最も大切なのは、いい土|那須塩原市チャレンジファーマー研修まとめ【2023年第2回】
過去のまとめはこちら。
那須農業公社主催、チャレンジファーマー研修第2回のまとめです。
今日は農場での実技研修ののち、教室での机上研修の流れでした。
実技研修、机上研修それぞれについてまとめていきます。
前半:実技研修
実技研修ですが、スケジュール上では
・管理機
・刈り払い機の操作
・耕起、畝立て
となっています。
しかし、実際行ったのは「支柱設置」と「ネット張り」のみでした。
スケジュールの関係なのでしょうか、堆肥を入れるなどの土づくりや、黒マルチを敷くマルチングはすでにスタッフさんが終えてしまっていました。
初心者にとって土づくりとマルチングは超大切なプロセスなので、正直ここは飛ばさないで欲しかったなーという気持ちがあります😭
①支柱を立てる
さて、まずは支柱を立てる研修です。
集団農場では、ナス、トマト、きゅうりの栽培を行います。
どれも支柱を立てて育てる野菜なので、班に分かれながら支柱を立てていきます。
資料を見ると、支柱を立てる場所が
・畝に直接立てる(きゅうり)
・畝の端に立てる(トマト)
と分かれているのがわかります。
きゅうりは、ツルがどんどん伸びて自然の網を形成し、網の中に実をつけていきます。ツルが伸びやすいように畝に直接支柱を立て、ネットを貼っているわけです。
一方トマトは、垂直に茎を伸ばしていくので、風で茎が折れないように1本支柱を立てています。
野菜によって支柱の組み方が違うのが面白いですね。建築の要素が入ってきます。
さて、実際の演習の様子です。
この状態から支柱を立てていきます。
講師の方から支柱の立て方を教わります。まずは金属のポールを組み合わせて、等間隔に支柱を組んでいきます。
こんな感じですね。出っぱっている支柱と引っ込んでいる支柱がそれぞれあるので、正しい組み合わせを配置して支柱を組んで言います。
②支柱を補強する
組み終わったら、支柱が壊れないように上と左右に縦長の支柱を足して、頑丈にしていきます。
③テープを引いて、ネットを通す
支柱を組み終えたら、左右の支柱に、黒いビニールテープを上下に括り付けていきます。この黒いビニールテープにネットを引っ掛けます。
黒いビニールテープにネットを通して、ネットを支柱に結びます。
ぐいーんと横に伸ばしていったら、ネット張りは終了です。
きゅうりはツルを這わせるので畝に直接支柱を張り、ネットを巻きます。
ネットは高く張れば張るほど収穫量が増えるので、ポイントです。
農業研修では金属ポールを使いましたが、家庭菜園なら軽いプラスチックのポールを使うか、竹を使うといいでしょう。竹もホームセンターに売っています。
今日の研修はここまでで、残ったネットを張ることから次の研修が始まります。
後半:机上研修
実技研修の後は机上研修です。
今日から「野菜栽培の基礎」をベースに野菜について学んでいきます。こちらのテキストは農業高校向けの教科書を一般向けにわかりやすくしたもので、かなり詳細に野菜の育て方について学ぶことができます。
ちなみに、ネットの評判も高い良書です。
今日習ったことをまとめると、「野菜が育つ環境を整えてあげることが、野菜の生育に一番大切」という至極シンプルな内容になります。
植物は以下の順番で育っていきますよね?
種が発芽
根が発達し、地中で大きく深く広がっていく
根から養分を吸い上げ、茎が伸び、葉が地上で大きく深く広がっていく
花が咲き、実がなり、肥大化していく
今日の授業ではこの4つのプロセスで失敗する原因について学ぶことができました。それぞれ解説していきます。
①種子〜発芽まで
主に、種子が発芽しない要因は以下4つだそうです。
種子が未熟で小さい
覆せた土が厚すぎる(種の2~2.5倍の土をかぶせるのがいい)
地温が不適当(春はまだ寒いのでマルチやキャップをして地温を上げる)
肥料のやりすぎ(発芽に肥料は必要ない。やりすぎると肥料焼けする)
なかでも面白かったのは、「種が発芽するのに肥料は必要ない」こと。発芽して芽や根を伸ばすには、胚乳や子葉の栄養分を利用しているので、土の栄養分は不要ということです。ポットで苗を育成してる人は、肥料を入れなくてもいいということですね。
なお、発芽直後の植物は温度や水分など環境変化に弱いので、種からより苗から育て方が安定する、とのことでした。
また、野菜の種は水分が少なく長期間の乾燥に耐えられますが、湿度が高いと痛みやすいみたいです。低温・乾燥条件で貯蔵するのが推奨されているので、袋で密閉して、野菜室以外の冷蔵庫に入れておくのがおすすめです。※野菜室は湿度が高いので
②根の発達と肥大までのポイント
講師の方が再三
と言っていました。
野菜は地上部が枯れても根が生きていれば再生しますが、根が死ぬと復活しません。見えないところが肝心ということですね。
土壌が加湿であったり、固くて隙間がなかったりすると、根は地表表面近くに形成されます。このような根は、土壌の乾燥や気温の変化などの影響を受けやすいため、堆肥をしっかり撒いて、柔らかく根を張りやすい土を作るのが大切とのことです。
具体的には、
牛糞堆肥を、袋に記載された施肥量をもとに畑全面に撒いて、微生物の働きを促して土壌をふかふかに改良する。(バーク堆肥、腐葉土でも可)(ふかふかな土は水捌けも良く根が張りやすいため)
有機石灰やかきがら石灰を畑全面に塗布して、土壌の酸度を下げる(酸性が強いと、根の育成に必要なリン酸が足りず、根が伸びていかないため。また苦土石灰や消石灰はアルカリ性が強すぎるので初心者は避けた方がいい)
スコップや鍬を使い、牛糞堆肥と石灰を畑とまぜる(地上から20cmくらいの土に堆肥と石灰が行き渡るとよい。大体スコップひとほりが20cmの目安)
野菜を育てる畝の中心に鶏糞堆肥や豚糞堆肥を撒いて、野菜が育つ栄養素である窒素・リン酸・カリを補給する。(牛糞堆肥は肥料ではないので注意)
栄養素が足りなさそうであれば、液体肥料や追肥(鶏糞堆肥)をして補給する。
をやりましょう。
これが超大切なので、土づくりをする際は以下を覚えて下さい。
③茎と葉の育成のポイント
続いて葉と茎の育成ポイントです。
葉が黄色くなってしまう原因は以下の5つです。
光不足
水分不足・過剰
肥料の不足・過剰
病気や害虫の影響
老化
5は避けられないとしても、1~4は伏せげます。
光不足にならないよう、葉が重なったら間引きましょう。
④結球・花芽の分化・発達と果実の肥大のポイント
めしべ、おしべが離れているウリ科の植物は、人工授粉をしないと花がつきません!
去年ズッキーニを育てていたのですが、なかなか実がつかず悩みました。カボチャやズッキーニ、スイカなどのウリ科は人工授粉が必要になると覚えておきましょう。
おわりに
長くなりましたが第二回の講義まとめは終わりです。
土づくりが実践演習でスキップされてしまったのが非常に悲しかったので、自分でまとめ直してnoteにまとめています。
第3回は野菜の植え付けです!楽しみですね。
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