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不人気?飲食業界の未来を変えたい!

飲食サービス業界はブラック?!

20年以上、フードサービス業界で働いてきた中でもっとも重要な問題が「フードサービス業界のブラック化」だ。ワンオペ、長時間労働といった現状の中にある、本質的な問題点について、私の経験を元に考えてみたいと思う。
フードサービス業界は、経済環境・消費者の嗜好の変化などの外的要因に大きく左右される面があり、多くの企業で、変化への対応が後手後手に回り、売上減、収益減に陥っている。
しかし、本当に外的要因だけが理由だろうか。
私はいつしか「当たり前」になってしまっている内部要因にこそ業績不振の原因があると思っている。長時間労働、人財不足、過去の成功体験の呪縛、仕入先との関係性、戦略性の欠除といった要因である。

長時間労働の裏

現在、フードサービス業界はブラック企業が多いと問題なっているにも関わらず、いまだ多くの経営者・社員が、長時間労働を「当たり前」だと思っています。
フードサービス業界の主な営業時間に、ランチ時間帯(11:30〜13:30)とディナー時間帯(18:00〜20:00)があり、その間は店長等社員は常駐していなければならない、と思い込んでいることです。その結果、前後の作業時間帯をいれれば12〜15時間労働となってしまいます。

さらに「創業期は高い売上があり、長い時間働いていたから、皆も同じ位働け」と従業員に言っている経営者が非常に多いことです。経営者だけでなく管理職でも、「自分たちは、休みもなく働いたのだから、皆も同じように働け」という者が非常に多いです。

加えて経営者の意識があります。「自分の金を従業員へ給与としてあげている」と考える人が多いことです。このような人は、従業員の休日にも自分の金を支払っているという発想になり、従業員が有給休暇を取ったり、1日の労働時間が8時間に限定されるのが、我慢できなくなります。

また熱心な社員ほど、休みを取らずに出勤し、それを「基準・当たり前」とする風潮があります。働くほど評価され、昇給・昇進することができるため、さらに休みを取らなくなる・・・という負の連鎖が始まるわけです。

最後に従業員の「人生」を真剣に考えていないことが挙げられます。表向きは「従業員は家族」といいながらも多くの経営者は、従業員の「人生」も背負っているという意識を持った人は少なく、「家」と「店舗」の往復だけの人生をさせてしまっているのが現状です。

人材不足のサイクル

フードサービス業界は所謂立ち仕事(重労働)がほとんどで、給与も決して高いわけではありません。そのため、優秀な人材が集まりづらい業界となってしまっています。
そして入社後は長時間労働のため、家と店舗の往復が一日の大半を占めた生活を長年続けてしまいます。
さらには、店舗の営業日、営業時間が長く、サービススタイルによっては24時間ずっと営業しているため、3日以上連続して休みが取りづらい環境です(本来はシフト調整等の工夫で補えるのですが、人手不足な状況により調整すら出来ない)。
その結果、非常に視野の狭く、客観的意識を持たない社員ばかりになってしまいます。
このような企業の中で評価されるのは、長時間労働に耐え、休日も返上して働き、上司達の「命令」を従順にこなすような人です。
また、パート・アルバイトでも労働時間を誤魔化して削る人を公然と評価する企業も、しばしば見られます。そしてこのような人々が評価されて職位上位者、経営陣になっていき、その過程で戦略立案能力のある社員は排除されるか自ら会社を去ってしまうのです。

過去の成功体験の呪縛

創業時の好調さを引きずり、フードサービスビジネスの見聞や流れを意識して見てこなかった経営陣は、自らの過去の成功体験だけが知見のすべてなので、外部要因の変化や自社のビジネスモデルの陳腐化、社会不適合さ等の問題の原因を分析解析することなく、
「今までこのやり方でやってきたから、業績悪化は従業員が頑張っていないからだ!」
となってしまっています。こうしてさらに従業員に負担をかけてしまうことで、従業員は疲弊し、業績が回復するわけありません。

仕入れ先との関係性

とにかく安く仕入れするのだという意識の元、仕入れ業者に対して傲慢な態度で接する企業が多く見受けられます。このような関係性では仕入れ業者側もいい気はしないはずです。
食材がなければ店舗は運営出来ません。共に店舗に関わる企業としてWinーWinの関係を作ることを軽視する経営者がいます。
たしかに仕入原価は経営をする上で大きな変動費ですが、良い関係作りを意識しないと次に大きな変動費の人件費に注目してしまいサービス残業、ブラック化へ繋がってしまいます。

未来の姿から考える経営戦略

すべての問題のボトルネックとなっているのが『未来の姿』から考えた戦略、組織作り、人財教育が出来ていないといえます。
日々の繰り返し、積み上げてきた経験の中だけで、その場その場で対応してしまい、気がついたらツギハギだらけとなってしまっています。

ブラック化は改善出来るのか

長時間労働を止め、適切なシフトにすることで従業員の生活に余裕が出来て社会に対して広い視野で物事を見て考えるようになる。
その事で従業員が活き活きとして接客することで店にとって良い影響がでる。

しかし、それがわかっていても実際にはやれていない。やれていないのは何故なのか。 「実際に経験していないから」だと思う。

私の経験から、労働力には限りがあると考えるべきだと思っている。限りがあるからその中でどうしたら仕事を収める事が出来るか考えだす。

また自分のノウハウはみんな隠したがりますが、これをオープンにしちゃんと評価してあげる。そして、自分のアイデアを人が使って業績を挙げたら、さらに自分にも評価が付くような仕組みにする。そうするとみんな自分のノウハウを出したがります。見えるようにする、評価する、こういう仕組み作りがブラックな飲食店には必要で、この仕組み作りだけでも組織はいい方向に変わっていくんだと思います。

また時間に余裕が出来ることで視野が広がり、新しい知識や知見をお店に持ち込むことでさらなる改善や改革につながる。外に向くことで時代の流れへの感度があがり変化する時代に対応できるようになっていく。他のお店や地域社会との繋がりがさらなるお店の価値を高めていく。

このような流れを戦略的かつ計画的に見据えることができる飲食店経営者が増えることで飲食業界全体のイメージが変わっていくのではないか。

飲食サービス業が好きです。それゆえに現状の悪いイメージをどうにかしたいという思いが強くあります。


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杉野重人(シゲさん)
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