すごい人たち
目的の駅について、ホームに降りる。
階段の方へ歩いて、上ろうという気持ちになっていたとき、降りた電車から、ゴンと音がした。もう少し硬くて、小さめの音が聞こえてきた時はスマホだけど、もっと大きく、あまり聞いたことがない音だった。
少し戻って、ホームから車内を見たら、多くの人が何かを取り囲むように立っていた。その中心には女性が三人くらいがいて、どうやら誰かが倒れて床に横になっているのを、なんとかしようとしているようだ。
外からはよく見えないけれど、顔の近くで声をかけているようで、それは、意識の有無の確認をしているみたいだった。上着を脱がせて、さらに声をかけている。
その中の一人がホームに出てきて、走って飛び上がって、ホームにある非常ボタンをためらいなく押した。
聞いたことのない非常音が響き渡る。
私も、何かしないと、と思ったのだけど、電車内には人が多くて、邪魔になるのでは、などと思っていて、だから見ていた。
すでに誰かが駅員を呼びに行っていたみたいで、しばらく経ったら、駅員が三人やってきて、タンカという声が聞こえてくる。
ただ見ているだけで、でも、運ぶときにでも人手がいる場合とか、と思って、ホームで立っていたけれど、それは、何もできなくて立っている野次馬だった。
駅員は、タンカを使って、倒れている人を車両の外へ運び出した。
しばらくそこにいたけれど、その高齢の男性は目を開けて、手を動かしている。微妙に意識があるようで、それにそのそばには男性の駅員が3人もいて、普通にタンカを持っているようだ。だから、もうやることはないだろう。
電車はもう走り出そうとしていた。
その男性を助けた女性たちは、すでに電車の座席に座って、だけど、振り返ってホームの方を見ながら、心配そうに、同時に、しっかりと見守っているような視線を送って、そこにいる何人かの女性たちと言葉もかわしている。
その電車も、すでに走り出そうとしている。
考えたら、電車に乗っているのだから、男性を救出した女性の人たちも用事があっただろうに、音が聞こえてから、駆け寄って、的確な処置をして、非常ベルを鳴らし、駅員を呼び、その間も、ずっとその男性を守るような行動をしていた。
何の戸惑いもなく、そのときに優先する行為と決断にちゅうちょがなく、本当に的確に見えた。私がそばにいても、何も手助けもできないだろうし、実際に何もできなかったと思う。
本当に、すごい人たちだった。
少なくとも、今度、自分のそばでそんな出来事があったときには、迷いなく、自分ができることをしようと思った。
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