【映画感想】『アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング』自己肯定感の難しさ
今日は最近見た映画、
『アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング』
についてご紹介しようと思います。
とても面白い映画でした。
昨今の過剰な外見至上主義への批判をポップに描いており、自己肯定感の大切さを訴えています。
自分の見た目が気になってしょうがなかった思春期時代に見たかったなと思いました。
容姿に悩む中学生・高校生にぜひ見てもらいたいです。
ただ少しだけR-18なシーンがあるので、親子で見るには若干気まずいかもです。
面白いシーンではあるのですが。
あらすじ
ぽっちゃりで自分の容姿に自信がない女性レネー(エイミー・シューマー)は、憧れのブランドの化粧品販売のオンラインストアで地味な仕事をしていた。本社の受付の募集がされていても自分に自信がなく諦めてしまう。
ところがある日、通っていたエアロバイクのジムで転倒して頭を打ってしまい、目が覚めると自分が素晴らしい体型の美女になっていると勘違いをしてしまう。レネーだけが自分は美人だと勘違いしているので、周囲は訳がわからず困惑する。
でもレネーは自分に自信を取り戻して本社の受付に応募し、持ち前のコミュニケーション能力と明るさで社長(ミシェル・ウィリアムズ)に気に入られ合格を勝ち取る。
恋人もでき新しい環境や人に出会い、憧れの生活をするなかで、いつしかレネーは人を見た目で区別したり友情を蔑ろにするようになってしまう。
↓ここからネタバレを含みます ご注意ください!!! ↓
感想
私も自分に自信がないので、勘違いを起こす前のレネーの卑屈な姿勢にはとても共感しました。
どことなく暗い表情や「どうせ」と全てのことに否定的になったり、
ドラッグストアでこっそり化粧品を買うこと、
写真に写る「現実」がこの世の全てだと絶望した日もありました。
レネーは自分が美女になったと勘違いしたことで全てが変わりました。
表情も明るくなり、自分の性格がオープンになったり、
自信に溢れた話し方ができるようになりました。
実際には何も変わっていないのですが、これが本来の彼女でした。
自己肯定感の大切さ
この作品は何より自己肯定感の大切さを訴えています。
どんな姿であろうと、自分を認め、自信を持っていることがかっこいい。
クリーニング店で出会ったイーサン(ローリー・スコーヴェル)とデートしていると、ビキニ大会が行われており、レネーはそこに参加します。
細く美しい体型の女性が並ぶなかレネーは逆に目立っていましたが、
自信満々にキレキレのダンスを披露して会場を大いに盛り上げます。
元々出来レースだったこともあり優勝はできませんでしたが彼女は、
「酔っ払いの票がなくても私はイケてる」
と言い気にしませんでした。
イーサンはそんな彼女を羨ましく思います。
彼もまた自分に自信のない男性でした。
そしてビキニ大会が行われていたバーの店主がイーサンに話しかけます。
レネーが他人から見ても魅力的な女性であることがわかるシーンの一つです。
ある日イーサンは自信を持っている「君は自然だ」とレネーに言います。
こんな分析ができるイーサンも素敵な人でした。
そう言ってくれる人が近くにいたらどんなによかっただろうと思います。
どうせ誰も私のことを助けてくれないと殻にこもっていた私に、聞かせてあげたい。
SNSの台頭、マッチングアプリが出会いの主流になるなか、
確かに見た目は10年前より遥に重要になってきたように思います。
今の若い子は大変だなと思います。
アラサーになって思いますが、あんなに真剣になっていた容姿も、
正直すっぴんである以上どうしようのないものでした。
大学生になればメイクでどうにでもできますが、
校則で禁止されている以上すっぴんで勝負するしかなく、
現実は厳しいものでした。
明るく口角を上げていた方が楽しい青春を送れたのではないかと思います。
実際、異性の目がない女子校に通ったことで私は楽しく生活できるようになりました。
なんなら自分に一番自信があったのはあの頃だったのではとすら思います。
容姿を一番気にしていた中学生の頃の自分に、
容姿ではなく、自分を認めてあげた方がいいよ、
と言ってくれる存在がいたら、きっと救いになったのではないかなと思います。
そしたら、「自分に自信を持てるかっこいい人」になれていたような気がします。
結局そういう人が一番かっこいいんですよね。
友情の大切さ
レネーは勘違いによって自信を取り戻しますがだんだん自信家となり、
今まで自分がされて嫌だったはずの「人」を見た目で判断したり、
友人を蔑ろにするようになってしまいます。
そしてあまりに配慮を欠いた行動をして見放されてしまいます。
勘違いの弊害が出てきた頃にレネーはまた頭を強打し、「魔法」が解けてしまいました。
美人じゃない自分に意味はないと自信を喪失して仕事を投げ出し部屋に篭ってしまいます。
酔って友人の元へ向かうと突き放され、
「私が美人じゃないからね?」と言うレネーに友人はこう言います。
「優しかった」ここを強調して言われます。
友人って、お互いの優しさや配慮があって初めて成り立つものですよね。
「親しき中にも礼儀あり」ということわざがありますが、
相手へのリスペクトや気遣いって大事ですよね。
優しさって簡単だけど難しいことだと思います。
でも、相手を慮ることをやめなければその分伝わるものだとも思います。
レネーは明らかにその点を欠いていました。
でも、彼女が恵まれていたのはそのことを教えてくれる友人がいたことでした。
多分、本当の友達でなければ何も言わずなんとなく疎遠になっていくものだと思います。
でも友人はレネーの欠点と美点を教えてくれました。
心を入れ替え、新商品発表会に潜入しステージを乗っ取ったレネーはスピーチを始め、
自分がずっと「自分」だったことに気づきます。
そして自信を失うことの悲しさを説き、こう言います。
そして自分には素晴らしい完璧な友達がいる!と言います。
会場に来ていた2人の友人は心打たれます。
友人2人の写真がモニターに映し出され、
素敵な笑顔を見せる彼女たちは間違いなく「完璧」な女性たちでした。
「だって私は私!」
レネーはそう言います。
そして友人のことも言及するということは、
「友達に誇っていられる自分でありたい」
というもう一つのメッセージなのかなと思いました。
私も友達が一番大事なので、このスピーチはとても心にグッときました。
自分で自分を認めることは難しくてでも大事だけど、
友人が認めてくれる自分もまた大事なんですよね。
案外友達の方が自分を「見て」くれていたりします。
最近アラサーになったこともあってか友人と深い話をすることが多いのですが、
私自身の知らなかった評価を知ることができて、
コンプレックスばかりの自分も案外悪いことばかりじゃないかもな、
とか思っている今日この頃です。
最後に
レネーはイーサンに会いに行き、
ずっと自分を見てくれていたことに感動し、
終わりを迎えます。
私はこの10年間で体型がコロコロ変わっているのですが、
それでも変わらず友達は友達でいてくれます。
出会った当初こそ見た目だったかもしれませんが、
今はウマが合うから一緒にいるのだなと思う時があります。
自分に自信はないけれど、少しでも友人に誇れる自分でありたいなと思います。
容姿は歳を経るにつれ変わっていくものです。
でも、良くも悪くも心はどうとでもできます。
レネーのように自信満々にはなれないかもしれないけれど、
せめて自分の心に優しくあれたらなと思います。
そしたら、自分を認められる「かっこいい自分」に
一歩近づけるかなと思います。
3食小麦