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#59 AlexとOlivia

1時間ほど眠っただろうか。
Oliviaの声で私は起きた。

「ねぇねぇ!起きたー??」

「ん~?
…あ、うん。どうしたの?」

まるで何時間も深い眠りを得たように
体も頭もすっきりとした気分で起きた。

Oliviaもいつもの天真爛漫な女の子に戻っていた。


「豪華な夕食が用意されてるみたいよ!
街に戻る前にたくさん食べましょ!」

Oliviaの声に気が付いたMargarretが
カーテンを開けて覗いた。

「すっかり元気になったようね!
もう出ていいわよ。
でも、食べすぎには注意してね。」

ありがとうございました、と言って
私達はダイニングルームに向かった。


外にも僅かにワイワイと騒がしい声が聞こえていた。

中に入ると
一瞬シーンとなったあと、
「退院おめでとぉ~!!」
とというみんなの歓声と同時に
火花のようなものがあちこちに飛んだ。

どうやら、医務室から戻ると
このように盛大に祝うのがここの慣習らしい。


Alexが近づいてきて、私達を席に着かせた。

「ひとまずお祝いよ!
街に戻る前に好きなだけ食べてね!」

お昼にみんなで食事した時よりも
さらにガヤガヤと騒がしい宴会となった。

写真 2021-06-10 10 18 04

みんなはゴブレットに
ワインやカクテルのようなものを注ぎ
すぐに飲み干し、また注いだ。

大皿には鳥の丸焼き、分厚いステーキ、
その横には色とりどりの野菜にパスタ、
中くらいの皿にも様々な料理が乗っていた。

皿が空になると
いつの間にかケーキやフルーツ等
デザートの皿に変わっていた。


少し目を離すと
ミートローフがホールのアップルパイに
なっていたのだ。


苦しいくらいにたくさん食べた頃、
Alexがグラスを持っていたフォークで鳴らした。

それまでの騒がしさが嘘のように静かになった。

「そろそろ2人はお帰りの時間よ。
宴会は続けたりしないで、
みんな、自分の部屋に戻るのよ。
明日は崩落現場をしっかり補修する作業よ!」

私とOliviaはチームのみんなと
また来てくれな、
Alexさんのとこのカフェで会うかもね!
そんな感じでそれぞれお別れの挨拶をした。

Pierreさんはしばらく残るようだった。

「さて、行きましょうか。
荷物はそこに置いてあるわ。」

入り口近くのテーブルに
私達の荷物と、私達が最初に選んだ装飾ランプ
置いてあった。

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私達は改めてさようなら、とみんなに言って
Alexと街へ帰る為の扉へ向かった。

扉に着くとAlexが立ち留まり、振り返った。

「Olivia、あなたは2ヶ月外出禁止よ。
パパのお店のお遣い以外で街を出てはいけません。

Oliviaは落ち込んだ様子で、返事をした。

「M.ちゃん、あなたに私が何か言う権限はないけど
あなたも無茶しちゃだめよ。
特にあなたの世界とこの世界は違うの。
もっと危険なことも山ほどあるわ。
知らないうちに巻き込まれてるってこともね。
気を付けて。」

「ごめんなさい。わかりました。
ありがとうございます。」


「さ、しばらくお別れね。」

Alexは私とOliviaを一度に包み込むようにハグをした。
それからOlivia1人を改めてしっかりハグをした。

辺りは薄暗くてあまり見えなかったが
確かに2人の目には光るものが溜まっていた。


Oliviaは扉に鍵を挿し、
私達は扉の向こうの街に踏み入れた。

振り返ると、扉の向こうの採掘場で
Alexが立っていた。
明るく、またね!と言ったその笑顔は
やはり少し寂しそうだった。



これがAlexとOliviaの別れの時のおはなし。
続きはまた次回に。


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