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【読書メモ #20】未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

今年(2024年)の出生数について、先日下記記事がでた。今年上半期の出生数は33万人で、1年間の出生数が初めて70万人を割る見込みとのことだ。
政府統計によると、30年前の1994年の出生数は123.8万人とのことで、この30年で凡そ半減したようだ。

一方、合計特殊出生率でみると、
・2023年 1.20
・1994年 1.50
であり、出生数半減ほどの衝撃はない。(それでもとても低いが)
30年前と比較し、合計特殊出生率の分母になっておる15〜49歳人口が減っていることも大きいのだろう。


さて今回紹介する書籍はこちらだ。
「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」
(河合雅司 講談社現代新書)

日本が人口減少社会にあることは「常識」。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか? 第1部では「人口減少カレンダー」とし、2017年から2065年頃まで、いったい何が起こるのかを、時系列に沿って、かつ体系的に示した。第2部では、第1部で取り上げた問題への対策を「10の処方箋」として、なるべく具体的に提示した。本書は、これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書となる。


日本が人口減少社会にあることは「常識」。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか?
人口減少に関する日々の変化というのは、極めてわずか。ゆえに人々を無関心にする。だが、それこそがこの問題の真の危機、「静かなる有事」である。

書店には、人口減少・少子高齢社会の課題を論じた書物が数多く並ぶ。しかし、テーマを絞って論じるにとどまり、恐るべき日本の未来図を時系列に沿って、かつ体系的に解き明かす書物はこれまでなかった。それを明確にしておかなければ、講ずべき適切な対策とは何なのかを判断できず、日本の行く末を変えることは叶わないはずなのに、である。

本書が、その画期的な役目を担おう。
第1部は「人口減少カレンダー」とし、年代順に何が起こるのかを時系列に沿って、かつ体系的に示した。未来の現実をデータで示した「基礎編」である。第2部では、第1部で取り上げた問題への対策を「10の処方箋」として提示した。こちらは、全国の公務員・政策決定者にも向けた「応用編」と言える。

これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書!

Amazon商品紹介より

感想

本書は2017年に出版された。本書が出版されたということは、その頃には人口減少に世間的にも危機感があったということだろう。
そして、現在出版から7年が経っている。本書では未来の予測として人口減少カレンダーが記載されている。2017年〜2027年は毎年のトピック、その後は重要なトピックがある年のみ取り上げられている。

具体的に、現在2024年の人口減少カレンダーのタイトルは、「3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ」だ。2024年に、戦後のベビーブーマーである団塊世代が全員75歳以上になるためとのこと。
実際に今年の65歳以上の人口割合を調べてみると、30%弱だ。3人に1人といっても過言ではないだろう。

我が国の総人口(2024年9月15日現在推計)は、前年に比べ59万人減少している一方、 65歳以上人口は、3625万人と、前年(3623万人)に比べ2万人増加し、過去最多となりま した。 総人口に占める割合は29.3%と、前年(29.1%)に比べ0.2ポイント上昇し、過去最 高となりました。

総務省 統計局リリースより

https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics142.pdf

2023年以前の人口減少カレンダーについても、2019年人材不足の顕在化、2021年介護離職の増加など、人口動態予測に則して予測された内容と世間で話題となった事柄が、概ね一致しているのでぜひ本書を手に取りながら確認してほしい。

さて、冒頭で合計特殊出生率についてふれたが、本書ではよくある誤解についても言及されている。合計特殊出生率が「1.00」であろうと、「1.99」であろうと世代の人口規模は半減するのである。
小数点以下が示しているのは、人数ではなく、出生数の半減する『スピード』なのだ。1.00より1.99の方がそのスピードは緩やかになる。

そして、人口を維持するには合計特殊出生率が「2.07」以上必要で、「3」台になって初めて人口増加に向かうとのことだ。
この30年で合計特殊出生率は、「1.50」→「1.20」になったことが示すのは、人口の半減速度がより早まったということなのだ。
私はいま30代なのだが、我が子が大人になった時、何を残せているのか、何を負担させてしまうのかをかんがえると、悲観的な気持ちにならざるを得ない。

現在の人口規模を維持しようとするには、合計特殊出生率が「 2・ 0 0」(厳密には 2・ 0 7)でなければならない。「 3」台になって初めて人口増加に向かい、「 1」台であるならば──「 1・ 0 0」であろうと「 1・ 9 9」であろうと──どの両親からも 1人しか生まれない計算になる。よって、世代の人口規模は半減することになる。

本書より

人口予測というのは、あらゆる予測の中でも比較的確度の高い予測だと言われる。本書が書かれた2017年からの予測を見てもそれを実感できる。
この7年間の予測が外れないということは、本書に書かれた2065年まで(40年後)もそれほど大きくは外れないだろう。(少なくとも出生数の予測が当初予測より下回っている現在、良い方向に外れることはないだろう)

ぜひ、人口動態の考え方や人口変化が起こす出来事に興味がある方は本書を読んでいただきたい。ホラーよりも怖く、SFよりも遠くの出来事に感じるかもしれない。
機会があれば、政府統計より地域別・年齢別の人口動態を記事としてまとめようと思う。

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