「もう変わりようがない“日常”」。2021.2.20.
天気がいい。
土曜日の午前9時前。
駅までの道に人通りがあって、そんなに人数もいないけれど、活気があるように感じる。
美容院の前では、スタッフらしき女性が掃除をして、もう開店の準備をしている。
駅のすぐそばの1000円カットの店の前には、今日は誰もいない。
コロナ関連のニュース
ニュースで、死亡者数は、毎日、淡々と告げられている。
もう2年以上前になるけれど、私も妻と一緒に介護をしていた。
義母が100歳を越えても介護をしていたけれど、今、元気だったら、どうなのだろう、と少しだけ想像もする。
医療関係者には、ワクチン接種が始まっている。
私が何かを言う資格も権利もないのかもしれないけれど、医療関係者にワクチンを接種するならば、介護関係者にも摂取するのが筋ではないかと思う。
さらに、同時に高齢者にも接種をはじめた方が、死亡リスクが少しでも減るのではないだろうか。接種の選択は本人の意志次第だけど、ワクチン接種の優先順位がもっと上だったら、介護関係者も高齢者も大事にされているように思う。いろいろな反論はされそうだけど、今までのコロナ禍の1年間でも、介護関係者も、高齢者も大事にされてきたように思えない。
もっと早く、こうした「政策」↑を始めることも出来たはずだし、始めていれば、死者はもう少しでも減ったのではないか、といったことも思って、重い気持ちになる。
電車の窓
駅に着き、電車が来た。
ドアが開いて、電車に乗る。
窓が少し開いている。
考えたら、今はもう2月の末になっているから、最初は無理だと思っていたのだけど、冬の間、窓を少し開いた状態で、乗り切ろうとしている。
毎週乗っている、都内の私鉄。そのターミナル駅で降りる時は、けっこう人が乗っているので、ドアに一斉に人が向かって、軽くぶつかり合うような感じになっていて、もう、いつもと変わらなくなっているようだった。
緊急事態宣言が出たといっても、もう何も変わらないんじゃないか、という気持ちになる。
チョコあんぱん
電車を乗り換えるときに、改札のそばのアルコールを使っているのは、今日も私だけだった。
階段を降りて、ホームに着く。電車が出発したばかりで、次までにあと5分くらいある。
少し向こうから、マスクをはずし、小さな袋を持って、そこに何度も手を入れて、何かを食べている若い男性がいる。「チョコあんぱん」といった文字が見える。一口で入るような大きさのものを、口に運んで、もぐもぐして、また手を袋に入れて、また食べている。すごく、おいしそうに見える。そのペースが早い。気がついたら、その男性は向こうに歩いて行って、それから、また振り返って歩いてきて、戻ってきた時はマスクをしている。
全部食べ終わって、その袋をゴミとして捨ててきたようだった。早い動きだった。
ばいきんまん
電車に乗って、次の駅に着いて、学校へ入る前くらいの男の子と若い母親らしき女性が乗り込んでくる。子どものリュックにばいきんまんがぶら下がっている。
手をつないで、「こっち」「こっち」と男の子が声を張り上げて、乗ってきたドアを指差しているが、女性は、手を引いて乗って、車両の奥の方向へ連れて行こうとしている。
男の子は、「こっち」と言っているだのけど、何を求めているのだろう、と思っていたら、違う電車の車両が、乗り込んできた方向の窓の外に、通り過ぎていくのが見える。それを指差して、男の子は何かを言って、笑っている。
いつの間にか、女性に抱っこされて、そばの小さなポスターの新幹線にイラストがあって、それも男の子が見つけて指差して、それで、また笑っている。
やっぱり電車が好きだったんだ。それで、電車が通るのがよく見える「こっち」に行きたかったのが、わかった気がした。
それから2つ目の駅で、そこは乗り降りが多いのだけど、その男の子は母親に手をつながれて、何か歌をうたうように降りていった。
もういつもと変わらない土曜日
私自身は、目的の駅に着いて、降りて、階段をのぼる。
登り切ったところに、男性が立っている。
上は暖かそうな上着を着込んで、下はサッカーの短パンとストッキングを履いている。マフラーをしっかりしてミニスカートの、冬の女子高生とイメージは似ていた。
駅の構内の先週まであったアルコール除菌のボトルがなくなっていた。
改札を出る。街が見える。高いビルの窓拭きをしている人がいる。それは、当たり前だけど、ずっと同じように続けてきたのだと改めて思う。
もう、何も、以前と変わらないように見える。
歩いて、新しいビルの前を通った時に、そういえば、このビルは昨年の緊急事態宣言の時も工事を続けていて、そして、コロナ禍が続くこの状況で完成し、その中にテナントも当たり前のように入って、時間は短くなったとしても、2度目の緊急事態宣言の今も営業をしているようだ。
何も変わっていない。そんな気持ちになる。
セキとくしゃみ
午後4時すぎに、また電車に乗る。
1車両に4〜5人立っているくらいの混み具合いだから、かなり空いているといっていい状況だった。
外は、少し日が長くなってきて、この時刻でも日差しが温かく感じる。
そばでせきこむ高齢の男性がいる。
そこから、少し逃げる。
そうしたら、今度はそばで、若い女性がくしゃみを連発する。
また距離をとるように、逃げる。
こんなことをして、意味があるのだろうか、と思う。
車内のポスター
車両の中のポスターは、美容整形外科とエステのものが目立つ。
二重施術 29800円(税込) 「再施術可(3年以内)」
脱毛ビュッフェ 100円
どちらも、すごく安いのだと思う。本当の意味での値段を知らないのだけど、特に脱毛100円というのは、どうやって採算をとっていくのだろう、と考えてしまう。
隣と「ソーシャルディスタンス」をとれるくらいだったから、座席に座っていたのだけど、目の前にカップルが来て、一人が隣に座ったから、反射的に二人が並べるように、席をつめた。そうなると、左右ともにピッタリと距離がなくなるから、わかっていたけど、ちょっと後悔する。
電車を降りて、乗り換えて、次の電車に乗ったら、くしゃみやセキが何度もあちこちから聞こえてきて、そのたびに見回すのだけど、誰のものかが分からなかった。
マスクをしているのは本当に当たり前になって、今日はマスクをしていない人を見かけなかった。だけど、その光景にも慣れてきた。
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