそらくは何年か先までスケジュールが決まっているだろうし、急だったからこそ、若村麻由美が「代役」として、主演を演じることになったのだと思う。
年齢がほぼ一緒、という条件が、もしかしたら、かなり大きかったのかもしれない。
偶然
『この素晴らしき世界』のストーリーは、平凡な主婦だった主人公が、謝罪の記者会見嫌さに失踪した女優と「似ている」ということで、「なりすまし」を強く依頼され、その謝礼金の多さも含めて引き受けてしまう-----というもので、最初は、記者会見だけ、という約束が、その女優が病気で倒れて(という嘘を言われ)それからも「なりすまし」を続けることになる流れだった。
それは、視聴者にとっては、予想通りの展開でもあって、それだけに、平凡な主婦が、女優の「なりすまし」として、どのように変化していくか。という部分が、おそらくは見せ所の一つでもあるのだから、鈴木京香だったら、そこを巧みに演じるのだろう、というようなことを視聴者としては思ってしまうけれど、それを、「代役」として若村麻由美が演じる。
もし、鈴木京香の体調が悪くならなければ、この出来事はなかった。
もし、このドラマの主役が、もっと若ければ、若村麻由美にオファーが来る確率は低かったはずだ。
もし、若村麻由美が、「代役」を依頼されるほど、外見も実力も磨いていなかったら、この主役もなかったと思う。
だから、今回の20年ぶりの主役は、そこまでの努力ももちろんあったとしても、それに加えて偶然を味方につけなければ、なかったことなのは間違いない。
それにしても、20年ぶり(結婚した2003年以来)に、ドラマの主役を演じる若村麻由美にとっては、偶然とはいえ、「代役」として「なりすまし」を演じるから、見ている方は、勝手に意味を重ねて見てしまうことになる。
テレビドラマの「代役」という言葉で思い出すのは、2年前のことだ。
ドキュメンタリーな構造
あの時も、このファンタジーなドラマの主役を比嘉愛未が演じていたが、やはり違和感があったので、深田恭子の「代役」と知って、納得がいった。
ただ、その時のドラマは、見続けるうちに、当初の深田恭子だったら、という印象は薄くなっていったけれど、今回の『この素晴らしき世界』は、「なりすまし」がテーマであるし、現在では日本を代表するような女優の一人でもある、鈴木京香が演じるはずだった「代役」でもあるのだから、おそらくは、「代役」であることを忘れにくい構造でもある。
それに、ドラマのストーリーの柱の一つは、平凡な主婦がいかに女優の「なりすまし」になりきるか、であるはずだけど、若村麻由美は、鈴木京香の「代役」とはいえ、鈴木京香と同じ演技を要求されていないだろうし、その必要もないはずだ。
それでも、その「なりすまし」の役を「代役」であっても、あくまでも若村麻由美として演じ切らなければならない。
そんな偶然が重なっているから、この20年ぶりの主役という劇的な状況を、どうやって未來につなげていくのだろうか、という視線で見てしまう。
それまで無名の俳優であったシルベスター・スタローンが、脚本も書いて主役も演じアカデミー賞をとって、そこから大スターになっていった、映画「ロッキー」は、今でもドキュメンタルな要素があって、それも含めて名作になっていると思われる。
だから、ややこじつけかもしれないが、今回の『この素晴らしき世界』のように、これだけの偶然の要素が重なると、それは上品なこととは思えないけれど、ドキュメンタリーな構造を考えながら見てしまうことになる。
それは、普段のドラマを見る時とは、違う興味もあって、このドラマを見ることになると思うが、妻は、あまり乗り気ではないので、もしかしたら、1人で視聴することになるかもしれない。
課題
第2回目を、やはり一人で見ることになった。
若村麻由美が、「なりすまし」として女優を演じているシーンよりも、夫(マキタスポーツ)と、離婚を考えるほど不満もありながらも、長く結婚生活を送ってきた妻を演じている場面の方が、視聴者として生意気かもしれないけれど、課題が多いように見えた。
もしも、この夫婦としての場面が、ドラマの回を重ねるごとに、もっと説得力があるようになったら、この「代役」が、今後の若村麻由美にとって、とても大きな転機になるように思った。
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