テレビ画面に映った「風景」が、やたらと気になる。
ロンドンブーツが深夜の番組で、「ガサ入れ」というコーナーをやっていたことがある。
それは、主に若いカップルのどちらかが、相手の行動が怪しいから、浮気などをしていないか、調査してほしいという依頼を受けて、ロンドンブーツの二人が、その住居を家探しする、という今では考えられない企画だった。
当初、ロンブーの二人は、気が乗らないように見えたが、そのうちに、この番組の人気が上がったせいもあったのか、だんだんと気持ちが入っていくように見えた。特に田村淳の、相手をうまく誘導していくような会話の持って行き方などが、今に通じる頭の良さを分かりやすく見せてくれていた。
そんなふうに、番組の面白さがアップしていた頃に、あるアパートの一室が映った。
その「風景」がやたらと気になった。
電信柱
深夜の番組で録画してあったので、何度かその場面を見た。
自分が気になったのは、電信柱だった。
それも、そこについている質屋の広告が、見た記憶があった。
それでも、どこで見たのか、はっきりとは分からないままだったのだけど、それから数日後、同じ広告を見た。
それは、近所にあった。
あとは、電信柱以外の風景を見て、なんとなく覚えている部分を組み合わせて、近所を少しずつ探して、あるとき急に見つけた。
そこは、自宅から歩いて10分以内くらいのアパートの1階の部屋だった。
その道路は、隣町の病院へ行く時に、時々通っていて、「ガサ入れ」で見たアパートも、何度も目にしていたはずで、それで記憶にあったのかもしれない。
それから、そのアパートの前を通るたびに、秘かに「ロンブー遺跡」と心の中で名付けていたが、それからしばらく経って、その部屋の住人も変わったようだった。
ロケ地
ある時、外から、小学生くらいの男子の大きな声が自転車と共に響いてきた。
小泉孝太郎が来てるぞー。
どうやら、駅のそばでドラマのロケか何かで、小泉孝太郎が来ていたらしいが、それを聞いて、そんなに気持ちが上がらなかったし、というよりも、小泉孝太郎であれだけテンションを上げていた小学生男子の方の興味の持ち方が不思議だった。
もう何年か前か忘れてしまったけれど、その小泉孝太郎が来た頃、どうしてなのか、いくつかドラマのロケが続いた。
近所の河川敷でロケをしていた。
そのあと、商店街の一角でもドラマの撮影をしていた。
近くを通ったら、そこには深キョンと呼ばれる女優さんがいて、撮影途中のようで、毛布のようなものを被せられるように立っていた。道の向こう側から見えたら、とても小柄で顔も小さく見えた。
そのドラマをテレビで見たときは、確かに「あの場所」なのは分かったけれど、それは単なる確認で、自分で見つけた方が楽しいのは、分かった。
風景の記憶
近所の河川敷は、それからもテレビ画面で見ることがあった。
CMの1秒足らずでも、あ、あそこだと分かる。
そんな時も何度もあった。
他にも、一瞬、映った風景が気になり、録画してあるときは、もう一度見て、その風景をいつ見たかを思い出すこともあった。
あれは、あの場所だ。
何度もそんなことがあって、そういうことに興味を持つ自分が不思議だったのは、極端に方向音痴だからだ。
そうやって、テレビ画面で、どこの風景かを発見するのは、ある意味で、屈折した自信のようなものだと思うけれど、地図はだめでも、風景の記憶については、ある程度の力があるのを自分で確かめているのかもしれなかった。
最近も、ドラマを見て、「あ、この場所知っている」と、つい一緒に見ている妻に伝えてしまった。
その風景を、次に行った時に写真に撮り、それを見せて、迷惑かもと思いつつ、妻に確認してもらった。
どうして、他の記憶力はとても弱いのに、風景だけは比較的覚えているのか。それよりも、どうして、風景には、こだわってしまうのか。そして、その風景が、自分の記憶と合っているのかどうかを確かめたくなってしまうのか。
自分でも、よく分からないのだけど、まだしばらく「風景合わせ」を続けそうなのは、分かっている。
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