〇〇と僕『み』~味噌汁と僕~
僕は味噌汁が好きだ。
長ネギ、お揚げ、豆腐、大根。
たまご、玉ねぎ、あさり、小松菜。
じゃがいも、もやし、海苔、わかめ。
食事には必ず味噌汁がないといけない。
白飯にはもちろん、パスタにも味噌汁、カレーにも味噌汁、炒飯にも味噌汁である。
「いただきます。」の次は必ず味噌汁を一口。
からっぽの胃には「今からご飯を食べまっせ。あまり噛まずに、大量に。」の合図が必要だ。
温かい味噌汁が流れ込んだ胃がキュルルルルゥっと音を立てたなら、受入準備万端。
予告した通り、大量のご飯をあまり噛まずに流し込む。
嗚呼、至福。
美味しいモノはどんどん口の中に入れたい。
まだ口の中に残っていたって、次を早く入れたい。
そんなことをやってるもんだから、口の中は飲み込みきれない食べ物でいっぱいになる。
そこでまた味噌汁を一口。
汁を吸って柔らかくなった食べ物を、またもやあまり噛まずに流し込む。
リセット完了。
そうしてまた美味いモノをどんどん口の中に運び入れる。
嗚呼、至福。
味噌汁の具が多すぎるのは嫌だ。
梅雨と同じくらい嫌だ。
いや、歯医者と同じくらいかもしれない。
とにかく具が多すぎるのは嫌だ。
あくまで味噌汁は汁であり、具が一定の量を超えてしまった味噌汁は、もはや汁ではない。
飲む度に、毎度毎度具が流れ込んでくるようであれば、もはや味噌汁失格である。
具の味が染み出た汁をすすり、その奥深さを味わう。
味噌汁の深き海を魂が泳いでいるその刹那、不意に流れ込んでくる小さな豆腐、柔らかい大根、くたくたのネギ。
それこそが正しい具のあり方である。
嗚呼、至福。
僕はあさりの実を食べる。
「あれは出汁を取るものだから、食べないのだよ。」と言われようが、僕はあさりの実を食べる。
石原さとみとデート中に、「みっともないから止めて。」と言われても、僕はあさりの実を食べる。
あさりの実を食べない人とは友だちにならないし、デートもしない。
二日酔いで頭ガンガン、身体が鉛のように重たい時にも、味噌汁は最高だ。
カラカラに干からびた身体に、少し塩味の効いた味噌汁をゆっくりと染み込ませる。
百薬の長は、酒ではなく味噌汁だと気付く。
じわりじわりと時間をかけながら指先まで行き渡り、人間としての機能を徐々に取り戻す。
8割まで復活したところで、いざ迎い酒。
嗚呼、至福。
僕は味噌汁が好きだ。
これからも毎日飲むだろう。
春も夏も秋も冬も、朝も昼も夜も、味噌汁を飲むだろう。
飲んでも飲まれないように気を付けよう。
塩分の取り過ぎにも気を付けよう。
そうして僕の味噌汁ライフは続いていく。
嗚呼、至福。
『味噌汁の詩 / 千 昌夫』を聞きながら
FJALLRAVEN by 3NITY TOKYO 池守
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