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カラスのイートイン。

 家に帰ったら、妻に言われた。
 
 カラスにビワを食べられた。

カラス対策を考える

 少し前から、玄関先の鉢植えのビワの木の実が色づいていたけれど、最初にダイダイ色になったものから、カラスに食べられた、という話は聞いていた。

 最近、カラスの声を前よりもよく聞くようになって、そのうえ、低空で見るようになっていて、だから、カラス対策を取らないと、と思っていた。

 古いCDをぶら下げると、鳥よけが出来るとか、そんな知識が頭に浮かんできて、でも、あれは古いやり方であって、他にいい方法があるのでは、と思っていて、勝手に焦っていたら、しばらくたって、妻から「今年のビワは食べてみたけど、そんなにおいしくなかったから、カラスのあげることにした」と聞いたので、何かしなくていいと思って、ちょっとホッとしていた。

 それから、さらに何日かたって、そして、また、ビワを食べられた、という話を聞いた。

ビワの残り

 ここに食べられた跡があるんだよね。

 妻が指さしたのは、お隣さんとの境目の塀の上で、それも、ビワの植木鉢から、50センチくらいしか離れていないところだった。

 それは、ビワの実を食べられて、皮とか、タネとかだけが残っているものが、塀の上に残されていた。手を伸ばせば、すぐに届く距離だった。(それが見出しの写真です)。

 あ、こんなに近いんだ。

 そう、そう。ここで食べてるらしいんだ。

 そんな会話を妻とした。

 今までは、いくつか食べられたはずだけど、どこかへ持っていって、目の届かないところで、食べていたはずだったから、こんなに近くで目にすることはなかった。

カラスのイートイン

 今年はカラスにあげるつもりだったから、矛盾するような気持ちだけど、何だかなめられている、とやっぱり思ってしまった。

 ビワのすぐそばの塀の上だから、テイクアウトではなく、まるでカラスのイートインだった。

 元のビワのすぐそばだし、しかも人工物の上だから、そこにタネがあったら、ビワにとっても、メリットがない。本来ならば、遠いところの土の上にタネが運ばれることが、種の繁殖を考えたら、最も望ましいことだと思うのだけど、それと正反対な状況だと思う。

 人間にとっても、今年はカラスにあげると思っていても、すぐ目の届くところに、食べた残りが置いてある状況は、勝手なものだけど、いい気持ちはしない。

 そんな意図はないとしても、やっぱりカラスに意地悪をされたような思いになってしまう。

 少したったら、ビワの実は、また減っていた。



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おちまこと
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