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男は戦いに人生を捧げてきた。 夥しい数の戦いに勝利し、それでも戦い続けてきた。 魔法や飛び道具には目もくれず、素手で多くの相手を葬ってきた。 名声を手にし、彼の名は世間に広まった。 多くの人が彼の業績を称え、彼の名は世間に広まった。 負けたものは戦うことをやめ、一般的な幸せを手にすることを選んだ。 勝った彼は、戦うことを選び、闘技場に残り、見られる対象であり続けた。 しかし、彼の名声と反比例し、生活は一向に豊かにならなかった。 なんなら、負けて去ったものたちの生活は目
昔、うちに九官鳥がいた。 名前を始終呼んでいると、その声かけを覚えて、「キューちゃん!キューちゃん!」と自分の名前をひたすら連呼するようになった。 マンションのベランダで買うには大きすぎる鳥で、鳥籠の中でほとんど身動きも取れず、こちらの声掛けを文字通りおうむ返ししていた。 そのうちカメラのシャッター音や電子レンジのチーンとなる音、僕や兄の名前など他の言葉も喋るようになった。 僕はキューちゃんが可愛くて、よくベランダに出て話しかけていた。 キューちゃんは近所にもよく聞こえる
女の子はおばけが苦手でした。 女の子のお母さんは、女の子のお父さんがオバケになったとよく言って聞かせていました。 女の子は何のことか分かりませんでしたが、そんな話をする時のお母さんの顔が怖かったので、オバケは怖いものだと思うようになりました。 ある日 女の子が外に遊びに行くと人通りの多い道で猫のおばけのような子がひなたぼっこしていました。 猫のおばけは時々大きなあくびをして「にゃー」と大きな声でないていました。 人通りの多い道でしたが、猫のおばけの姿は みんなには見えな
1あるところに、モグラがいました。 モグラはずっと穴の中で暮らしていて、目があまり良くありませんでした。 穴の中は快適で、モグラの眠りを邪魔する動物もいなければ、蒸し暑い暑さも、凍えるような寒さもありませんでした。 ある夏の日、モグラは聞いたこともないような大きな音に目を覚ましました。 急いで音のする方に行って見ると、モグラの家に大きな穴が開いて、眩しい光が差していました。 生まれて初めて見る光に、最初は怖くて隠れていましたが、乾いた草や、甘い花の匂いに誘われて、モグラは