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ディスクレビュー: あいみょん - 瞳へ落ちるよレコード/限定商法と転売市場の行方/俺があいみょんを売る理由

https://twitter.com/3LA_Disc/status/1613541570095239173

 日本でもTOP中のTOPのSSWということになるのでしょうか、あいみょんの2022年作アルバムの2xLP、限定盤となります。
 
 J-POPというものが世界的に見てもかなり特殊で愛だ恋だと戯言をメッセージソングとして量産している異界であることは間違いはないのだが、そうした謎の業界の中でもTOP中のTOPの音楽家には普遍的な良さはある。米津や宇多田や、そしてあいみょんなんかである。ひとまずこの「3636」を聞いてくれ。シンプルな失恋ソングにみせかけて、宅配BOXや数字の番号を介したコミュニケーション社会は、現代そしてコロナ禍すら"なんとなく"反映させながらこの日常を見事に表現している。イントロとアウトロを同じモチーフのテーマで締めつつ、変化も最小限のコード進行で進む様も凄い。大きな変化をみせない自身の音楽性すら日常に重ね合わせるなんてこんな歌詞書けるか、天才すぎる。

 そしてアルバム全体のテーマ性も、J-POP的恋愛感を残しつつも子供から大人へと変化していく心情と音楽性を重ねていく。「双葉」「スーパーガール」といった子供性(サウンド面も)そして、中盤では「3636」「強くなっちゃったんだ、ブルー」といった落ち着きのあるサウンドを奏でている。そっかぁ、このアルバムはその成長の過程を表現しているんだなぁ、と思っていたんだけど、ラストの展開でそれは読み間違いであることを気づかされる。「成長しましたね」「大人だね」そんな言葉なんてファックなんだな。この人はそこに無いものをずっと歌って形にしていただけかもしれない。愛を知らないから愛を歌う、現代版の尾崎豊なのか。タイアップ曲などもあるが、ビジネス的な諸々と調整しつつも、隠したようなロック性を紛れ込ませている。もはや自分も中高生のようには共感しないけれど、別の良さを感じ取れるはずだ。
 
 はっきり言って2枚組LPで4400円は良心的すぎてびっくりする。そして針を落として聴いてみるとその音の異常な良さにさらに驚いてしまった。こんな音の良いメジャーのレコードは久しぶりに聴いてすべてがぶっ飛びました。世の中的には「マリーゴールド」がいまだに一番人気らしいがこっちのアルバムの出来のほうが全然良い。

tracklist:
A1 双葉
A2 スーパーガール
A3 姿
B1 初恋が泣いている
B2 君のこゝろ
B3 3636
B4 強くなっちゃったんだ、ブルー
C1 桜が降る夜は
C2 ペルソナの記憶
C3 神秘の領域へ
D1 ハート
D2 インタビュー
D3 愛を知るまでは



今回はここから先が本編です。

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