病的なまでに嵌ったゲーム「PSPo2/2i」の話 ~その2~
2009年12月3日にPSPで発売されたアクションRPG「ファンタシースターポータブル2」(以下Po2)、および2011年2月24日に発売されたアッパーバージョン「ファンタシースターポータブル2インフィニティ」(以下2i)というゲームがある。名前を聞いただけで顔をしかめたそこの人、多分というか間違いなくどこぞの国2もといPSO2を思い浮かべただろうけど待ってくれ話を聞いてくれ。
前の投稿を読んで「話聞くと酷そうなゲームだけど何でそんなにのめり込んだの?」と思った方が多数と思われるが、ネタばらしをしてしまうと前回挙げた自称エンジョイ(笑)以外のゲーム内の「クソな点」はこの手のジャンルのお約束のようなもので、個人的な好き嫌いこそあれど面白いか面白くないかの判断には全く影響しない。そういうゲームだから。分かった上で買ったんでしょ?
文句言ってる人はこれからみんなで楽しくサッカーしようとしているところに突然「なんで足でボール運ばないといけないの?なんで手を使ったら反則なの?どうかしてる!」とイチャモン付けてくるのと同レベル。いやそういうルールだから。
…以下、病的なまでに嵌った要因を挙げる。
1. PSPで遊べた本格的な無料オンラインマルチプレイ「インフラストラクチャーモード」
本作の目玉。本作はPSPのゲームでありながら無線LANを介してのオンラインマルチプレイが可能だった。よく「セガは時代を先取りしている」というネタがあるが、本作に関しては冗談ではなく本当に時代を先取りしていた。
今でこそ携帯機やスマホでオンラインマルチプレイなんてものは珍しくもなんともないが、本作が発売した2009年当時はあまりにも画期的過ぎた。一応当時は既にPS3を利用したオンラインサービス「アドホックパーティ」などは存在しておりMHP2G等は対応していたし、もしかしたら自分が知らないだけで実はもっと他にもオンラインマルチプレイ関連のサービスが既に存在したのかも知れない。しかしどれも一介の学生が知り得たり気軽に触れられる程の主流とは言えなかった。まだまだオンラインプレイはPCか据え置き機でやるモノであり、学生にはハードルが高いモノだった。そのため携帯機でオンラインプレイを、それも無料で出来るなんて信じられなかった。
元々ネットゲームやオンラインプレイに憧れを持っていたり、また体験版の時点で既に様々な点が前作Po1から改善されており、前作もそれなりに楽しめた人としては買わない手は無かった。
2.PSO寄りのレアアイテムハント中心のハックアンドスラッシュ
本作はハックアンドスラッシュではあるものの、Wizやdiabloのようなアイテムに様々なオプションがランダムに付与されるタイプのゲームではなく、PSOのように特定の敵が落とす特定のレアアイテムを狙うゲームである(一応「属性値」というランダム要素はある)。
PSOをやった事がある人は伝わってくれると思うが、同じエリアを周り同じ敵を倒し続けて心が冷たくなってきたり辛くなってきたところに目当てのアイテムがドロップすると凄まじいカタルシスが味わえる。あの感覚をPSPで手軽に味わえる。また、確率ゆえにそんなに厳しい確率ではないはずのアイテム(3%)の入手に何百周と苦戦したり、逆にそもそも狙ってすらいなかったタイプ不一致の真レア(0.01%~0.03%)がポロっと出てしまう事故のような出来事への一喜一憂も醍醐味である。もはや電子ドラッグとかギャンブルの世界であり中毒性が非常に高い。
3. キャラクター育成のPDCAサイクル
「うわコイツ真面目な単語口にし始めたぞ頭でも打ったのか?」と思ったそこのあなた、分かる。自分でもそう思ってる。でもこれ以上しっくりくる単語が見つからなかった。
念のためPDCAサイクルとは何かを簡単に説明しておくと、企業の品質管理とか業務効率化とかの分野で使われる考え方で、「Plan(計画)」「Do(実行)」、「Check(評価)」、「Action(改善)」の頭文字をとったもの。目標のために計画を立て実行する、実行した結果を確認・評価し改善、次の計画に繋げるそしてまた実行し評価し改善し…超簡単に言えばそんな感じ。
その考えを本作に当てはめると
・目的/目標…レベルを上げたい、あのレア装備が欲しい、など。
・Plan(計画)…経験値を稼ぐためにマガシ抹殺を回そう/〇〇が欲しいからこのミッションを回ろう
・Do(実行)…ミッションをとりあえず10回クリアしてみる
・Check(評価)…思うように稼げたか?目当てのアイテムは出たか?かかった時間は?もっと効率よく回れるミッションは無いか?自分の装備やアビリティ、立ち回りに問題はなかったか?クリアまでの時間を短縮できるか?
・Action(改善)…回すミッションを変える、装備や職やアビリティを変える
…といった具合。これがとにかく面白い。アイテムの種類や最終的な育成に必要な経験値量など、その辺のボリュームに関しては本当にPSPのゲームかと疑いたくなるレベルで無駄に多いため、やりたいこと、欲しいアイテム、自キャラの課題点が次々と湧き出てくる。「目標がない」「やる事がない」ということが殆ど起こらない。とはいえ、戦闘やアクションに関してなど、その辺については確かにやることは一辺倒になる。更に効率を求めると使う武器や職もほぼ固定されてしまうためそこは飽きてくるのだが……PSUから受け継いだ負の遺産無駄に多い武器カテゴリ、PA、テクニック、ミッション等が上手い事噛み合ってマンネリ化を防いでいる。たまに普段使わない武器やPAを使ってみたり、効率の観点からすると選択肢に入らないミッションを回ってみると新鮮味があって面白い…いや正確にはあまりに弱過ぎて効率が悪く、さらに非常にストレスが溜まるので強武器が恋しくなるだけ。
4. インフィニティミッション(IM)
2iから追加された要素。発売して10年近く経った今では多くのプレイヤーによるドロップアイテム報告や検証、大丈夫?ファミ通の攻略本による解説により大半の仕様が解明されたが、発売当時は挑むたびに出現する敵が変化しドロップするアイテムも今までのドロップテーブルと全く違う、法則性が見えない、前作Po2で培ってきた知識・経験が全く通用しないこの新要素に寝食を忘れてのめり込んだ。
惜しむらくは様々なレアドロップ率上昇ギミック(※)との兼ね合いで、ハズレ扱いされるアイテムですらドロップ率が凄まじく厳しい設定にされている事と、マスクデータの多さだろうか。
(※) 敵レベルによる補正(通常のドロップ率を100%としたとき、敵Lv1につき+2%、敵レベル+49の場合は追加で更に+2%、計200%)、ミッション効果によるドロップ率アップ、敵ブースト率アップなど。ブーストした敵はレアドロップ率に補正がかかる(黄:2倍、赤:5倍、虹:20倍)上にアイテムを必ず落とすようになるため、ブースト率アップは相当な効果がある。
前者については、フリーミッションやエクストラミッションで入手できるアイテムは基本的にそちらで狙う方が確率・効率ともに良いとだけ覚えておけばいい(※例外として☆16盾のスピリットガーメントは白銀人型強度1の方が狙いやすいかもしれない)。
後者は主にミッション合成周り、システム的にはアトリエでいうグラムナートシリーズの調合をイメージしてもらうと分かりやすいか。合成元Aと合成元Bのエリア・ボス・効果・レベル等が一定の法則の元で付与・継承され合成結果Cとなるのだが、合成に消費するポイントが安くない事に加え、法則とは名ばかりのランダム要素の多さで非常に面倒くさい。あまりにも感覚が麻痺し過ぎてPSO2の特殊能力追加に対して「確率に勝てるかはさておき、少なくとも残したい能力を自分で選べるとか最高じゃん」と思ってた時期がある。
2023/10/14 追記
海外の攻略サイトにて、恐らく誰かが解析したのだろうが具体的なドロップ率が掲載され始めた。もちろんそれが真実かは知る由も無いが、もしそれを鵜呑みにするならばIMでのドロップ率はPSOのようにアイテム毎に確率が設定されているのではなく、敵のサイズ(超小型、小型、中型、大型、超大型)のみで変化する模様。それが本当ならエクストラやDLミッションを何回かやれば自然と入手しているようなアイテムであっても、机1の超小型エネミーからのドロップの場合はスピガと大して変わらない確率(0.01%未満)となる。実際には判定が複数回行われたり各種レアドロップ率上昇効果が乗るとはいえ、そりゃあ滅多に出ないわけだ!!!
5.終わりに
面白かった点、クソな点、その他諸々書きたいことはまだまだたくさんある。ストーリー以外なら語れと言われたら大体なんでも語れる自信がある。それぐらい思い入れのあるゲームなのだがPSO2が色々やらかしたせいでこちらまで風評被害が及んだ。必滅や初期Vita版の出来の悪さから客が逃げることを恐れたのか運営がVitaで配信していたPSPo2iを突如配信停止した(※真相はさておき、タイミングがあまりにも露骨で怪しすぎる)ことは未だに根に持っている。ダウンロード販売なんてメーカーの都合でいつ配信停止されか分からないんだし買えるうちに買わなかった方が悪いと言われればそれまでなんだけど。
まぁそれじゃなくてもこのゲームが合わなかった10人中9人の人たちがロクにこのゲームやってないのにボロクソ言っていたり、それはまだ良いにしても逆にストーリーのみ触れてチュートリアルのチの字も終えておらず真に面白い点もクソな点も何も知らないくせに図太く面白いとか言っていたりするのも何とも言えない気分になる。そしてそれらを鵜呑みにしている人が割とたくさんいたりしてなかなか人に勧めづらい。ただ、偏見を持つにしてもこの記事を読んで少しでも正しい偏見を持ってもらいたいと思う。
インフラストラクチャーモードだけでなくPSPのサポートも終了した今このゲームをやるのはかなり厳しいだろうが、もし手元にまだPSPがあり、そして偶然にも中古で安くなっている「ファンタシースターポータブル2」「ファンタシースターポータブル2インフィニティ」を見かけ興味が湧いた、または持っているけど途中で辞めてしまったという人は是非遊んでみてほしい。この記事を読んだ後なら本作が本当に自分に合うゲームなのか、どうやって楽しむゲームなのかが多少分かったはず。
逆にこの記事読んで合わないと思ったなら今すぐ捨てていい。