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「工事中」の「中の人」。
新しい「雨水マス」を設置することに決まった。
それは、家の前の道路に、最近、やけに雨が降ったときに水が溜まりやすい、と思っていたら、同じようなことを感じていたご近所の方が問い合わせをしてくれた。
それが区役所にまで伝わり、雨が溜まりにくくなるために、道端に「雨水マス」を新しく増やす工事を行うことが決まったのが、1ヶ月ほど前のことだった。
そのとき、工事自体の手間よりも、新しく「雨水マス」を作るには、その水を下水道に流す必要が出てきて、そうなると、下水道局への許可のようなものが必要で、その認可のようなものが下りるのに時間がかかる。と聞いていて、だから、どこかで、忘れた頃に工事をするのだろう、もしくは、途中でこの工事そのものが中止になるかもしれない。
そんなことをぼんやり思っていて、その思っていることも忘れそうになっていた。
工事開始
暑くなってきた頃、突然、家のポストにチラシが入っていた。
不用品の引き取りが多く、あとは、水道関係の工事とか、さらには、ピザや寿司の出前の飲食関係が多いので、油断すると、そのままゴミとして捨ててしまうような白くて薄いチラシだった。
いよいよ、工事が始まる。
ちょっと意外だったけれど、ホッとした。
妻の方が詳しくて、工事日程は実質は4日ほど。だけど、途中で日曜日などが入るので、その間は、工事は休む。そうやって、ちゃんと休むのは、工事業者としてはホワイトに近いので、それも安心材料ではあった。
朝方、チャイムが鳴った。介護中の、早朝に眠るような生活ではなくなったけれど、どうしても、それほど早く眠れないリズムは変わらなかった。
だから、普通の感覚で言えば、もう朝早くとはいえない時間帯だったから、文句も言えず、ただ、それに出てくれた妻が、玄関の外で何かしら、複数の人と話をしているから、やっぱり心配にもなって、階段を出て、外を見たら、工事関係者が、プランターや、小さい鉢を持って、庭で歩いていた。
それは、道路際の工事のため、道路ギリギリに置かれたプランターや、鉢を、どかして、家の庭に収納する作業だった。
大きい体で、小さい鉢を持っている姿は、どこかユーモラスでもあったけれど、そんなことを思うのは失礼で、あわてて、少し手伝った。
さらには、道路ぞいの下のアスファルトのすき間から、茎を出している植物まであって、毎日のように見ているはずなのに、私はその存在すらよく知らなかったが、それも切ろうとしていて、妻が植物のためのハサミを渡し、「それは、トゲがあるから気をつけてください」と声をかけていたが、そうしているうちに、その植物も切り取られて、道路はきれいになった。
そこから、工事は始まったようだ。
工事中
打ち合わせの段階では、素人の勝手なイメージでは、なんだか、それほどの大掛かりな感じはしなかったのだけど、考えたら当たり前だけど、道路を切り取るような作業があるようだ。
だから、大きな回転ノコギリを使っていたようで、チュイーン、ジャワジャワジャワ、といった大きめで鋭さのある音も聞こえてきた。
あれが、全体を見なくても、そういう道具であるという予想がつくのは、これまでの記憶の蓄積のおかげだとは思うけれど、そうすると、家の中にいてもガタガタしたりもして、本当に「工事中」といった感じになり、ずっと音がしていて、人の声もしていて、作業が続いている感じが伝わってきて、室内でも落ち着かない感じだった。
細長い「穴」
その日の夕方までには、うちから左右4軒くらい先まで、道路のわきが、幅70センチくらいは切り取られ、それが長く続いていた。
細長い穴が開いた感じになって、その光景は新鮮だったけれど、ここまでの大がかりな工事だとは思わなかった。
そして、家から出る時に、溝というには、幅が広い穴があって、飛び越えるには、ちょっとした覚悟と、着地したときに、足にショックがありそうな感じになっていたので「家を出ても、いいですか?」と聞いたら、「そのときは、ベニア板を渡します」と言ってくれた。
でも、一日中、かなりの音と、外を見ると、塀の向こうに小さめの重機が動いていて、だから、出かける用事が、明日に回せることだったので、妻と相談をして、今日は出かけないことにした。
工事中の「中の人」
「出かけても大丈夫」と言われていたし、工事のスタッフの方々は、何かを聞くと親切に教えてくれたのだけど、それでも、少し外出をしようとした時に、ちょうど門の前にコンクリートを流し込んでいたりしたこともあって、なんとなく悪くて、出かけにくかったので、家にいることにしてよかった、と思った。
夕方になって、作業が終わると、この工事をしている何十メートルかにわたって、赤いコーンが置かれ、そこは、まだコンクリートが乾いていなかったり、溝になっている部分でもあるから、『立ち入らないでください』というサインなのは、よくわかった。
家の側から見ると、自分たちは「工事中」の「中の人」になっていた。
この「中の人」の使い方は、少し違うかもしれないけれど、でも、この感覚は、昔、隣の家が火事になったとき、幸いにもウチは大きく燃えずに済んだけれど、道は消防車のホースで、埋め尽くされたようになっていて、そして、立ち入り禁止になっていた。消防士が、銀色の服を着て階段を登ってきて、火の粉が天井裏にないかを確かめてくれたりもした。
その時は、「火事」の「中の人」みたいで、何か、息を潜めるようにして、静かにしていた。外へ出るのは構わないのに、なんとなく、家の中にいた。
もちろん、そこまで深刻ではないけれど、久しぶりに「中の人」の感覚を思い出した。
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