寒さの痕跡。
10年に1度の寒波と言われ、だけど、天気予報は、時々あおるようなことを伝えるから、などと思っていたのだけど、それほど朝早く起きるわけでもないのに、久しぶりにふとんから出るのが、嫌だった。
外は、とても寒い。
空気が冷たいのがわかったせいだ。
太陽
起きたら、妻はこたつに入って、テレビを見ている。Eテレの番組のメモをとっていたが、かなり厚着をしていて、それでも、寒さについて聞いたら、大丈夫だと答えてくれる。
そのあと、妻は、家の中に入れていた植物を、陽に当てるといって、玄関のそばの古い机の上に出した。
晴れているので、寒くて、空気が冷たくて固く感じるけれど、太陽が空にあることで、ちょっとホッとする。
ただ、外にある草花は、最近、詳しく見ていないので、断言はできないけれど、昨日からの寒さで、完全にやられて、どの植物も下を向いているように感じる。
やっぱり、寒かったんだ、とちょっと怖くも思う。
台所
昼食は、妻が温かいうどんを作ってくれて、録画したドラマを見ながら、おいしく食べる。
出演者の若さが、あまりにも自分と縁遠く感じて、少し悲しいような気持ちになったのは、気温の低さにも関係しているような気がした。
そのあと、食器を洗う。
古い木造の建物で、あれこれが昔のままで、湯沸かし器も、室内設置のタイプだから、換気が必要になるが、それも専用のパイプなどがあるわけでもないから、台所の木の枠のガラスの窓を、5センチは開けっぱなしにしている。
流しは、その窓に面していて、食器洗いのスポンジも、その開いている窓のそばのラックに置いてある。
半分が、スチールタワシのようになっているタイプのスポンジを使って、なべを洗おうとしたのは、しぶとい汚れがあるように見えたからだ。
スポンジ
スポンジを握ったら、ちょっと感触が、いつもと違う。
スチールの方ではなく、柔らかいはずのスポンジのこぶが、硬い。
乾き過ぎて、急に劣化したのだろうか。
それも、全部ではなく、半分くらいが固く、ただ、見た目ではそれほど変化がわからなかったので、湯沸かし器を使って、お湯で食器を洗い始める。
そうしているうちに、そのスポンジの硬いところが柔らかくなってきた。
同時に、その部分から、とても冷たい液体が手にあたるのがわかる。
凍っていた。
家の中にあるものが凍ったのは、初めてだったかもしれない。
東京都内は、比較的温暖だから、こうしてずっと窓を開けていても、凍ることは記憶にない。それだけ寒かったのだと思ったけれど、お湯を使っていても、しばらく硬さが抜けず、その間も、まだ冷たい水が生まれてきていた。
本当に寒かったし、氷点下というのは、こういうことだと、気候的には、生ぬるい地域でしか暮らしたことがない人間は、ちょっと怖くなる。
食器を洗い終える頃には、スポンジはもとに戻っていた。
ペットボトル
そのあと、台所に置いてある水を入れたペットボトルを持とうとした。
筋トレで負荷をかけるために、片手に2リットルのものを一つずつ持って、肩の上で上下させると、肩こりに効くので続けているが、そのペットボトルが、一瞬、持つのをちゅうちょするほど、冷たかった。
持っているときにも、だんだん冷たさが手のひらに染みてくるようだった。
昼を過ぎているのに、まだ、寒さが、あちこちに痕跡を残していた。
この寒さは、まだしばらく続くそうだ。
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