さようならADSL。
2023年1月末で、今使っているADSLは利用できなくなる、ということは知っていた。
ずっと気になっていた。
ADSL
すでに珍しくなっているのだと思うけれど、うちには固定電話しかなくて、さらにインターネットは使っているが、ADSL方式だった。
ルーターも買取りで使ってきたのだけど、2023年1月には、このサービスが終了になってしまう。違う方式に変えないと、インターネット自体が使えなくなる。
それは知っていたのだけど、そのことに関してセールスの電話が多かったのは、一昨年(2020年)くらいがピークだったと思う。
電話が鳴る。
受話器をとると、会社の名前らしきものをやや早口で名乗ったあと、「今、現在お使いのADSLは終了します」という言葉で始まることが多かった。
それは、まるで、来月にも終わるような口調に聞こえることもあった。
「知っています。2023年の1月末ですよね」
そんな返答をしても、今なら変更してもお得といった言葉が続くのだけど、その度に「ルーターも買い取りましたし、ギリギリまで使いたいと思っています。ですから、2022年になったら、自分で調べて、電話しようと思っています」と続けたら、だいたい会話は終わった。
そんな繰り返しが何十回もあって、そして、今年(2022年)になってからは、そんな電話はほぼなくなって、いよいよ自分で調べることになった。
7月末に電話をして、最初は、今の時期でも、契約を決めてから工事などをして開通するまでに1ヶ月くらいだから、来年までには間に合いそうなこと。さらに、一度はダメだと思っていた条件(メールアドレスを変えないこと)が、同じ会社に再び連絡したら、大丈夫らしいとわかった。
じゃあ、もう少し後でもいいと思っていたら、1ヶ月が経った。
だから、問い合わせのメールを送った。返答と共に、よろしかったら、こちらから連絡をします、と書いてあったので、第一志望から第三志望まで書いて返信をした。
それで、電話を待っている。だけど、今日来るとは限らない。
微妙に落ち着かない。
確認すること
電話が来たら、確認事項は、6つあった。(あくまで個人的だけど)
①まずはメールアドレスを変えないのは、本当に可能なのか。(一度、この窓口で、無理です、と言われたので、まだ疑っている)。
②次に2024年には、NTTの固定電話のシステムが変わる、というお知らせがきているのだけど、そのことが影響して、再び、何かを変えなくてはいけなくなるのか。
③ルーターも変えて、Wi-Fiになるのだけど、今のように有線LANケーブルも、使えるのかどうか。
④ルーターの設定が大変そうだけど、どうすれば。
⑤コンピューターの方での設定が面倒だとしたら、それも頼めるサービスはないだろうか。
⑥今のインターネット会社からの解約と料金はどうなるのか。
電話は、午後4時半にかかってきた。
そして、この6つの疑問を聞いた。メモをしないと忘れてしまうから、それを見ながら、話をした。
このうちの④と⑤は、希望は叶えられないけれど、大丈夫です。もし分からない場合は、サポートもあります、といったことを明るく言ってくれたけれど、何しろ、その不安は消えない。
でも、確認もしたので、契約することにした。
契約内容
そのあとに契約内容の確認になった。
支払いは、クレジットカードのみであること。
ちょっと怖かったけれど、それ以外の選択肢がないので、了承するしかない。
工事費用のこと。
毎月の費用のこと。開始した月は日割りの計算になること。
ルーターの費用のこと。
さらには、工事費とルーターの費用は、3年利用すれば、実質無料、といった言い方をされたが、正直、よくわかっていなかったが、どちらにしても他の選択肢はないようだった。
それから、工事費が決まったら、今、使っているプロバイダーに連絡をしてください、ということと、会員IDを教えてもらい、それらをメモをする。
なんだか、それだけで緊張して、疲れてしまった。
引き継ぎ
さらに、翌日、午後3時から5時に、今、使っているプロバイダーから電話がかかってくることになった。
それは、次へ乗り換えるための話らしい。
電話がかかってきて、結局は、工事日が分かってから、もう一度連絡してください、ということになった。
今のADSLを使っていて、次に乗り換えるときに、数日、使えなくなる、みたいなことがならないために、ということらしいが、ちょっと不安になる。
工事の日はいつになるのだろう。
工事日程
メールできた工事日程は、思った以上に早かった。
それで、その変更をお願いするために、また候補日を3日書いて、送ったら、返信がきて、工事日が決まった。
それは、候補日の中で、最も早い日程だった。
その後、今のプロバイダーに電話をした。あ、わかりました。じゃあ、その翌月から、メールアドレスだけを利用する〇円プランに変更します、という簡単な答えだった。
このプロバイダーは、20年ほど使い続けてきたのに、あっさりとした感じがした。
そして、なんだか、工事の日まで緊張した。
それは、設定、という単語を聞くと、これまでうまくいかなったり、苦戦したりする記憶と重なって、ことあるごとに不安になったからだ。
他のことをしている時に、うまく設定できず困っている自分のイメージが浮かんで、ちょっと焦る。
工事の何日か前に、これ以上ないほどの小声で留守番電話の伝言が入っていて、微かに聞き取れた申し込み、といった言葉に、もしかしたら、この工事日の事かもしれないと思ったのだけど、そういう出来事で、また不安になる。
そのうちに、今回、新しくもらったメールアドレスを設定し、そのメールは使えるようになって、すでに何通かメールが届いていたのを知った。
工事日当日
午後1時から午後5時の予定。
来る前には電話をもらえる。
昼ごろから緊張し、時間はすぎ、ずっと気にかかり、午後3時半頃に電話が鳴った。
日常的なゆったりした話し方で、もうすぐ着くことを告げられ、考えたら、家にあがるかどうかについて、知らないままだったけれど、工事は何をするのか、それが曖昧なままで、部屋の乱雑が柄にもなく、ちょっと恥ずかしくなる。
チャイムが鳴った。
ちゃんとした工事スタッフと、交通整理の人と、工事担当の二人組で来る。
部屋に来てもらって、様子を見てもらうと、あーどうなっているんだ、という困難な気配がすぐに漂う。
それは、外だけでもなく、内部も、ずっと線をひかなくてはいけないらしく、それで、思った以上に大工事になってしまうのがわかった。
家の中も、外も見て、3時間から4時間かかりますね、と言われる。
想像以上に長い時間になりそうだ。
そして、今まで二つの部屋で使えた電話線のジャックも、一か所だけになり、それは、また不安を膨らませる要素になる。
どうなるのか、分からない。
出かけていた妻から電話が入って、外出は楽しくて、それはよかったのだけど、夕食の時間になっても、多分工事は終わっていないと思うと、微妙に憂うつになる。
もう一人やってくる。
部屋にきて、どうやって線をつなぐかという話になり、面倒臭いけれど、元のようにやってほしい、とお願いをする。
木造の2階の部屋から、天井付近を線は沿っていって、そして下までつながっている。その複雑さを、こうして工事をしないと分かっていなかった。こちらまで、その作業の膨大さに、かなり気持ちも重くなる。
こんなに大工事だとは思わなかった。
2つの部屋で有線でも使えるように、といったささやかな願いは、もうかなわない。
ちょっと悲しい。
人が部屋で作業をしていると、ちょっと落ち着かないけれど、これを乗り越えないと、これから先のインターネット環境が成立しない。
こんなに大変だったのを知らなかった。
ガラス
部屋の中まで、1階から、今ある電話線に沿わせて、線を引いてくれる。
その工事のスタッフの人が、この中はガラスなんです、と言って、最初は意味が分からなかったが、細いガラスの中を通すとすれば、それは光で、だからガラスなんだ、というイメージはつながった。
取り付けの際に見せてくれたのは、髪の毛ほどの細さに見える透明なガラスで、これで運べるデータはとても膨大らしい。と言うよりも、細いガラスの中を光が通っていくから、それは最速なはずで、これまでは電線の中を電気が通っていく、という方式よりも、圧倒的に速いらしい。
手際よく作業を進めながら、そんな説明をしてくれると、テクニカルな部分はかなりのレベルになっていて、だから、この部屋しか線はつながっていなくても、wi-fiの電波が、隣の部屋や、1階まで安定してつながるはずという工事スタッフの言葉は信じたくなる。
「光」と言われている意味が初めて分かった。
この線は直角に曲げると、ガラスの都合でデータが通らなくなる。1階から2階までの長い配線のとき、あちこちで角があるのだけど、そこにピッタリ沿わせるのではなくて、多少の丸みを持たせているのは、そういう理由のようだった。
部屋の柱に、新しい差し込み口ができた。
終了
外でも作業は続いていた。
それが一段落したらしく、最初に家にきた、ベテラン風の人が、再び部屋に現れ、そして、機械を持って、確認をはじめ、あれ?つながっていない、といったことを言い出した時は焦ったが、さらにいろいろと作業をし、オッケーです、みたいな言葉にたどり着いた時は、やっぱりホッとした。
この先の設定や、違う使い方や、2台もある機械といった不安はあるし、本当に別の部屋で、Wi-Fiを使っても、ズームも止まらないかどうかの確認をしなくてはいけないけれど、だけど、なんとか開通したようだった。
あとはルーターの設定をしてください。
コンピューターの画面にサインをして、飲み物も渡したし、これで、本当に終了だった。
午後5時40分くらい。
最初の予定よりも、かなり早く終わったし、やっぱりホッとはした。
今日まで長く使ったルーターは、必要なくなった。
Wi-Fi
まずはWi-Fiをつなごうとする。
つながらない。
妻は工事中に帰ってきていた。外だけではなく、家の中に工事のスタッフがいて、しかも2階の部屋の中にも人がいることに、前もって言ってなかったから(というより、私も知らなかったが)、驚いたようだった。
工事スタッフの方々が帰ってから、おやつを食べようとしていたが、インターネットがつながらない。
だから、ルーターをリセットしようとして、妻が買ってくれたお菓子を食べてから、そのあとに、ようじを借りて、リセットの手続きをして、そして、やっとルーターのランプがついて、つながった。
やった。
これで、確か「有線のケーブルも使えます」と言われていたから、どうしてもWi-Fiでは弱い時に使えるようにしたいと思っていて、ケーブルを差す。
そして、接続をクリックすると、すぐに「認証できませんでした」という表示が出てきて、何度やってもつながらない。
がっかりする。
とりあえず、隣の部屋でYouTubeが見られたから、たぶん、ズームもWi-Fiで大丈夫ではないか、とちょっとだけ安心する。
問い合わせ
もうすぐ午後7時だから、有線で使えないことに関して、今日、開通したインターネットの会社に問い合わせをしようと思う。その窓口は、7時までだけど、なんとか今日中に話をつけたい焦りもあって、電話をしたら、つながった。
ギリギリですみませんと言いながら、この端末まで、きちんと回線がつながっているのは確認できたから、あとはコンピュータの内部の設定の問題ではと言われ、明日、またアップルに電話しようと決めて、やっぱりちょっとがっかりした。
まだ時間がかかるんだ。
妻と一緒に夕食を食べて、ドラマの最終回を見て、妻はとても面白かった、と繰り返していた。
しかも、海外のドラマで、セカンドシーズンが来年放送されることまで分かった。
画面の色合いが抑えられていて、とてもきれいだった。
チャレンジ
午後11時を過ぎて、今日の作業はこれ以上頑張るのはやめようと思ったのは、設定がとても苦手だったからだ。
だけど、もしかしたら、と思って、Q &Aのページを見ていたら、少し気になった。このページに気がつかなかった。
その指示通りに作業を進めたら、これまでとは違う表示が出てきて、そして、アカウントとパスワードを入れるところが出てくる。送ってきた書類では、ここが掲載されてなかったので、諦めた記憶があったけれど、今回は少し粘ってみようと思う。
自分のマイページのようなところにログインをして、パスワードが表示されていないので、そこでやめようとしたけれど、別の場所で、それを発見し、アカウントとパスワードの入力ができた。
接続をクリックしたら、スッとつながった。
誰も見てないけれど、一人でガッツポーズをしていた。
やっぱりうれしかった。
WiFiと、有線ケーブルの両方が使えるようになった。
よかった。
しばらく経つと、インターネット共有、という謎の表示が現れて、怖くてWi-Fiを切って、有線に切り替えた。
とにかく明日は電話をしなくていい。
今日中に一区切りがついた。
よかった、と思う。
ただ、疲れた。こういう妙な体の中に溜まるような感じは、だいたいコンピュータに関わって苦戦した時だった。
ずっと不安だったから、やっと次へ進めそうな気さえしてきた。
本当にホッとした。
(2022年10月追記:後日、NTTから電話がありました。プロバイダーだけではなく、NTTの回線でADSLを利用されている場合は、NTTにも、ADSLの廃止を伝えないといけないそうです。ご注意くだされば、幸いです)。
(他にもいろいろと書いています↓。よろしければ、読んでもらえたら、うれしいです)。