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「喫煙所の光景」の魅力。

 昔の映像を見ると、特に男性がやたらとタバコを吸っているのに、驚く。

 テレビ番組でも、複数の男性が話をしていると、タバコの煙で顔が見えにくくなることもあった。

 昔の駅の映像だと、電車を待っている乗客がタバコを吸って、しかも吸い終わったら、線路にポイ捨てする人ばかりといってもよかった。その掃除をするのが駅員で、バケツにいっぱいたまっていて、そのころは日常だったから、違和感がなかったのだろうけど、今見ると、ちょっと驚く。

 そういえば、電車の車内で、しかも通勤列車でも、少し長距離だと、灰皿がついていたから、車内でタバコは吸えた。新幹線でも、最初は禁煙車はなかった。

 誰が言ったのか忘れたけれど、昔の男は楽だった。タバコを吸って、酒を飲んでいれば、間が持ったし、何か考えているようにさえ見えたから、といった言葉がある。

 今振り返ると、その表現の説得力は、強くなったように思う。

喫煙率の推移

 その光景が遠くなってしまったのは、タバコを吸う人が少なくなったのが大きいはずだ。

 自分が吸わないと、タバコの変化については、どうしても鈍感になってしまう。だけど、パッケージに、あなたの健康を害します、といった文字が大きくなっていく商品というのは、とても不思議だとは思っている。

2007年6月に策定された「がん対策推進基本計画」では、たばこ対策ががんの予防のための重要な施策として位置づけられました。

2012年6月に策定された第2期「がん対策推進基本計画」では、「2022年度までに成人喫煙率を12%とすること」が掲げられ、2018年3月に作成された第3期「がん対策推進基本計画」でも同じ目標が掲げられています。

男性27.1%、女性7.6%、男女計16.7%(2019年)。

 2022年の数字は、まだ出ていないのだろうけど、目標の12%は達成できていないように思うが、こうした具体的な目標数値があったのは知らなかった。

喫煙所

 喫煙率の低下は、数値よりも、喫煙場所がどんどん減っていたことで、目に見えて分からされたように思う。

 企業の室内で禁煙になって、さらには、出版社などでも、社内で吸えなくなったのは、自分が喫煙者でなくても、すごく意外だったし、歩きタバコは条例でも禁止され、飛行機も、新幹線でも、喫煙場所以外では、タバコを吸うことができなくなっていった。

 そんな時代の頃に、幸いにも、中年になってから学校で学ぶことができた。さらに幸運にも、自分よりも二十歳ほど下の同期の仲間もできた。

 そのころは、大学の構内でも、喫煙所以外では、タバコを吸えなくなっていた。同期の中には、喫煙者もいて、何かの拍子に、喫煙所に一緒に行って話をすることもあった。タバコを吸わない人間には、ちょっと遠慮するような空気だったのだけど、自販機で買った紙コップに入ったコーヒーを飲みながらだと、なんとかその場にいられた。

 そのうちに、その場所で、他の知り合いにあったり、タバコを吸っている同期が、知らない人から火を借りたり貸したりして、短い会話をしたりするのを見ていると、その場所での緩やかな一体感とか、言葉を介さないコミュニケーションのようなものが、なんだかかっこよく見えて、タバコを吸わない人間として、ちょっとうらやましかった。

 昔は、こんな光景が、駅で、街角で、オフィスで、旅先で、あちこちで見ることができたはずで、そのことが、喫煙を始めるきっかけになっていたのかもしれない。

 そうしたことを、喫煙習慣が減ってきた時代に改めて気がついた。

呪文とエイトマン

 スーパーのレジなどで待っているとき、前で清算をしている人が、急に視線を上げて、いくつかの数字を言うことがある。

 それは、どんなルールがあるか分からないのだけど、そうしたスーパーにも、今も「わかば」といった昔からのタバコも含めて揃えてあり、それぞれの銘柄に数字があるので、その数を言って、購入している姿だった。

 だけど、いくつか、ランダムに思える数字をスムーズに並べるのは、何も知らない時は、そこでスパイ同士の会話が行われているような光景にも見えた。


(このサイト↓は、最初に「あなたは二十歳以上ですか」と注意喚起をしているから、徹底していると改めて思った)。



 また、一緒に飲食をしている人が、急に懐から金属の小さい箱のようなものを出して、そこにあるを口にくわえことがある。

 それは、いつの間にか開発された加熱式タバコというものなのだけど、喫煙しない人間にとっては、電子タバコから、また違う種類のものができたのは知識としては知っていても、初めて見た時は不思議に感じた。

 昔、アニメで「エイトマン」という作品があって、それは、原子力がエネルギーで、タバコ(のようなもの)を吸って、ウランを吸収するという、今考えたら、かなり無茶な設定だった。

 だけど、加熱タバコを吸う光景は、知らない人間にとっては、機械だけを使っているように見えるので、「エイトマン」のようなロボットというか、アンドロイドが目の前にいるような気持ちに、ちょっとなる。


 喫煙者と、非喫煙者では、見ている世界が、やっぱりかなり違うのかもしれない。




(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえると、うれしいです)。




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おちまこと
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