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【読書メモ #21】大人も子どもも知らない不都合な数字

統計データやメディアが扱う数字には、背景知識の十分な説明なく、切り取り方を工夫し、キャッチーなものが取り上げられることがある。
書籍FACTFULNESSでは、統計データとともに背景知識など含め述べられていたので、キャッチーではあるものの、比較的裏付けのあるデータということができるだろう。

一方、最近話題になった数値の取り扱い方だと、俗にいう「103万円の壁」の撤廃時に、高所得者の方が金額でみると減税額が大きく不平等だといった見せ方だろうか。下記記事で国民民主党の玉木さんの意見が引用されている。
金額でみるか、割合でみるかといった見方だ。どちらが正しいというわけではなく、目的に沿って適切に使い分けることが大切だと個人的には考えている。今回、メディアと玉木さんで取り上げ方が違うのは、記事を作る目的と、政策を実現するための目的が異なるからだろう。

「103万円→178万円への基礎控除等の引き上げが『高所得者に有利』との批判が見られますが、果たしてそうでしょうか。
〜〜
一方、今、払っている税金と比較した場合の『減税率』は明らかに所得の低い方ほど大きくなります。

下記記事より


さて、今回紹介するのは、数字を扱う書籍
「大人も子どもも知らない不都合な数字」である。
(チャリツモ フォレスト出版)

数字で見ると解像度が上がる。
あなたも、日常の景色も変わる。

●日本の子ども、身体的な幸福度は世界一。精神的幸福度は世界ワースト2
●子どもの虐待死、一番多いのは「0歳0カ月0日」
●人間が1週間に摂取するプラスチック、クレジットカード1枚分?
●モデルやアイドルの勧誘を受けた7人に1人が性的な撮影を求められた
●重大犯罪の賠償金、全額支払われたのは4.4%
●老朽化した水道管の長さ、地球3.8周分
●外国籍の子どもの17人に1人が学校に通っていない

こうして数字で示されると、これまで見えなかった、あるいは見て見ぬフリをしてきた社会問題が、一気にリアルに感じられるのではないでしょうか。
数字は、私たちが普段見逃している多くの側面を発見する手助けになるのです。
本書では、さまざまな社会問題を、数字を切り口にイラストやグラフを交えながら70項目取り上げます。
気になることがあればさらに調べ、友だちや家族、周りの大人と話してみてください。
社会問題のとらえ方にも、その解決の方法にも、唯一の正解はありません。
そもそも問題だと思わない人もいるでしょう。
ときには、価値観の違いから意見が食い違うこともあるかもしれません。
そんなときは、違う考えを持つ人とどうすればわかりあえるのかを探る楽しみを見つけてもらえたらうれしいです。

Amazon商品紹介より

感想

商品紹介にも記載がある通り、本書では身の回りの「数字」について、70項目が取り上げられている。
内容はもちろん本書を確認してほしいのだが、中でも身の回りの身近なことでありながら全く気づいていなかったものが一つあったので紹介する。

日本におけるプラスチックのリサイクル方法だ。

プラスチックのリサイクルと聞くと、私はずっとペットボトルのイメージをしていて、綺麗に洗われ細かく砕かれ、再度成形し直されるというイメージを持っていた。しかし、プラスチック全体のリサイクルのうち、24.7%しかこの方法(マテリアルリサイクル)に該当しないそうだ。

そして、多くの割合7割ほどを占めるのサーマルリサイクルとのことだ。プラスチックゴミを燃やしその熱を熱源として利用する方法とのこと。
そして三井化学の記事によると、プラスチックを燃焼する際に二酸化炭素が排出されることも問題点と考えられているようだ。

結局、燃やして熱源にするのであれば、ゴミの分別しなくても良いのではと思ってしまうが、分別がきちんとされなければ、きっとサーマルリサイクルの割合がもっと増えてしまうのだろう。

残りのおよそ7割を占める方法が「サーマルリサイクル」といわれるプラスチックゴミを燃やして生まれる熱を蒸気に変えて発電したり、暖房や温水プールなどの熱源として利用する方法です。つまり、新しい製品にしたり、原料として生まれ変わらせるのではなく、燃やしてしまっているのです。
海外の多くの国では、このようにプラスチックゴミを燃やして熱回収する方法を「リサイクル」とはみなしていません。国際的な基準に照らし合わせた場合、日本のリサイクル率(87%)はかなり低くなるといわれています。
どうでしょう?「リサイクル率87%!」と聞いたときに思い起こす「環境先進国・日本」のイメージと実態はかけ離れていますよね。

本書より

プラスチックのリサイクルのように、身近であるが実は違う認識をしていたというのが、人それぞれで発見できる書籍だと思う。
ぜひ読んで生活にまつわる社会問題の視点を増やしてみるのはいかがだろうか。

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