「静かな蔓延」。2021.4.17.
午前9時前に家を出て、駅まで歩く。
雨の予報が出ていて、夕方以降は激しい雨になると知り、迷って、今は降っていないから、折りたたみカサにする。
家を出てから、すぐ、スポーツウェアに身を包んだ5〜6人の女子学生が向こうから歩いてくる。
コンビニの駐車場から、いわゆる「ママチャリ」を、とても勢いよく発車させている女性がいる。
美容院の前は、開店準備でホウキではいている女性がいる。
ゆるいスロープのある病院の玄関の前に、年配の男性が一人だけ扉に向き合うように待っている。
1000円カットの前には、一人だけ立っている。
その前の中華料理店の前に、スタッフが大きめのテーブルを出している。
牛丼屋には、今日は、お客が一人いるのが見える。
駅に近づいたら、電車が来たらしく、あちこちから走ってくる人が目立つ。
改札の前の電光掲示板で、人身事故により遅れている私鉄があることを知らせている。
同じ言葉
その他に、国土交通省からのお知らせが流れる。
不要不急の外出を控えてください。
可能な限り、マスクをして、会話を控えてください。
もう1年間、ずっと同じような言葉を見続けてきた。
電車が来る。
特に空いているわけでもないが、ラッシュまでにはいかない。それでも、人と人との「ソーシャルディスタンス」をとれるわけでもない。もう、そういう「距離」について、気にしている人がいるようには見えない。
静かなまま、電車は進み、駅で止まると人が乗り込んできて、だんだん人口密度が高くなってくる。
窓は、何ヵ所か、開いている。
電車を降りて、次の電車に乗り換えようと歩き始める。
他の人たちが走り始めて、自分もつられて走ってしまい、電車が来ているのは分かったけれど、流れから少し外れて、アルコールで除菌する。その動きをするのは、一人だけだったが、階段を降りたら、いつもよりも一本早い電車に間に合いそうだった。
久しぶりに、少し走り込むように電車に乗った。
発車しても、マスクをした人たちは、自分も含めて黙っていて、今日は人の話し声も聞こえなくて、外の景色は雨が降っているような、まだ降っていない感じの灰色の空が広がっている。
車内に女性の声で、国土交通省からの感染防止のアナウンスが流れる。
この言葉も、何度聞いただろう。
今も、注意深く耳を傾けている人は、いるのだろうか。
静かなまま、電車は進む。
蔓延とワクチンと聖火ランナー
印象としては、あわただしい1週間だった。
月曜日には、松山英樹がマスターズで優勝した。
緊急事態宣言が解除され、その後に「まん防」と言われる危機感を高めない名前がアナウンスされ、その適用が広がっていった、と思うけれど、これ以上、何を変えられるのかわからないし、緊張感をさらに高めるのは無理だと感じていた。
そして、相変わらず、感染予防効果について、きちんと測定も分析もないまま、飲食店の午後8時までの時短だけが言われている。
ゴールデンウィークの話題が出るようになり、去年の連休も「ステイホーム」と言われ続けていたのを思い出す。
もう、いつまで続くか分からない。
始まったワクチン接種も、順調には程遠いようだけど、その遅れていることへの報道も少ないので、より不安になる。それなのに聖火ランナーは走っている。
穏やかな電車
用事が終わって、午後4時過ぎに、また電車に乗る。
ドアの上の小さな画面にニュースが流れている。
子供の性被害防止。
COCOA 知識不足でテストできず。
ブルーカット 子供への影響
鯉のぼり?
これだけ感染が広がっているのに、電車内に流れるニュースの中には、直接的なコロナ感染に関するニュースはなかった。
今日は雨の予報で、これから先に、強い雨が降るらしいのだけど、まだ、今は小雨だった。電車の中に、もう緊張感はなく、ある人にとっては、コロナ感染は、あまり関係なくなっているのかもしれない、と思ってしまった。
穏やかで静かな車内に感じる。
コロナはただの風邪という主張
この前、テレビのドキュメンタリーで、アメリカの話をしていた。特にトランプ支持者はマスクをしなかったり、新型コロナ自体が、嘘ではないか、マスコミが作り出したものだと信じている人が、今も結構いるらしいと知る。
そのこと自体が、どこか信じられないけれど、日本でも、コロナはただの風邪と、どうやら本気で言っているような人もいたし、そこまで行かなくても、今も、コロナに関して、その感染防止に、それほど本気になれない人が、実は一定数いるのではないだろうか。だから、感染が広がるのかもしれない。
そんなことも思ったけれど、電車の中をみると、みんながマスクをしているから、アメリカとはやっぱり違うのかもしれない、などと思う。
プリンアラモード
とても静かな土曜日のままだ。
電車を乗り換える。
他の人たちと、距離を取ろうとして、立ったまま、電車の発車を待つ。
すぐそばの若い女性は、大きなお腹を大事そうに柔らかく触っている。
隣の若い男性が話しかける。
二人で静かに笑っている。
次の駅で、並ぶように降りていった。
今日は、雨が降らなかったら、ここから、さらに出かけようと思ったのだけど、今はそうでもなくても、これから強く降るらしいから、行こうと考えていた予定をやめて、帰ることを、駅の公衆電話で妻と相談して、決めていた。
がっかりした分、妻と話をして、プリンアラモードを買っていくから、帰ってから、一緒に、おやつを食べようと約束をした。
(他にもいろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。