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「ツールを使えること」と「スキルを持っていること」の違い~現代の仕事に求められる力とは~
現代のビジネス現場では、様々なツールが登場し、日常業務においてその使い方が求められる機会が増えているとおもいます。
例えば、Excelや各種報告ツール、さらにはAIを活用したシステムなど、ツールを自在に操ることは重要な能力と捉えられがちですが、単にツールを使えること自体が「スキル」ではないと最近考える機会がありました。
当たり前かもしれませんが、ツールはあくまで「手段」であり、問題解決や業務改善を実現するための「道具」であり、
アウトプット、成果に向けて何をどのように使うか、さらにはその背景にある思考力こそが、本当のスキルではないかと思うのです。
この記事では、上司や部下、また役割に応じた視点から、ツールを使えることと本当のスキルの違いについて考えてみます。
1. ツール利用能力と問題解決能力の違い
まず、ツールを使えるということは、操作方法や機能を熟知している状態を指します。
たとえば、Excelの基本的な関数を理解し、データを入力・集計し、グラフにすることができれば「ツールを使える」と評価されるでしょう。
上司から「今月の売上報告の資料を作成して」と指示された場合、先輩が作成したExcelのテンプレートに沿って、単純に数字を入力・更新するだけであれば、確かに「ツールを使える」能力が発揮されています。
一方、もし上司が「この売上未達の原因を分析し、改善策を提案して」といった、答えのない課題に対して、部下が自ら問題を整理し、適切な論点を抽出して解決策を提示する場合には、ツールはあくまで情報整理の手段にすぎません。
ここで求められるのは、ツール操作のスキルではなく、課題に対する「問題解決能力」や「論理的思考力」であり、それこそが本当の意味でのスキルではないでしょうか。
2. 役割や状況に応じたスキルの捉え方
実際の仕事現場においては、上司や組織から求められる役割によって、必要とされるスキルは大きく異なります。
(A)ルーティン業務の場合
たとえば、毎月の定例報告や定型作業の場合、上司があらかじめ明確な作業イメージを示し、部下はその通りにツールを使って資料を更新するだけで成果が出るケースがあります。
この場合、Excelや報告ツールを使いこなす「ツール利用能力」自体が、求められるスキルといえるでしょう。
しかし、ここで重要なのは、業務が単なるルーティンに終始してしまうと、現場の最新状況や細かな変化に気づく力が低下する恐れがある点です。
単にテンプレートを更新するだけでは、現実の課題や異常値に対して柔軟に対応する力は育ちません。
(B)自ら解決策を導く場合
一方、上司が明確な答えや作業イメージを持っていない場合、部下には自ら問題を分析し、解決策や提案を提示する能力が求められます。
この場合、ツールはあくまで「手段」であり、真に重要なのは課題に対して自分の考えをまとめ、論点整理を行い、説得力ある提案をする能力です。
こうしたスキルは、単にツール操作が得意なだけでは補えず、業務全体の流れや環境の変化を読み取りながら、柔軟に判断を下す力が必要です。
現代社会ではAIやクラウドサービスの発展もあり、業務が急速に変化しているため、こうした「答えのない問題」に対して、主体的に取り組む姿勢がますます求められるようになると感じています。
3. 現代の働く環境と求められるスキルの変化
かつては、管理職に昇進するまでは、単に指示に従ってツールを操作するだけで十分とされる環境もありました。
しかし、現代では業務環境が急速に変化し、ルーティン業務は外注や派遣社員に任せるケースも増えており、結果として、社員に残される業務は、誰もが答えを持たない、難解で変化の激しい問題が中心となってきています。
そのため、若手社員に求められるスキルは、もはや「ツールを使える」だけでは不十分ではないかと思うのです。
自ら資料を細かく確認し、最新のデータをみて、主体的に問題解決に取り組む力が必要です。
上司だけでなく、部下もまた、与えられたツールを単なるオペレーションではなく、戦略的に活用することで、個々の市場価値を高めることが求められるのです。
4. 具体的な実践方法
ここでは、上司と部下それぞれが、どのように「手を動かす」べきか、具体的な方法についても考えてみます。
上司の場合
キースライドは自ら作成する
重要なプレゼン資料や報告書のキーとなるスライドは、部下に丸投げするのではなく、上司自らが手を動かして作成することが大切です。
これにより、全体の意図や戦略がしっかりと伝わります。
データの生データをチェックする
完成したグラフや集計結果だけを見るのではなく、生データに目を通し、異常値や部下の見落としがないか確認する習慣を持つことが必要です。
部下の意見を率直に聞く
部下が実際に現場で感じている課題やアイデアは、必ず耳を傾けるようにしましょう。自らが手を動かしていないと、表面的な情報だけに頼ってしまいがちですが、部下との対話は現場感覚を保つ上で不可欠です。
部下の場合
自らデータを操作する習慣をつける
上司からの指示に従って、ただ報告資料を更新するだけでなく、自らの手でデータを分析し、疑問点や改善点を見つけ出すことが重要です。
ツールは手段であると自覚する
Excelや報告ツールはあくまで道具であり、最終的にはそれを使ってどのように問題を解決するかが本質です。自分なりの仮説や提案を持ち、論点を整理して上司に示す姿勢が重要になります。
業務以外の知識やスキルを磨く
日々のルーティン業務だけにとどまらず、最新の業界動向や新技術、さらには問題解決に役立つ知識を自主的に学ぶことが、結果として個人の成長につながっていきます。
5. まとめ
現代のビジネス環境では、ツールを単に使いこなすだけではなく、そのツールを用いて問題を解決し、成果を生み出すことが本当の意味での「スキル」ではないかと考えています。
上司は、部下に明確な作業指示を出すと同時に、実際に自ら手を動かして現場感覚を維持し、適切な評価とフィードバックを行うことが必要です。
一方、部下は、ツール操作に頼るだけでなく、問題意識を持って自ら解決策を考え、現場の声を上司に伝える努力を惜しまないことが大切です。
このように、役割に応じた「ツールを使える能力」と「本当の問題解決能力」の両輪が、現代の仕事においては不可欠です。
上司と部下がそれぞれの立場で手を動かし、実際の業務を通じて常に現場の状況を把握しながら、変化に柔軟に対応することで、企業全体のパフォーマンス向上に寄与できるのではないでしょうか。
ツールはあくまで「手段」であり、最終的に重要なのは、その手段をどう活用して課題を解決し、組織や個人の成長につなげるかということです。
これからの時代、変化の激しい環境下においては、常に自ら手を動かす姿勢と、柔軟な思考を持ち続けることが、成功の鍵になると思います。
この記事が、現代のビジネス現場におけるスキルの本質を考える一助となれば幸いです。
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